アニメのキャラクターは年を取らない、なんてよく言われます。確かに、ミッキーマウスは登場してから80年以上が経っていますが、いまだに若々しい姿のままですし、鉄腕アトムだって最初のテレビアニメから40年以上にもなり、作中で誕生したとされる2003年を過ぎた今もなお、“近未来のロボット”のままです(ロボットだから年を取らないのは当たり前ですが)。しかし、そのキャラクターに命を吹き込む声優さんは人間ですから、年も取れば病気もする、当然亡くなることだってあります。
「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉おやじの声で長年親しまれた、田の中勇さんが13日に77歳で亡くなりました。鬼太郎は、1968年、71年、85年、96年、2007年と、5回もテレビアニメになっていますが、鬼太郎役は時代によって野沢雅子さん、戸田恵子さん、松岡洋子さん、高山みなみさんが演じられている一方、目玉おやじ役は一貫して田の中さんが演じられました。実写映画でもやはり、目玉おやじは田の中さんで、もうあの声以外には考えられないぐらいに定着していた感があります。もちろん、目玉おやじだけでなく、例えば最近では「ふしぎ星の☆ふたご姫」のオメンドや、「マリー&ガリー」のダビンチなども演じられていましたし、まだまだご活躍されると思っていたので驚きました。
そうしたらきょうになって、郷里大輔さんが17日に亡くなったとの報が入ってきました。報じられている状況が状況だけに、何とも言葉がありませんが、57歳という若さでの死去は本当にショックです。「キン肉マン」のロビンマスク役が挙げられていますが、他にも「機動戦士ガンダム」のドズル・ザビ役(やらせはせんぞぉ!)、「魁!男塾」の江田島平八役(わしが男塾塾長、江田島平八である!)、「ドラゴンボール」のミスター・サタン役、「機動警察パトレイバー」の山崎ひろみ役など、主に大柄な男性役の数々が印象に残っています。
年を取らないアニメキャラに対して年を取る声優、というジレンマは、長く続いている作品ほど顕著になってくる問題で、主な役を一斉に交代したり、少しずつ入れ替わったりと、対応は作品によって様々ですが、作品とキャラクターを末永く守っていこう、という作り手の気持ちには共通するものがあります。鬼籍に入った声優さんの演技も、キャラクターとともに半永久的に映像ソフトとして視聴することはできます。それをせめてもの慰みとして、表舞台から去っていった名優たちをしのびたいと思います。
読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。