2009年2月 6日
若田光一さま
茂木健一郎
宇宙に一度行くだけでも、大変なことです。誰にでもできることではありません。若田さんはその宇宙に、繰り返し行かれている。しかも今回のような長期滞在も。人類でもごく限られた人だけに許された特別な経験をされている若田さんに、ぜひお尋ねしたいことがあります。
人類の精神史において、「鏡」は大きな意味を持ちました。私たちは、鏡を手に入れることで初めて、自分たちの姿を認識するに至ったのです。鏡の中のイメージが自分だとわかるのは、人間の他にはチンパンジー、オランウータン、イルカ、シャチ、アジア象などの限られた動物に過ぎません。しかもこの中で鏡を生活の中で常用しているのは人類だけ。私たち人間だけが、自分の姿がどのようなものなのか、知っているのです。
鏡を手に入れたからこそ、人類は精神の「次のステージ」に行くことができた。宇宙空間から見た地球の姿は、人類にとっての新たな「鏡」だと言えるのではないでしょうか。暗黒の宇宙空間の中に奇跡のように青く美しく輝く惑星、地球。その姿を目の当たりにして初めて、私たちは自分たちを育む母胎を映す「鏡」を手に入れたのです。
若田さんは、宇宙から地球の姿を目撃した時、どのようなことを感じましたか? かけがえのない経験によって、自分自身の、そして地球の生命全体に対する考え方は変わったでしょうか? 地球に帰還してからは、どのようなことを考えましたか? 宇宙から見た地球という人類にとっての新しい「鏡」は、どのような意識の変容をもたらすのでしょう?
無意識のレベルでの変化について、若田さんがどのようなことを感じられているのか、関心があります。言葉にするのがなかなか難しいような、根源的な気づきがあるに違いない。日本人宇宙飛行士の中でも特筆すべき活動をしている若田光一さん。自らの生命を育んだ地球を「外」から見た時に若田さんがどんなことを感じたのか。その感触の一端だけでも知ることができたら、これ以上の幸せはありません。
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クオリア(感覚の中の質感)をキーワードに森羅万象に好奇心の矢を放つ、脳科学者の茂木健一郎さん。若田さんが見る、「青く美しい地球の感触」に想いをめぐらす。
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NHKの番組、拝見して居ります。非常に関心持って読ませて頂きました。天然(自然)から学ぶ。言葉も実体験からも大好きな言葉です。水辺にあって感じ、学んだのは、感謝という気持です。
これからも自分も含めて人類は様々な問題や発見、進化を遂げますが、あるがまま、ありのままを知った時、そこにあるのは、絶妙にバランスが為されたことへの、感謝かなと、今、一瞬、一呼吸に感謝しています。
若田さん、茂木さん、コメンテーターの方々の御活躍に感謝します○☆
20世紀中盤の宇宙飛行士(アメリカの)は、無事地球に帰還後「神の存在」を実感した、と言って「神職」に就かれた方が居られると聞きました。
哲学と宗教、それを司る「人間の脳」の働き。
宇宙の如く、果てしない難問ではありますが「解明する日」に一秒でも近づけるように・・・。
鏡と自己認識についてとても興味深く読ませていただきました。ゴリラの圏外はちょっと意外です。フクロウやカラスは?検証の方法とは?・・「外」から見る。含蓄溢れる言葉です。人類は動物的な衝動を「言葉」「美術」「音楽」「映像」「グルメ」など共通体験できる「その他」に置き換え「文化」と名づけてきました。そもそも物質からなる人類が物質の本質について考えるとはどういうことなのか?「外」から見たら何が見えるのか?などと考えています。