宇宙ブログ
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宇宙飛行士 若田光一との対話ブログ 松本零士さんとの対話

時を忘れてしまう「きぼう」からの眺め

2009年4月17日

松本 零士様

090416_2_2  重力の軛(くびき)を逃れてフワフワと浮遊しながら「きぼう」の窓の外を見ると、まだ船外実験プラットフォームが設置されていないので、地球の大きな青いアーチが見て取れます。このほかにも窓は「ズヴェズダ」(居住モジュール)や「ピアース」(ドッキングモジュール)、「ディスティニー」(米国実験棟)にもありますが、やはり自国のモジュールから見る地球の姿は格別です。窓を付けてくれたJAXAの決定に感謝です。

 このように窓からは昼間には地球の姿が、そして夜間には地上の灯火の瞬きや降るような星が見られます。星野鉄郎が銀河鉄道999の窓の外の景色を飽きずに見ていたように、時間を忘れてしまうような眺めです。

 特に、眼下に広がる地球の地平線を眺めていると、地上にいるときとは比べものにならないくらいの速度で日の出の輝きと夜のとばりが下りるのが見て取れます。地球の時間軸から切り離されたようなこの感覚は、ここでしか味わえないものです。

Dfbf_2  いまはごく少数の人間だけが先駆け的に味わえている感覚ですが、地球の多くの人々が体験できるようになれば、人類はもっと自分たちの姿を俯瞰的/客観的に見られるようになるのかもしれません。

 この感動は、私の乏しい語彙では語り尽くせないかもしれませんが、軌道上から、また帰還後に機会を捉えて少年少女に、またのみならず国民全体に宇宙への夢を抱かせるような話をしたいと思います。私がかつて抱いたスプートニクやアポロに負けないような憧れを抱いてもらえればと思います。

                                                            軌道上滞在28日目 北米上空にて

                                                                                                   若田光一

 Uchu_3
宇宙の若田さんの写真


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地上の若田さんの写真   


Eth きぼう アラカルト
(ニュースでたどる若田さん@SPACE! )

宇宙空間から眺める星の海、青い地球は?

2009年4月14日

20070713g0tg0tj9991262_5  宇宙空間から星の海を眺められ、青い地球を現実に見ておられる、
この瞬間がとてもうらやましく、かつ、人類の将来の先駆けとして
その空間に存在される若田さんがとてもうらやましく、
永遠の少年のつもりでいる私にも、まだ、可能性という三文字が
心に浮かんできて、この交信がとても楽しく、
今眺められている宇宙の実像が自然に脳裏に浮かぶようで楽しい気持ちです。

Photo_10  また、現在の少年少女、若者には真の現実としての未来が心に浮かび、期待と夢と希望がともに輝いていると思います。

 どうか若田さんの宇宙空間でのご体験、記憶を帰還された時、子供たち、若者と私も一緒に直接お聞きしたいと楽しみにしています。

 私自身としては、宇宙から見える地球や月や、他の惑星や銀河の姿がどんな感じで目に映るのかをお聞きすることができたらと願っております。

 今も頭上の宇宙空間を飛ばれている若田様へ、地上の少年、松本零士。

 イラスト:(C)松本零士 「完全版 銀河鉄道999」(宝島社刊)より



★若田さんから松本零士さんへ(1回目)
★松本零 士さんから若田さんへ(1回目)



布施学校 組合立布施小学校の子供たちから若田光一さんに寄せられたメッセージ

火星に行ける日まで時間を止められたら…

2009年2月13日

Wakata  松本先生が少年の頃ご自身の足で火星の上に立っているつもりだったというお気持ちと過ぎて行く時間を捕まえたい心境とメールにありましたが、ご自身の夢を「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」などで多くの子供たちに夢を与えておられ、現在もその夢は我々の中に強烈なメッセージとなっています。

 私は幸いにして2度の宇宙飛行の経験を積むことができました。スペースシャトルに乗って、地球の重力からの脱出、わずか8分30秒経てばもうそこは宇宙です。ヤマトや999では最初の一歩とも言えないような距離ではありますが、まだまだ人類にとっては大きな一歩です。眼下に広がる青く輝く地球の姿を自分の目で確認することができたのは、本当に感動的なことでした。

 特に印象的だったのは暗黒の宇宙と地球の境目に薄い霧のように見える「大気の層」で、その薄い大気のベールが地球をやさしく包み地球上の生命体を守っているのだと感じました。また、私たちに与えられたふるさと「地球」の環境を守っていかなければという気持ちを新たにしました。

 その地球上の様々な国籍の仲間達と、国際宇宙ステーションという共通の「家」を利用することにより、協力してひとつの目標に向かって仕事ができることは自分にとっても大きなやりがいを感じさせてくれます。

 先生がご自身の作品で私をはじめ老若を問わずたくさんの人に夢とあこがれを抱かせてくださったように、私も宇宙飛行士の仕事を通じて、多くの方々に有人宇宙開発というおよそ人間が達成しうる中で最も壮大な計画に対する夢と「きぼう」とを抱いてもらえることができればこれ以上の喜びはありません。

 それでも、先生がお感じになったように、国際宇宙ステーションまでの道がこれから銀河鉄道のレールのように月・火星にまで延びていくのだなあと思うと、そのときまで自分の時間を止めておきたいとも思ってしまうことも正直あるのですが(笑)。

 国際宇宙ステーション(ISS)で日本人初の長期宇宙滞在に入るのを前に、打ち上げ前の最後の訓練に忙しい若田光一さんから、対談者たちへの「返信」が届いた。

■往信■ 漫画家の松本零士さんは冒頭に「西暦2009年となった。少年の日、その時自分は、既にこの足で火星の上に立っているつもりでした」と記した。

★松本零士さん→若田さんへのメッセージはこちら

実現への速度上げる、少年の日の夢

2009年2月 2日

星空の若田宇宙飛行士様へ

20070713g0tg0tj  西暦2009年となった。少年の日、その時自分は、既にこの足で火星の上に立っているつもりでした。

 今、現実が夢より少しだけ進化が遅いのを実感しています。

 でも、身近にお会いでき、自分と直接お話させて頂いた『人』が確実な現実として、宇宙空間を飛行される!

 夢が次第に速度を上げ、追いつき追い越す時が、もう目前に迫っていると、少年の日の夢は堅く信じています。

 若田さんが、宇宙飛行士若田さんが、現実に見上げる宇宙空間に、今この瞬間にも無重力の中で活動される。

 その現実こそが、少年の日の夢が身近に迫っている実証です!!

 私自身もまだまだ夢を追っています。

Photo  さらに現実の少年少女は、もう夢ではなく大人になる過程での自らの現実として、大きな未来へのエネルギーと、 それを支える巨大な触媒としての可能性を心に受けとめ、更に大きな夢を描いているに違いありません。

 ああ、自分も今小学生だったらなぁと、過ぎて行く時間を捕まえたい心境です。

 どうか、現実の宇宙で体験された実感を、地球に降り立たれた時、少年少女達と共に聞かせて下さい。

 若田さんの宇宙飛行士としての存分な御活躍と、更なる衛星、惑星圏への飛行の実現に期待してお待ちしております!!

        宇宙飛行士 若田様へ
                宇宙への夢に生きる心の少年
                       松本 零士

 若田光一さんがもうすぐ国際宇宙ステーション(ISS)へ旅立つ。日本人として初の長期宇宙滞在がいよいよ始まる。ヨミウリ・オンラインは、地上の対談者と若田さんとの「往復書簡(メール)」を通じて、「宇宙での暮らし」「宇宙への夢」を追いかけます。まずは、出発前の若田さんに宛てた、対談者たちのメッセージから――。

 漫画家の松本零士さんは少年の日の、宇宙への夢を若田さんに託す。国際宇宙ステーションの実験棟「きぼう」が、「銀河鉄道999」の世界と重なる。

イラスト:(C)松本零士 「完全版 銀河鉄道999」(宝島社刊)より