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宇宙飛行士 若田光一との対話ブログ 松井孝典さんとの対話松井孝典

「地球維新」を、宇宙から

2009年2月 4日

若田 様

20041109g0tg0tj9992_2  日本人として初の宇宙長期滞在、今はその旅立ちを前にして期待感にあふれていると思います。

 世界は100年に一度の大不況と言うことで、閉塞感に満ちていますが、それは逆の意味では、現在の文明を新しい段階に相転移させるチャンスということもできます。

 20世紀人類は地球の重力を突破し、生命として初めて宇宙に旅立ちました。それは人類が、地球で成立する考え方を、宇宙と言う時空スケールで検証する機会を得たということです。

 新しい文明は、宇宙から俯瞰してそれを考える視点から生まれるであろうと私は考えています。

 例えばそのような視点から今の地球を見ると、地球システムの構成要素としてわれわれ人類が、人間圏を構成して生きているその姿が見えます。

 それが現在の文明の姿です。すでに若田さんは最初の飛行でそれを、宇宙から確認していると思います。宇宙に長期滞在する若田さんに私が期待するのは、そのような文明の普遍性を宇宙に探るということです。

 それは3つの「チキュウ」につながります。統合的な知の方法論を求めることであり(知求)、地球と調和的な人間圏の姿を探ることであり(地球)、われわれの脳の中に新しい知の体系を投影する(知球)ことです。

 人間圏という文明は今、岐路を迎えています。それは未来に理想郷(ユートピア)を求めるのか、過去に理想郷(アルカディア)を求めるのか、その選択といってもいいでしょう。

 明治維新から140年、今度はわれわれ日本人が世界の先頭に立って「地球維新」を世に問わねばならないのかもしれません。若田さんには宇宙から是非その先頭に立っていただきたいと思います。 

                                                   松井 孝典  
 

 若田光一さんがもうすぐ国際宇宙ステーション(ISS)へ旅立つ。日本人として初の長期宇宙滞在がいよいよ始まる。ヨミウリ・オンラインは、地上の対談者と若田さんとの「往復書簡(メール)」を通じて、「宇宙での暮らし」「宇宙への夢」を追いかけます。まずは、出発前の若田さんに宛てた、対談者たちのメッセージから――。

松本零士さん→若田さんへのメッセージはこちら
小林麻央さん→若田さんへのメッセージはこちら
市川團十郎さん→若田さんへのメッセージはこちら

 惑星科学者で東大教授の松井孝典さんは、宇宙を視野に入れたスケールの大きな文明論を展開する。若田さんにも宇宙から「新しい文明観」を発信してほしい、とエールを送る。

       

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