宇宙ブログ
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宇宙飛行士 若田光一との対話ブログ 小林麻央さんとの対話

宇宙に届いた、リンゴ可愛や(メッセージその2)

2009年9月14日

 宇宙と地上の環境は、もちろん重力のように目立って違う点がありますが、戻ってきてみると様々な再発見があります。

Wakata02_2  帰還直後の第一声で地球の草の香りについてコメントしましたが(参考3)、普段の地上の生活で私たちが何気なく感じていることの一つ一つが帰還後には新鮮に感じられました。

 ISSでの生活は快適でしたが、閉鎖環境なのでどうしても感覚は単調にならざるを得ません。ロシアのプログレス貨物輸送機で運ばれてきたリンゴのにおいがとても懐かしく感じたことを覚えていますが、地上の素晴らしさは比較になりません。風の響き、鳥の声、湖畔の水の音、そして妻の料理のにおい……。

 帰還後のあいさつ時に、「There is no place like home(我が家に勝る場所はない)」と述べましたが、やはり私たちが一生懸命働けるのは家族の支えがあってこそだと思います。自分を支えてくれる様々なもののすばらしさをこのように再認識できたのも宇宙長期滞在ミッションの余禄といえるでしょう。

コミュニケーションとアイデンティティーの大切さ

 最後に、私が宇宙飛行を通じて得たもののうち、日本の将来を担う若い皆さんに特にお伝えしておきたいのは、充実した仕事を行う上での二つのポイント、「コミュニケーション能力」と「自分のアイデンティティー」の大切さです。

 私が滞在していたISSは、史上最大の国際協力科学プロジェクトの成果であり、その本格的な利用が進められつつあります。そのような仕事場で、我々宇宙飛行士は、同僚宇宙飛行士や各国の管制要員と息をぴったり合わせて確実に仕事をこなしていかなければなりません。それも、ただ自分の言いたいことを言うだけでなく、相手の言いたいことをうまく読み取らなければなりません。

 4か月半に及ぶ宇宙飛行で心の支えとなったのは、家族との会話であり、食べ慣れた日本食であり、また、つくばの管制局の皆さんとの日本語での会話そのものでした。これらは宇宙での生活の中で自分の核として再認識できたものであり、それらに触れることによって無条件に心が安らぐものでした。

 内平らかに外成る、と言いますが、家族の強い絆と心の故郷を持つことは仕事に打ち込むためにもとても大切だと感じました。これらは生まれもって与えられるだけのものではなく自らの弛(たゆ)まぬ努力で築きあげていけるものだと思います。(おわり)

参考3 若田さん「草の香り」地球実感…異例の記者会見はこちら

次は、月で跳びはねてみたい(メッセージその1)

2009年9月 9日

 私の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在は「全力でマラソンを駆け抜けた」ように感じられたことは以前にもお伝えしましたが、このマラソンでは初めて経験する事が多く、苦労も多くありましたが、とてもやりがいのある仕事の連続でした。

やりがいのあった記念碑的ミッション

Waj1  その筆頭は、もちろん日本人として最初のISS長期滞在を4か月半にわたって行い、「きぼう」の軌道上組み立ての完成に自ら参加できたことです。今回の私の長期滞在は、ISS計画に参加するすべての宇宙機関(日本、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、ロシア)からの宇宙飛行士が同時に軌道上で仕事をするという記念碑的なミッションでもありました。

 英語とロシア語を使って仲間のクルーや日米露欧の各管制局と協力して作業をしていく中でコミュニケーション力の大切さを思い知りました。私は英語もロシア語も話せますが、それでも時折、無性に日本語で会話をしたいと思うことがありました。

 そんなときには電話で家族と話したり、特別にリクエストして、つくばの管制局の皆さんと日本語で話す機会を作ってもらったりしたのですが、私の根っこの部分は生まれ育った日本にあるんだなあと再認識させられました。

「空飛ぶ絨毯」のふわふわ感

 また、食事や睡眠、運動といった宇宙での日常生活の中で毎日繰り返した時間もとても思い出深いものになりました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)が新しく開発した宇宙日本食は心理的にも大きな支えになってくれましたし、静かな「きぼう」の中で一人きりで眠ったこともありました。

 私の長期滞在から本格的に運用された米国製新運動器具「ARED(改良型エクササイズ装置)」のおかげで、運動も快適かつ効果的に実施できました。宇宙での忙しい仕事のスケジュールの中でも規則正しく毎日、運動を実施できたおかげで、着陸直後の記者会見の際にも自力でしっかりと歩くことができました(参考1)

 帰還後のリハビリも非常に順調で、驚くほどの速さで筋力も飛行前のレベルへと回復してきています。いまでは椅子に座ってもおしりが痛くなるようなこともなく(笑)(参考2)、さまざまな運動メニューをこなしています。日本に戻った時には、完全に回復した姿をお見せできるでしょう。

 一つだけ残念なのは、宇宙からの帰還直後に歩行する時に感じた空飛ぶ絨毯(じゅうたん)の上を歩いているような「フワフワ感」があっという間に消えてしまったことです。もしまた宇宙に行ける機会があるのなら、今度は月の1/6Gの重力(地上の重力の6分の1)の下でウサギのように跳ね回ってみたいですね。(つづく)

 米ヒューストンのNASAジョンソン宇宙センターで帰還後のリハビリに励む若田さんから、メッセージが届きました。宇宙生活の回顧、地球に帰還してからの重力順応体験、今後について思うこと、若い人たちに呼びかけたいこと、などについて綴ってくれました。

参考1 過酷な任務を完遂、若田さん「浦島太郎の気分」はこちら

参考2「お尻痛い」若田さん“宇宙後遺症”はこちら

日本の魂が私と一緒に来てくれた!

2009年7月 8日

Wakata090708  前回、「マラソンに例えればラストスパートにかかるあたりです」と書いたものの、スペースシャトル・エンデバー号の打ち上げが延期になったために、私の帰還もその分、延期となりました。

 「きぼう」の最後のモジュールである船外実験プラットフォーム・船外パレットの到着が遅れたのは残念ですが、国際宇宙ステーション(ISS)での作業、ことに「きぼう」での作業に携われる時間が予定より多く与えられたことはとても幸運に感じております。6人に増えた搭乗員も、すっかり一つの家族のようになりました。我々にとって「家」とも言えるISSの掃除やメンテナンスも、人手が3人から6人に増えたので作業分担も効率的になり、休日を休日らしく余暇として過ごすことができるようになっています。

 そんなとき、この宇宙ブログのやりとりや宇宙関係のニュースから、一つおもしろいつながりに気付きました。私の乗ったスペースシャトルに蝙蝠(こうもり)が1匹張り付いたまま一緒に打ち上げられたそうです。同じようなことが私の前のミッションでもあり、私は蝙蝠に好かれているのかなあといぶかしく思っていました。

 ところが地上から、蝙蝠はこのブログで意見交換をさせていただいた市川団十郎さんのご先祖、七代目団十郎が愛し、着物の紋や図柄にしたものなのだと聞かされ、「ああ、団十郎さんや日本の魂みたいなものが私と一緒に来てくれたのかなあ」と、不思議な感慨を覚えました。

 日本から離れるほど、ますます日本への思いは強くなります。団十郎さんだけでなく、様々な分野で活躍される皆さんと交流をすることができたのは、日本人の思いに触れられるよい機会でありました。また、宇宙日本食は地上で食すれば普通の食べ物でありますが、ここ宇宙では絶品です。宇宙日本食を食べる度に根源的な力が湧き上がってきます。このような宇宙日本食という肉体的な栄養と皆さんとの交流という精神的な栄養分を摂取して、日本人宇宙飛行士・若田光一は元気にこれまで過ごしてくることができたのだと思います。

 また、一人の地球人としては、平日の多忙さを離れて過ごす休日には、眼下を流れるように変化する地球の姿を眺めたり、興味深い光景をカメラに収めることに夢中になっています。これまで多くの宇宙飛行士も言っていましたが、地球の眺めは本当に見飽きることがありません。昼のあいだは雲の凹凸の描く模様、海流が形作る様々な青のグラデーション、火山灰を噴き上げる力強い大地の姿など、自然の営為に目を奪われます。

 先日たまたまアラスカ地区で火山の噴火に遭遇しました。興味で撮った写真が学術的にも貴重とのお褒めの言葉をいただいて嬉しい限りです。一方で、夜になるとイルミネーションが浮かび上がらせる日本の姿や世界各地の大都市の広がりから、そこに生きる人間の営みや科学技術の力を感じて心を惹(ひ)かれます。

 月探査衛星「かぐや」からの「満地球の出」を見て、俳人・黛まどかさんは「その中のしたたる星として現(あ)るる」と詠み、そして、「60億の人々が生き、そして、死ぬ。総てがそこに在る」と説明されていました。昼の姿も夜の姿も、我々が生まれ、育ち、そして還(かえ)るべき場所としての地球は、頭ではなく心にその尊さ・偉大さを直接訴えかけてきます。

 私のミッションのロゴマークには、「夢・探求心・思いやり」という三つの言葉が記されています。「夢」には「きぼう」で拓(ひら)く宇宙への足がかりという人類の大きな目標に対する夢が、「探求心」には日本が科学技術立国として発展するための好奇心や考え抜く力を育んで欲しいという願いが、そして「思いやり」には有人宇宙開発に欠かせない、仲間とのチームワークに対する思いと私たちを生かしてくれる地球を大切にしなければとの思いが込められています。

 宇宙は漆黒と表現されますが、実は漆のように艶(つや)めいたところはまったくなく、光をすべて吸い込む暗黒の空間です。その中で唯一青く輝き、昼に夜に違った顔を見せる地球の姿は本当に感動的です。私たちの世代では無理かもしれませんが、子・孫の代には多くの人々にこの感動的な眺めを共有してもらえればと思います。

 この宇宙ブログでの皆さんとの対談、そして読者の方々からいただいた多くのご声援、本当に励みになります。もう一仕事してから地球に還ります。引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。


軌道上滞在113日目、ブラジル上空にて
                                                 若田光一



※若田さんを乗せたスペースシャトルは、3月15日(日本時間16日)に打ち上げられました。その際、シャトルの外部燃料タンクにコウモリが1匹しがみついていたそうです。NASA(米航空宇宙局)の監視カメラなどで確認されました。

ラストスパート!「宇宙人若田」

2009年6月15日

 私の長期滞在もいよいよ終盤です。マラソンに例えれば35km地点を過ぎ、ラストスパートにかかるあたりです。5月29日にロシア/バイコヌールから打ち上げられたソユーズが到着し、クルーが6人に増え、いよいよ国際宇宙ステーション(ISS)の能力を100%稼働できる体制となりました。この6人クルーは、アメリカ/ロシア/ヨーロッパ/カナダ、そして日本と、ISS建設に参加しているすべての機関の宇宙飛行士から構成されています。まさに「国際協力プロジェクト」ですね。そして私の帰還便でもあるスペースシャトルが到着すれば、最後のパーツである船外プラットフォームを取り付け、「きぼう」もついに完成です。私が帰るまで、ISSは13人の満艦飾で運用されます。

 この対話ブログを始める前はどのような展開になるか大いに期待していましたが、期待通り、対話をさせていただいた皆さんはそれぞれの道のプロフェッショナルとして私の予想もしない視点からのコメントや問いかけを投げかけて下さいました。そのため、私も軌道上で感じたこと、考えたことを楽しんでお伝えすることができました。

 テレビ「News Zero」と同様に、明るく対話ブログをナビゲートして下さった小林麻央さん、「宇宙ナビ」でも裏話をたくさん紹介していただいてありがとうございました。

 子供ならではの鋭く楽しい質問を送ってきてくれた布施小学校・桂小学校の皆さん、宇宙飛行士の暮らしを感じ取ってもらえたでしょうか。皆さんの中から将来、宇宙飛行士や宇宙開発に携わる人が出てきてくれたらとても嬉しく思います。
 
 ヤマトや999で覚えた宇宙への憧れの気持ちを再び思い起こさせて下さった松本零士さん、ISSの次は月/火星です。銀河鉄道の航跡は少しずつ延びていきますので、そこでの発見を先生の次の作品に描いていただきたいものです。

 歌舞伎の六方と宇宙の意外なつながりを教えて下さった市川團十郎さん。完成した「きぼう」が軌道の花道を六方を踏んでいるかのように堂々と進む姿は日本の誇りです。そして、いつか、歌舞伎の伝統と宇宙での発見が融合した舞台を見られたら、最高の幸せです。

 『3つのチキュウ(地球、知求、知球)』という言葉で宇宙開発の意義を様々な側面から切り取って見せて下さった松井孝典さん。私のISS宇宙飛行士としてのレゾンデートルは満足のいくものとなりました。宇宙に適応した私の脳の地上への再適応の過程も見つめ直して報告いたします。

 まだあまり知られていない宇宙での衣食住を詳しく紹介するきっかけを与えて下さった平野レミさん。宇宙でも体重の減らないような宇宙食の献立について、帰還したらアイデアをいただきたいものです。

 宇宙飛行士として重要な「客観視」を脳科学から説明して下さった茂木健一郎さん。「宇宙の質感」はブログでもご紹介しましたが、今度は「重力の質感」を脳の中の小人さんから話を聞いてお伝えしたいと思います。

 そして最後に子供たちに夢を与え、チームプレーの大切さを伝えるという共通のフィールドで働く坂本勇人選手。その後の好調な打撃と華麗な守備、そして、巨人の首位独走はファンとして嬉しい限りです。このまま順調に勝ち星を積み重ね、リーグ優勝、そして、念願の日本一も期待しております。原監督にも宜しくお伝えください。

 この対話ブログは私にとっても新たな考え方に目を開かせてくれる貴重な機会になりました。このやりとりを通じて読者の方々の宇宙への興味と憧れを生み出し、また有人宇宙開発に対する共感を増やすことに少しでもお役に立てたのであれば、宇宙での実験やシステム運用に負けないくらいの大きな成果だったといえます。帰還後に皆様と是非お会いして、さらなる対話/議論ができればと願っております。その時には、身体は、既に、地上に再適応してしまっているかもしれませんが、心の働き様は、未だ、宇宙人かもしれません。「宇宙人若田」との対話をご期待下さい。

滞在88日目、日本上空より。


まおの宇宙ナビのリンクはこちら

小林麻央さんと若田さんの対話ブログはこちら
松井孝典さんと若田さんの対話ブログはこちら
茂木健一郎さんと若田さんの対話ブログはこちら
平野レミさんと若田さんの対話ブログはこちら
市川団十郎さんと若田さんの対話ブログはこちら
松本零士さんと若田さんの対話ブログはこちら
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たくさんある 小さな宇宙ゴミがぶつかった跡

2009年6月 8日

Waka_2  千葉県御宿町の布施学校組合立布施小学校の子供たちの質問に、若田さんから答えが届きました。

《質問》

 1.布施小学校6年 吉野翔君

宇宙線の影響を自分の体を使って検査しているとききましたが、なにかこれまで体に変化はありましたか?

《回答》

 日本が作った宇宙放射線をはかる装置を常に服と一緒に身につけています。宇宙では地上の半年分にあたる放射線を一日で浴びてしまうので、正確に宇宙放射線をはかることは宇宙飛行士の健康上とても大事なのです。幸い、これまで身体には変化はありませんし、太陽の爆発(フレア)など宇宙放射線が多量に飛んでくるようなときには、ちゃんと地上の担当者が警告してくれて、船内の避難場所に前もって逃げ込めるようにもなっているんです。

《質問》

 2.布施小学校5年 吉田雄太君

宇宙にはたくさんの衛星や飛んでいるものがあり、回っているとききました。国際宇宙ステーションにぶつかったことはないのですか?

《回答》

 本当に小さな宇宙ゴミ(デブリと呼んでいます)はぶつかった跡がいくつもあります。このようなデブリは鉄砲の弾よりも速いスピードで飛んでいるため、ネジ一本くらいでも大きなダメージを与える可能性があるんです。このようなデブリの被害を最小限にするために、国際宇宙ステーション(ISS)にも丈夫な防護壁(バンパ)が取り付けられています。このほかに、アメリカがスペースデブリの監視局を設けていて、ISSに大きなダメージを与える可能性の高い10センチ以上のデブリ(この大きさのものだけでも1万個以上あると言われています)の軌道を常に監視して、ISSにぶつかりそうなときには警告してくれて、ISSの軌道を変更しています。

 前回の若田さんから布施小学校へのメッセージは こちら

 前回の布施小学校から若田さんへのメッセージは こちら

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宇宙の若田さんの写真


Chijou
地上の若田さんの写真   


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(ニュースでたどる若田さん@SPACE! )

宇宙ステーションに物がぶつかることはありませんか

2009年5月22日

千葉県御宿町の布施学校組合立布施小学校の子供たちから、若田さんにあてた2回目のメッセージが届きました。

《若田さんへ》

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布施小6年吉野翔君
 宇宙放射線が人体に与える影響について,若田さん自身の体で調べていると聞きましたが,今のところ身体等に変化はありませんか。

布施小5年吉田裕哉君
 宇宙には,たくさんの人工衛星やその他の物がグルグル回りながら飛んでいると聞きましたが,若田さんが搭乗している宇宙ステーションにぶつかるなんてことはないのでしょうか。

《ナビゲーターの小林麻央さんへ》

布施小6年周東ふう君
 ニュースZEROは夜遅い時間ですが,時々みています。若田さんとの交信では,リアルタイムでとても楽しい情報をいただき,ありがとうございます。  これからも,さわやかな放送をよろしくお願いします。

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《麻央さんのひとこと》

 メッセージありがとうございます。

 若田光一さんとの交信では、私もたくさんの夢をいただきました。 周東くん、見てくれていたんですね。うれしいです!これからも、一緒に若田さんの活躍を応援しましょう♪

 前回の若田さんから布施小学校へのメッセージは こちら

 前回の布施小学校から若田さんへのメッセージは こちら

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宇宙の若田さんの写真


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地上の若田さんの写真   


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無重力だと寝違えたりしないので快適に眠れるんだ

2009年5月15日

横浜市立桂小の子供たちからの質問に若田さんが回答を寄せてくれました。

無重力で寝るのは快適だよ

Wakata

○8時間半ほど寝ていることはわかりました。睡眠が大切なんだと感じました。そこで質問です。寝るというのはどのような体勢で寝るのでしょうか。何かに体を固定させるのでしょうか。

 A 8時間半は睡眠に割り当てられている時間ですが、その一部は仕事や食事などを行うのに使うことも多く、私の場合、実際の睡眠時間は5時間半から6時間です。宇宙では地上のように布団をかぶって寝るわけにはいきません。無重力なので掛けた布団がフワフワ浮いてしまうためです。そのため、壁に固定された寝袋のようなものにくるまれて寝ています。落ち着かないようですが、無重力で寝るのは寝違えたりもせず非常に快適です。

においのきつい食べ物や、お酒はだめ

○シャトルや宇宙ステーションに持ち込んではいけないものなどがありますか。

 A 飛行機と同じで、危険物・可燃物は厳しい制限があります。意外なところでは、お酒もいけません。これは宇宙では空気もすべて循環・再利用させなければならないので、アルコールのように揮発して空気を汚すものは出来る限り少なくしなければならないためです。また、においのきつい食べ物も持ち込みが禁止されています。これはわかりますよね(笑)。

食べ物はふわふわ浮かないようにして食べるんだよ

○食べ物はどうしているのでしょうか。また、どのようにして食べていますか。

 A いわゆる「宇宙食」と呼ばれるものを食べています。大まかに言うと①レトルト食品(カレーなど)②フリーズドライ食品(ラーメン、スープなど)③缶詰(主にロシアの食品で肉や魚料理、果物など)④そのまま食べられるもの(キャンディーなど)があります。飲み物はお茶、コーヒー、ジュース、牛乳などすべて粉末にしてあり、容器に水を注入するだけでストローで飲めるようになっています。食卓も地上とは違い、食品の容器がフワフワ浮かないように、面ファスナーで仮固定したり、ガムテープをテーブルに広げて付けておき、そこに食品を張り付けるようにして食事をしています。

テレビ電話で地上のお医者さんに診てもらっているんだよ

○具合が悪くなったり病気になってしまったりしたとき、宇宙でどうするのですか。地球に帰ることもあるのですか。

 A 軌道上にも医薬品が搭載されており、ISS長期滞在宇宙飛行士は全員、救急医療の訓練も受けているため、よほどのことがない限り軌道上で対処できます。また定期的にテレビ電話で地上の医師と話すことができるので、健康状態のモニターもしっかり行われています。しかし、大けがをしたり、手術の必要な病気になった場合にはソユーズ宇宙船により緊急帰還する可能性もあります。ですから、そのようなことのないように、宇宙飛行士は宇宙でも毎日、規則正しい運動や定期的な健康診断で体調を管理し、また、打ち上げ前に病気の人とうっかり接触してウイルスを持ち込んだりしないように、打ち上げの1週間前からは隔離施設に入った生活をしながら最終的な飛行準備を行います。

★桂小学校の子供たちから若田さんへのメッセージはこちら 

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宇宙の若田さんの写真


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宇宙での寝方は? 病気になったらどうするんですか?

2009年5月11日

横浜市立桂小学校の子供たちにあてた、若田さんからのメッセージに楽しい「再質問」が寄せられました。宇宙の若田さん、よろしくお願いします。

《若田さんへの再質問》

Katura_seito_2  ○8時間半ほど寝ていることはわかりました。睡眠が大切なんだと感じました。そこで質問です。

 寝るというのはどのような体勢で寝るのでしょうか。何かに体を固定させるのでしょうか。

 ○シャトルや宇宙ステーションに持ち込んではいけないものなどがありますか。

 ○食べ物はどうしているのでしょうか。また、どのようにして食べていますか。

 ○具合が悪くなったり病気になってしまったりしたとき、宇宙でどうするのですか。地球に帰ることもあるのですか。

《若田さん、小林さんへ》

Mao_3  若田さんとのメールのやりとりで、宇宙がとても身近に思えるようになってきました。これからも体に気を付けて、地球のためにがんばってください。これからも応援しています。すごいことをしている若田さんが、私たち小学生にやさしく教えてくれてとってもうれしいです。小林さん、これからも宇宙のことや若田さんたち乗組員の様子をニュースなどで伝えていってください。私たちも宇宙や環境のことをいろいろ勉強していきたいです。

《麻央さんからひとこと》桂小学校のみなさん、メッセージありがとうございます。みなさんの若田さんへの質問は、宇宙で暮らせる未来への想像がふくらむものばかりで、私も若田さんからのお返事が楽しみです。これからも宇宙からたくさん夢や希望をもらいましょう!!

★前回の桂小の子供たちへの若田さんからの返事はこちら 

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宇宙の若田さんの写真


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何重跳びだってできるよ 宇宙の縄跳び

2009年4月22日

Wakataunndou_2若 田さんから千葉県御宿町にある布施学校組合立布施小の子供たちに返事が届きました。

1 布施小の今年の卒業生一同から若田さんへ

 将来、私達が宇宙旅行をできる日は来るでしょうか。それと関連して、現在は空気の補充はどのようにするのですか。宇宙ステーションで食物になる植物を育てられますか。また、宇宙で便利なことはありますか。

【回答】実際にもう、宇宙に旅行で行っている人もいるんですよ。まだたくさんお金を払わないといけませんが、みなさんが大人になる頃にはいまよりぐっと宇宙旅行が身近になっていると思います。そのためにいま私も宇宙でがんばっています。

 ただ、国際宇宙ステーションでは地上から物資輸送機で運んできた水を電気分解して酸素を作って使っています。将来は、食物になる植物を育てて酸素も出しても らえれば一石二鳥ですね。現時点では食べられる植物を育てる実験はやっていないのですが、以前スペースシャトルでキュウリやトウモロコシを育てる実験が行われたこともあるんですよ。

2 布施小6学年一同から若田さんへ

 今の技術で、人はどのくらい遠くの星に行けるのですか。また、「きぼう」にはどんな実験器具があるのですか。

【回答】月までは確実にいけますね。またアメリカは火星に人を送りこむ計画を進めているところです。また、きぼうには本当にたくさんの実験装置があるんです。氷の結晶を作る装置や細胞を育てる装置、1600度の超高温で物を溶かして調べる装置などがあり、これからもどんどん増えていきます。船の外にも宇宙放射線や真空での物の振る舞いを調べる装置などが搭載されています。まだ難しいかもしれませんが、きぼうの実験装置についてはこのページにもっと詳しく紹介されていますよ(http://kibo.jaxa.jp/experiment/)。

3 布施小5学年一同から若田さんへ

 ぼくたちは縄跳び大会をがんばりましたが宇宙ステーションで縄跳びの二重跳びはできますか。若田さんは跳んだことありますか。

【回答】縄跳び、一生懸命がんばったんですね。私も小学生の時には二重跳びが何回跳べるか試してみたことがあります。宇宙では重力がないので、いつも身体はフワフワと浮いている状態です。だから、地面に足がついたりしないので、その気になれば何重跳びでもできるんですよ。まだ宇宙ステーションで試したことはないけれど、何回でもできるとかえってつまらないかもしれませんね。みんなも地上でどこまでできるか、試してみてください。

★坂本選手から若田さんへ

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宇宙の若田さんの写真


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地上の若田さんの写真   


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宇宙で二重跳びはできますか?

2009年4月13日

Mao_4   緑豊かな房総の田園地帯、千葉県御宿町上布施にある
布施学校組合立布施小学校の子供たちから
若田光一さんに寄せられたメッセージを紹介しましょう。

 
 

 

1_5 1 布施小の今年度卒業生一同から若田さんへ

 将来、私達が宇宙旅行をできる日は来るでしょうか。
 それと関連して、現在は空気の補充はどのようにするのですか。
 宇宙ステーションで食物になる植物を育てられますか。
 また、宇宙で便利なことはありますか。


2_3 2 布施小6学年一同から若田さんへ

 今の技術で、人はどのくらい遠くの星に行けるのですか。
 また、「きぼう」にはどんな実験器具があるのですか。



3_5 3 布施小5学年一同から若田さんへ

 ぼくたちは縄跳び大会をがんばりましたが宇宙ステーションで
 縄跳びの二重跳びはできますか。 若田さんは跳んだことありますか。




 布施小一同から小林麻央さんへ

 よくテレビで麻央さんを見て、明るい笑顔から元気をもらっています。話すのもまとめるのも上手だと思います。宇宙との交信で大変なこともあると思いますが私たちは布施小から応援しています。がんばってください。

麻央さんから一言 

 布施小学校のみなさん、こんにちは。
 優しいメッセージありがとうございます!!とっても元気がでました。
 一緒に宇宙への「?ハテナ?」をもって、地球から若田さんをいっぱい応援しましょう!!

 布施小は、児童数59人。いすみ市と御宿町の二つの市と町でつくる、千葉県で唯一の「学校組合立」の小学校。メッセージは5年7人、6年16人、今年の卒業生10人の計33人の子供たちの声を集めた。 

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宇宙の若田さんの写真


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