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読売新聞水曜夕刊ポップスタイル第3週の好評連載「タカラヅカ 新たなる100年へ」を担当する2人の記者が宝塚この1年を言いたい放題振り返ります。(注・ネタばれを含みます、東上公演中心、あくまで記者個人の感想です)

今回は後編。「最優秀スター賞」「最優秀新進スター賞」の発表です!

【最優秀スター賞】

  • 男役

月組 珠城りょう(恵) 宙組 真風涼帆(藍)

次点 月組 月城かなと

恵 立派な体躯で男らしさたっぷりのトップスターが、「ピガール狂騒曲」でまさかの「男装の麗人」役。来夏の退団を前に、可憐な魅力を発見しました。歌う姿、お芝居をする姿に、舞台が「大好き!」「楽しい!」という喜びがあふれていた。一方で、黒燕尾の男役群舞を率いる姿は貫禄たっぷり。羽山紀代美の雄々しい振り付けが最高に似合ってた!

藍 「ドンドコドンドコ」っていうパーカッション、テンション上がったわ。黒燕尾服のしっぽをペロってめくる振り付けが素晴らしくってね。私は「FLYING SAPA―フライング サパー」の初日に滂沱の涙を流した真風を。ボロボロのセーターがあんなに似合う人、「マトリックス」のキアヌ・リーブスか真風かというものよ。「男の前で裸になる趣味はない」「お前は俺の体を隅々まで知りすぎている」等、よくよく聞いたらすごいせりふもさらりと様になっていた。

恵 ところで、作・演出の上田久美子先生がこだわっていた「FLYING SAPA」のネタバレってなんだったのかしら?

藍 さぁ……。優希しおんのジャンプ力かしら? 月城は、「赤と黒」では二役。「ピガール」でもエンタメに情熱を燃やすムーラン・ルージュの支配人を魅力的に。「WELCOME―」東京公演で加わった疫病退散を祈る「越天楽」の舞にも貫禄を感じたわ。

 

  • 娘役

雪組 朝月希和(恵) 月組 美園さくら(藍)

次点 花組 華優希

 

恵 朝月は瀬戸かずや主演「マスカレード・ホテル」では、喜びと誇りを持って自らの仕事にあたるホテルスタッフのヒロインを好演。ひらめちゃん(朝月)は、組む相手をとてもすてきに見せる娘役さんだな、と。花組へ異動したばかりということもあり、雪組の次期トップ娘役に抜てきされたのは予想外だったけど、次期トップスターの咲ちゃん(彩風)とはこれまでにショーの一場面やお芝居で息の合ったコンビぶりを見せてきたので、楽しみ。大人っぽいラブストーリーを期待したい。大劇場お披露目公演の「CITY HUNTER」は、謎の美人依頼人的な役かな? 

藍 海坊主を誰がやるかも気になるわね。「マスカレード・ホテル」での役柄はお客様第一の姿勢がタカラジェンヌの意識とも重なる部分があり、爽やかな気持ちになったわ。美園は「WELCOME―」では、冒頭からにこにこ笑顔。コロナでささくれだった心が癒やされました。「ピガール」では、いきなり舞台に出演することになった小説家役で、ダンス稽古場面での下手くそぶりがすごくて! 本当はバリバリ踊れる人なのに! ストライプの細身のドレスが抜群に似合っていました。「はいからさん」の紅緒役が当たり役の華優希。初演よりもさらにスキルアップしていたのが素晴らしいです。東京千秋楽を配信で見ましたが、少尉とのラブラブぶりが目に焼き付いただけに翌日の退団発表はショックだったわ。

 

【最優秀新進スター賞】

  • 男役

雪組 縣千(恵) 月組 風間柚乃(藍)

恵 他のスターさんを見るつもりだったのに、なぜか視線を持って行かれる。それが縣千。「こっち見て」感がさく裂している独特のダンス、舞台のどこにいても目に飛び込んでくる“華”がまぶしい。専科の凪七瑠海のコンサート「パッション・ダムール ―愛の夢―」、「炎のボレロ」でも、スター性抜群でした。スケールの大きい男役になりそう。

藍 「出島小宇宙戦争」でのとんがり耳のシーボルト役、「ピガール」での弁護士ボリス役……。コメディー場面は風間に任せとけってくらいの安定感を感じたわ。「WELCOME―」花の場面での鏡の男役が素敵だったので、次はめちゃくちゃシリアスな役が見てみたいです。

 

  • 娘役

雪組 夢白あや(恵) 星組 小桜ほのか(藍)

次点 花組 音くり寿

恵 組替え前、宙組最後の出演となった「FLYING SAPA」のイエレナ役では、金髪ショートで復讐に燃える女を熱演。新しい一面を見せてくれました。舞台の上では、憂いを帯びた大人っぽい美女なのですが、取材ではちょっとファニーでかわいらしい印象。雪組でどんな魅力を開花させるか。

藍 小桜は「シラノ」で見せたヒロイン力に驚いたわ。ともすれば嫌な女になってしまうロクサアヌを魅力的に演じていた。声に透明感もあって、歌声も抜群。私のなかで一気に次の娘役トップ候補に浮上したわね。

恵 音は、「マスカレード・ホテル」では、物語の鍵を握る女性役。変装をといて、真の姿をあらわにする場面にゾクッとさせられました。一転して、「はいからさんが通る」の環役ははつらつと、チャーミングに。美しい歌声も素晴らしい。ヒロインを演じる姿も、ぜひ見たい。

 

【トピック】

藍 コロナで雪組、月組両トップスターの退団日が延期。よって2020年はトップの退団がない年となりました。ビックリ人事も多かったけどコロナが影響しているのかしら?

恵 宙組トップ娘役・星風まどかの専科への組替えが発表されるなど、トップ娘役の人事が大きく動いたのには驚いたわ。ただ、発表時はびっくりするものの、後になってみれば納得できるケースが多いのが宝塚人事あるある。新しく誕生するトップコンビには、「ここを見て」という劇団側の意図が必ずあるはずなので、演目の発表などを楽しみに待ちたい。

藍 専科の松本悠里が退団を発表。生涯タカラジェンヌを貫くと思っていたので驚いたわ。来年1月3日まで上演中の「WELCOME―」では集大成を見せています。星組から専科に異動した星蘭ひとみが地上波のドラマに出演後、11月末で退団したのも衝撃だった。新人公演などでの極美慎との並びが超絶美しかった。あの並びがもう見られないなんて……。

恵 今はコロナで新人公演ができない状態が続いているのは、下級生にとってあまりにも酷。代替に、下級生が中心となって活躍できる公演などが開かれるといいけれど……。

藍 我々の宝塚連載もリモートでの取材が続いている。舞台ではオーケストラなし客席降りなし、そしてタカラヅカスペシャルがなかったのも味気なかったけどしばらくは本公演の上演を最優先することになりそうね。年末に星組の制作発表が開かれたのは明るい兆し。1日でも早く日常が戻ってくることを祈りたいわね。

読者の皆様の中にも2020年最も印象に残った作品、スターはいると思います。

そこで、アンケート「あなたが選ぶ 宝塚歌劇団 2020年最優秀作品」 「あなたが選ぶ 宝塚歌劇団 2020年最優秀スター」を行います。

https://qooker.jp/Q/ja/popstyle/taikai/

↑のフォームから投稿をお願いいたします。1月3日午後11時までです。

プレゼントはありませんが、後日、popstyleブログで結果などをご紹介いたします。

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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