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新米宝塚担当と学ぼう 星組


みなさんこんにちは、新米宝塚担当の田上です。

春からやってきたこの企画も、今回で全ての組を一巡したことになりました。

少しは成長できた!のでしょうか……。宝塚歌劇は扱う題材、タカラジェンヌの皆様含め、様々な顔がありすぎて、まだまだ新米からは抜けられそうにありませんが、これからも楽しみながら精進できればと思います。「そんな若造の意気込みはどうでも良いよ」という声が聞こえてきそうなので、早速本題に入らせて頂きます。

今回は、東京宝塚劇場 星組公演「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」について、宝塚担当の小間井先輩と話しました。本日は感想編。明日はQ&A編を同じく午後3時に更新致します!

▼柳生忍法帖について

田上:礼真琴さんの歌唱力が圧倒的でした。厚みのある声で、さすがトップ。歌のシーンが楽しみでした。お芝居も楽しみなのですが、歌がすごいので、そちらの印象が強く頭に残っています。

 

小間井:十兵衛は出てくるまでちょっとあるけど、出てきたらもう出ずっぱりで歌う歌う。もう本当にすごかったです。予習のため山田風太郎さんの原作を読んだのですが、「鬼滅の刃」みたいな話だなと思ったんです。いや、鬼滅の方があとなんですけど。

 

田上:そうなんですね。どこらへんが?

 

小間井:非現実的な展開がところどころあるのと悪役を一人一人やっつけていくところですかね。けっこう残虐なところもかな。脚本・演出の大野拓史先生は、「日本には鬼滅より前に風太郎の『柳生忍法帖』があるよ」とアピールしたかったのではないかと推測しています。

 

田上:なるほど。パンフレットの人物紹介の多さに大野先生の作品への愛を感じました。

小間井:演劇担当の先輩は「人物紹介が多すぎてよく分からない」と混乱していました。宝塚ファンは役が少ないと不満を抱きがちですが、タカラジェンヌを識別できない人にとっては役が多いとついていけないのだなとちょっと思いました。ちなみに大野先生は毎回、手厚い人物紹介をパンフレットに載せるので宝塚ファン的には「まぁそんなものかな」という感じなのですが。

 

田上:そうなのですね。個人的には、やはり礼さんが印象に残りましたねー。前回は「ロミオとジュリエット」のロミオでまっすぐ純情な男性を演じましたが、今度はいたずらっぽい実力者の男性を演じこなしていて、演技力の幅を感じました。

 

小間井:なんでもできる人なので、なんでもできて心優しい十兵衛役がぴったりでしたね。

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田上:今回、新人公演を配信で見ました。礼さん演じる十兵衛は、ゴレンジャーでいう青や黒的な立ち位置でしたが、天飛さんの十兵衛はどちらかというと、王道ヒーロー的な赤レンジャーのイメージがありました。

 

小間井:分かるような…分からないような…

 

田上:新人公演では、千姫(澄華あまね)さんも迫力というか、すごみを感じました。

 

小間井:確かに千姫も新人公演とは思えないほどの迫力でした。今回で退団されると聞いてもったいないなと思いました。

 

田上:本公演に話を戻すと、歌を歌いながら、演技や殺陣もこなしていて、かつ、今回の初めの十兵衛のナンバーでは、同じメロディーで、サビを1フレーズ歌わずに踊るだけの箇所もあって、よく覚えられるなあと感心しました。

 

小間井:そりゃ、宝塚で1か月やってきているのですから。それしても立ち回りをしながらの絶唱は礼真琴ならではだなぁと思いました。

 

田上:会津七本槍では、花柄の衣装を着ていたワイルドな方の登場時のソロシーンの歌がダンディーで印象に残っています。欲を言えば、「○○レッド!」「△△グリーン!」という戦隊ヒーローのように、お一方ずつ自己紹介してもらいたかったです!笑

 

小間井:綺城ひか理さんでしょうか。「レッド!」というか、歌舞伎の「白浪五人男」のように一人一人、名乗りがあってもよかったのではないかと思いました。戦隊ヒーローが好きな田上くんには「MY HERO」をおすすめします。斎藤吉正先生と話が合うでしょう。

 

田上:まさか、宝塚に戦隊ヒーローものの作品があるとは驚きです。

 

小間井:戦隊ヒーローというか、スーツアクターの話だけどね。

 

田上:物語は様々なキャラクターの思惑がたえず動いていて複雑で奥深い構成でした。かつ最終盤では、ゆらの心境の変化や、「芦名銅伯」と「天海大僧正」の関係など、想定外な物語の筋書きが面白く、原作も読んでみたいと思いました。

 

小間井:舞台を見ただけだと「七本槍」の非道ぶりがあまり伝わってこないのでぜひ、読んでもらいたいですね。原作がすごいのよ。若い男女を何十人も使って部屋(!)を作ったりする。あのね、人を建築資材にしがちなのよ……。

 

田上:えっ、意味が分からないけど興味が湧いてきました。セットでは、桜や紅葉など、四季が綺麗に描かれていて、舞台上の画に癒やされました。

 

小間井:絵面の美しさはさすがでしたね。日本ものが得意な大野先生らしさを感じました。

 

田上:そうなんですね。大野先生の作品の特色はありますか?

 

小間井:大野先生といえば日本もので、大劇場デビューの「夢の浮橋」は宝塚史上に残る傑作だと思います。日本ものでは今年亡くなった峰さを理さんが振り付けを担当することが多かった印象です……。一方、「ヘイズ・コード」「ロシアン・ブルー」といった洒脱なコメディーも生み出してきました。「ロシアン・ブルー」は「スクリューボール・コメディー」と銘打っていたんだけど、また見たいな、「スクリューボール・コメディー」。

 

田上:なんか、「スクリューボール・コメディー」って声に出して言いたい言葉ですね。

 

小間井:あとは昨年の「シラノ・ド・ベルジュラック」が秀逸でした。「ギリシャ彫刻」と形容される美形の轟悠さんに鼻のでかい醜男をあてたすごさというか慧眼に驚きましたね。

 

▼モアー・ダンディズム!

田上:ショーはもう、最高に楽しかったです。4色のスーツ姿でずらっとならんで、全体的な色の並びが美しく、そこに赤の礼さんが上から出てくるという、構図がとても格好良かったです。

 

小間井:どこか懐かしいゆったりとした雰囲気は岡田敬二先生のロマンチック・レビューならでは。トップの礼さんは岡田先生のショー「Amour それは…」で初舞台を踏んだのよね。

 

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田上:昭和テイストというか大人の余裕があるゆったりとしたイメージでした。特に、今公演で退団が決まっている愛月ひかるさんは、一段とダンディーなオーラを感じました。特に白い軍服姿で「おもい出は薄紫のとばりの向こう」を歌うシーンはセンチメンタルな雰囲気が出ていて、哀愁漂うダンディズムを感じました。娘役さんでは、有沙瞳さんの歌唱力が特に立っていたように感じました。

 

小間井:「薄紫のとばりの向こう」は小椋佳さん作詞・作曲なんですね。宙組から専科を経て星組に組替えとなった愛月さん。この曲はその過程を歌っているようにも思えて……うるうるしました。

※明日午後3時には、「Q&A」編を更新します!また来て下さいね。

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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