今回のオールアバウト欄に、俳優の八嶋智人(のりと)さんが登場します。八嶋さんと言えば、最初に
思い浮かぶのは、あの眼鏡です。おしゃれですよね。この眼鏡の由来を取材の際に聞いてみたところ、面白い話が……。なんと八嶋さん、小さい頃は「かなりの太め体形」だったのだとか。少しでも見てくれをよくするために考えたのが眼鏡をかけることだったのです。目が悪くもないのに、わざと暗いところで本を読み、目標通り、視力は着々と落ちたのだそう。実は、この眼鏡に関する話、八嶋さんという名優の根底にもかかわるものだったのです! わざと暗いところで本を読んでいたのと同じころ、誰かから殺されてしまう夢を見た八嶋さん。その夢のあまりの恐ろしさに数日間、学校を休んでひたすら考えていたことがありました。「(実人生でも)自分はいつか死ぬ。それなら、生きる意味は何なのだろうか」と。懸命に考えたけど、生きる意味は分からない。ただ、あることに気づいてしまったのです。それは「テレビや映画や舞台にたくさん出て、自分のことをみんなに覚えておいてもらえば、それはある意味では不死の境地なのでは」。そして、俳優を志すことになったというのですから、人生は不思議なものです。悪夢が人生の進路を決めることがあるというわけですから。「見てくれをよくしたい、もてたい」といった俗っぽい願いからスタートしたともいえる八嶋さんの役者人生が本格的にスタートするのが、1990年、劇団「カムカムミニキーナ」の旗揚げでしょう。日本大学に進学した八嶋さんが、なぜ早稲田大学のキャンパス内に拠点を置く劇団を旗揚げしたのでしょうか。実は高校時代の同級生が早大に進学していたからだった。早稲田にばっかり通っていたので、日本大学には「4年間で80日くらいしか行っていない」と笑う。早稲田で身に着けたのは、体育会系のノリだったのだそう。誰かから「全力で走れ」と言われたら素直に全力で走る、それが僕ですと言い切る姿には潔さがありました。さて、ただ今回、八嶋さんを記事でとりあげたのは、彼自身にとっても大きな転機となる劇団への出演が決まったからなのです。その劇団とは――。
井上ひさしが旗揚げしたこまつ座の舞台「國語元年」に初挑戦するのです。こまつ座といえば一行、一語までゆるがせにしない戯曲で知られます。体育会系のノリだけでなく、井上戯曲に向き合うにはほかの何か大切なものが必要となるのです。本人は、言葉の意味を粘り強く考え抜く姿勢を重視していくつもりだ。そもそも「國語元年」は日本全国の様々な地方の方言が飛び交う舞台。演出の栗山民也さんが「オペラのようなもの」と説明する作品なだけに、なかなか演じるのも難しい。前のめりになって踏み込む勢いだけではなかなか演じきれないのだ。こまつ座社長の井上麻矢さんは、八嶋さんの魅力について「シニカルさを持った笑いの似合う方」とコメントしています。今回、俳優として新たなステージに立つことになりそうな八嶋さんの魅力いっぱいの記事、ぜひ実際に手にとってご覧になってみてください。
好評連載「辛酸なめ子のじわじわ時事ワード」が今週取り上げたのは、「おもてなし制服」にまつわる話題です。2020年の東京五輪で外国人観光客を案内するボランティアの制服のことを「ダサい」と酷評する声がネットを中心に広がっていることに対して、筆者の辛酸さんは、「ちょいダサ感は1周回っておしゃれなのでは」と反論しています。おしゃれさの理由をいくつか挙げているのですが、なるほど辛酸さんの文章を読んでいると、あの制服のデザインもおしゃれに思えてきます。相変わらず、鋭い切り口で流行を読み解く辛酸さんワールド、絶好調です。
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http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/yukan.htm
【プレゼント】
「國語元年」の公演パンフレットに八嶋さんのサインを入れて3人に。紙面掲載のキーワードが必要となります。応募はこちらをクリックしてください。8月30日(日)が締め切りです。
読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。