Pop Styleブログ

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9月21日掲載の水曜夕刊ポップスタイル「ALL ABOUT 桐谷健太」の続きとなりますインタビュー特別版も、これで第3回目。紙面より濃い内容を、ブログで開放してしまって良いのかという思いもなきにしもあらずですが、紙面とネット、それぞれの良さを生かしたい、ポップスタイル編集部は考えています。無制限に情報を送れるのが、ネットの良さ。その利点を生かして、こうした特別版を書いております。一方、新聞紙の大きさや手で触る感触、開いた時の感動はネットでは味わえないもの思っています。このブログでポップスタイルを知った方も、ぜひ迫力のある紙面を一度手に取っていただけたらうれしいです。さて、第3回目は、28日に発売されます桐谷さんのファーストアルバム「香音」を中心に、桐谷さんと音楽の関わりについてお届けします。

――桐谷さん名義としてファーストアルバムとなる「香音―KANON―」(ユニバーサル・ミュージック)。野性味あり男らしい桐谷さんのイメージからすると、やや意外な繊細な印象のあるタイトルです。「カノン」といえば、クラシックの作曲家、パッヘルベルのおなじみの曲を思い出しますが、そういえば桐谷さんのクラシック好きも知られているところ。まずは、タイトルに込めた思いを尋ねてみました。

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クラシックも好きですね。モーツアルトもパッヘルベルも、大好きですね。オカンはよう、寝る前にモーツァルトを流してくれてましたね。それを聴きながら寝たのをすごい覚えてますね。教育っていうより、ただオカンが好きで、子どもにもええやろと思って流してくれてたんでしょうけど、そういうの大きいっすね。

パッとこのタイトルだなって思ったし、元々俺「カノン」も好きだったし。で、「音が香る」っていいなあって思って。そういう感覚ってなんか、感じる時あるなって思って。全体で感じるっていうかね。音もそうだし、音楽もそうだし。香りも、もしかしたら音として感じる時もあるだろうし。これはでも後付けですけどね、全部。直感でパッとこう思いついたタイトルです。

――こんな素敵なタイトルを付け、タイトル曲「香音―KANON―」では作詞も手がけています。与えられた設定や台本を元にして演じる役者とは、一味違う面白みを感じているようです。

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どっちかというと、役者の方はどうしても受け身じゃないですか。台本があって。1からそれを広げていく作業は今までずっとやってきたんですけど、今回はゼロをまず1にしていくという全く違う作業だったので、そのあたりはすごい面白かったですし、もともとそういうの好きなんだなっていうのが、改めて思いました。1をどんどん大きくしていくのも大好きだし、ゼロを1にするのもすごく、面白いというか、痛快な感じがあるなっていう。

作詞については、歌の詞として書くというのは今までなかったので。アルバム出すにあたって、自分でやらないと、そこは説得力ないなと思いました。自分たちで何かを生み出すことをしたかったのもあります。今までは、役者の延長だったんすね。浦島も、「喜びの歌」の河野勇作も役者の延長で歌ってた。初めて今回はある種、アーティストとしてやれる1発目なんでしょうね。「何か」はね、もゆるさんというマネージャーさんが作ったんです。香音も、高校の同級生(Polar Mさん)が作曲したんです。すごい身近な周りの人たち。意外にそういうこともできるんだなっていう。こう売れているプロの人たちに頼んで何かをするということではなくて。近くにいる才能ある人たちとやって、すごくいいものができるということも痛快でした。

「香音」は、こうやってリード曲として歌わせてもらえると思わなくて、アルバムとして出して、みたいな感じだと思ってたんです。イナズマ戦隊さんの喜びの歌とかを入れられたので、こういう曲調にしようと思ったんです。もし、このアルバムにああいうロックの曲が入らなかったら、リードはロックっぽい感じでいった方がいいのかなみたいな感じもあったんで。そういう意味ではよかったです。前のロック調の曲も入れられたんで、しっとりしたヤツでいこうって。

作詞で気をつけたのは、考えないこと。サビはバッて出たんですよ、曲を聴きながら。初めホンマ一瞬でそのまま、「わすれ~ないで、わすれ~ないで」って、ってそのまま聞くと同時に出たぐらいの感じだったんですけど、1番、2番のAメロ、Bメロとかは、なかなか出なかったんすけど、これ考えて出すのってちょっとちゃうなって思って、もうちょっと待とうと思って。こうファッと生まれるまで待ってましたね。プリプロっていうレコーディングの練習段階みたいなヤツのときに、プワッって出ましたね。ひとフレーズだけ、なかなかどうしようかなっていうのがあって、それは夜一人で散歩している時にパッと浮かびました。浮かんで、あ、ええなと思ったヤツって、ウソがないから。狙ってこういう風に書いたらいいかな、みたいな感じで考えてしまうと、どうしても後々見た時に恥ずかしなるやろなとかね。それはその時にフワッと生まれたもんは、生まれたもんだから、時間がたってもきっといいだろうし、「神さまの音が香る」なんてすごく感覚的な言葉なので、説明がつかない言葉なんで、その感じも普通にポンと生まれたので。それで、説明する必要もないし、逆に言えば。感じてくれたらええかなって。

――桐谷さんの歌声には、ざらついた大地のような感触があります。決して整地された土地ではなく、自然のままの大地。だからこそ、壮大で包容力のある歌声として胸に響くのではないでしょうか。また、グルービーな「何か」を歌うときは、いわゆる「後ノリ」のタイミングで歌っています。これはリズムの感覚を分かっている人じゃないとなかなかできないことです。

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ありがとうございます。得意なキーとかもあると思うんですけど、いかんせんそれが分からないので。海の声はスコーンっと出してうたえる。香音はちょっと難易度が高くて、自分にとっては、自分で作ったクセに(笑)。そんな中でも、歌ってるうちにまた気付くこともありますし、あんまりそこは、こういう声でいこうとか・・・よりかは、なんかこう、情景が思い浮かんだり、その思いになれるほうがいいなっていうのは思いましたけどね。

「何か」の歌い方は、ま、ノリです。そこは結構、このほうがええなって思ってやってるんじゃなくて、自分が歌いやすいように歌っているだけなんですけど。じぶんが好きな歌い方をしてるだけで・・・、なんやろ。たぶんドラムとかもやってたので。ドラムの、ツツたんツ!ツツたんツ!って。ラップは、ツッタ・・ッツ・タ!っていうのに合わせていってっけど、それをちょっとずらすのもかっこいいなとかね、そういうのをやっている間に、歌にも生きてきたんだと思いますけどね。

――ドラムは高校の軽音部で始めたという桐谷さん。そうした音楽の素養は役者にも生きているようで、映画「ソラニン」「BECK」「TOO YOUNG TO DIE―若くして死ぬ―」、関西テレビ制作の主演ドラマ「Y・O・U やまびこ音楽同好会」など、音楽に関わる役柄が少なくありません。

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そうかもしれないですね。多めですね。「ソ
ラニン」の時は、もちろんオーディションでドラムたたいて。「TOO YOUNG」の時はドラムもやれるというのを知ってくれてたと思うんですけど。BECKは、知ってなかったんでしょうね、もしかしたらアテレコでいくとかいう話も。で、やらせてくださいってやって。なんなんすかね。でも、前にやったものが、そうやって呼び寄せてくれて、いい縁をつなげてくれて、またそれをつなげてくれて、という感じにはなってると思います。何かを見た人が、ああって思ってくれて、みたいな。

「BECK」は、自分でラップしたビデオを監督さんたちに送って。できる自信はありましたね。ありましたっていうより、自分の声じゃないのに、こうやってるっていうことが恥ずかしいなとか。ねえ。しかも、しゃべってる声とラップやってる声が違うって気持ち悪いし、それは説得力ゼロやなと思って。まだ楽器は、しゃあないというか、そりゃできたら一番いいですけど、やっぱ当てぶりでやるっていうのは全然ありえる話なんですけど、やっぱ歌でしかもラッパーなので、そこをアテレコっていうのは、嫌です!って。

――「BECK」では、フリースタイルラップのリリックを自分で考えて、ラップは歯切れ良く迫力もあり、腰が入った動きも堂に入ったものでした。劇中のラッパー役として説得力がある演技を見せつけました。

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説得力ががやっぱ大事っていうか、見てる人がやっぱ冷めてしまうので、オレがやってないとなると。歌ってるときに。フリースタイルのリリックは全部、自分で書かせてもろうて。本当のラッパーの人たちがエキストラで来ていたので、なんかやっぱその人たちをあおっていくというか、その人たちになめられたらアカンっていうのもあったので。ちゃんとやりましたけどね。そういうば、今年、フリースタイルはやってますね。

――「Y・O・U やまびこ音楽同好会」に出演し、ロックバンド、イナズマ戦隊とコラボレーションした時は、一度挫折したギターを改めて練習したといいます。

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そうすね。ギターを弾きながらやってたので。経験はあったけど、Fが押さえられなくて。20歳前後の時に挫折して。一応、さわりはしてましたけど。また改めて。そういう意味では、やっぱり俺、もちろん好きで始める歌も別ですけど、ある種、やらないといけない状況というのは、すごく大切なことでもあるやなと思いましたね。そっからまたトビラを開いてくれるっていうか。なんもなかったらやらないじゃないですか。でもやっぱり人前でやるとなったら練習もするだろうし、そこでなんか、あ、なんかこう。、F押さえられるようになった、とかなったら、また超えていけるし。だから、ちょっとした壁って人間には必要やなみたいな。

音楽でプロを目指したことは、全くないです。ドラムは、ドラム自体がかっこいいなって思ってたし、ギターみたいに、指使ってっていうよりも思いっきり体でたたいてる方が俺には合ってるわって思ったのが高校の時で。その時は、BOOMをやったりとか、もう一つはオジーオズボーン。全然、振り幅がはんぱやない。

 

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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