Pop Styleブログ

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201302191549000 こんにちは!寒い日が続きますね~。そんな寒い中、ホットな鼎談を開催いたしました。

その名も「ガンダム鼎談」であります。

ファーストガンダムと呼ばれる「機動戦士ガンダム」シリーズの富野由悠季総監督、「ガンダムUC」のストーリー担当をされておられる作家の福井晴敏さん、そして、ビジネス本「僕たちはガンダムのジムである」で注目を集める常見陽平さんの豪華お三方です。

同じ部のガンダムファンも「よくぞ実現できた!」と感動してくれた鼎談なのですが、

実は藍ママ、どちらかというと「Zガンダム世代」でして、今回の鼎談にはびくびくでした。

「そんなんでよくできたね」と周囲のガンダムファンから呆れられたのも事実。

しかし! 記者がそんな情けないことを言っていてはいけないのであります。

「機動戦士ガンダム」第1話から順番に見ていき、予習いたしました。

そして、その大人っぽいストーリー展開に驚きました。

そんなガンダム初心者にはビッグすぎるお三方だったわけですが、

この3人が3人とも本当によくお話される方で(いや、もう大変ありがたかったです)。

鼎談予定1時間のはずが…あっという間に2時間を超えておりました。

お三方、そして関係者の皆さまに改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

「ALL ABOUT」はとても大きなコーナーなのですが、それでもとても収まりませんでした。ブログでは紙面に書けなかったお話なども載せたいと思っております。

 「イマ推しっ!」は藍ママがフライトシミュレーターに挑戦、大好評のタカラヅカ連載は星組の妃海風さんにご登場いただきました。

公演前の取材だったのですが、娘役さんらしく、髪を結い上げてドレスを着ていらしてくださいました!慌ただしい状況の中でもタカラジェンヌらしさを忘れない、妃海さんの娘役魂に感服いたしました。

「掛け合い時事ワード」はヨーグルトマシュマロ、「SCENE」は舞台「The Name」を取り上げております。それでは今週も盛りだくさんのポップスタイルをお楽しみ下さいgood

まずはですね、鼎談に入るまでけっこう時間がかかりました!

というのも、鼎談場所に提供していただいた会議室には、いわゆるビジネス用の机が何十個と同じ方向に置かれていたのですが、

見るやいなや富野さんが「う~ん」と考え出されまして…

「そっちは向こうやって!こっちのは寄せて!」とテキパキと机移動の指示を出されました。さすが総監督です!

そうしてビジネス机がT字に置かれたのですが、それを見て富野さん、

「なんか違うな…」とまた考え込まれました。

そうしてコの字型になったり、口型になったり、少しずつ変更して、最終形として机が三角形(△←このように)組まれ、

「これだこれだ!」と富野さんも納得されました。

その過程におけるリーダーシップにビックリいたしましたし、作品において大変こだわりがあるという風に聞いておりましたが、「鼎談の机の置かれ方」にまでものすごいこだわりを見せられ、しょっぱなから衝撃を受けました。

そして、ようやく鼎談を始めようとしたそのとき、富野さんが「このページは嫌い、もったいないじゃない」とおっしゃるのです!机に続き、カウンターパンチです。

まぁ、その理由としては、「俺なんか裏方が出るのはもったいない」ということらしいのですが、もう冷や汗吹き出しまくりです。「いやあのその、これまでも著名なアニメ関係者の方にもたくさん出ていただいているのですよ」ともうしどろもどろです。

そうしますと、福井さんが「話が進まないから(笑)」と助け舟を出してくださいました。

最終的に分かったのですが、富野さんは実は優しい方なのですが、

発言が過激なところがややあり、脱線しがちなところを福井さんが軌道修正してくださるような…そんな印象を受けました。

常見さんは生粋のガンダムファンで富野さんを見掛けた瞬間からもう感激のご様子でした。旧型ザクのガンプラを持ってきていただき、福井さんとガンプラ話に花が咲いていたのですが、富野監督としてはクォリティーに納得がいっていなかったようです。

確かに「子ども向け」をあえて意識してないところがガンダムの良さのひとつだったわけで、富野監督から見たら当時のガンプラは子どもだましに見えたようです。

アニメ「鉄腕アトム」の制作に携わり、アニメの生き字引とも言えるはずの富野さんですが、本人は否定します。

富野「

アニメの生き字引なんかじゃないですよ。僕はほかのアニメをほとんど見ないから。見ちゃうと引っ張られちゃう自分がいる。わかるから、よほどの必要がない限り、アニメとかマンガとか読まなくなりました。オタクではないんですよね。

オタクになるとたこつぼに入る。社会に向けて表現するという行為者になれなくなっちゃって、その典型的な例は映画好きが映画を撮るってやつ。文化人に成りえているやつほとんどいない。映画好きでだめなんです。映画好きというだけで現場に入ってきた人間はほとんど使い物にならないということ

しょっぱなから富野節全開だったのであります。それに対し、

福井さんは「いつも聞いてることなんで」と全く動じる様子がないのがまた衝撃的というか、実際の制作現場はどんな感じなのかもう想像できません。

福井さんも「ガンダム好きだったら、『ガンダムUC(ユニコーン)』のストーリー担当をしていなかった」と言います。

「ガンダム世代っていうのはマスなんですよ。我々の世代って、アラフォーって世代、ガンダムが好きっていうのはまったく当たり前のことなんですよ。オタクでもなんでもなくて、自分の枠(ガンダムUC)を作らせていただくときに「だからやろう」と思ったんですけど、我々っていうのは一番ガンダムがはやっていたころ、小学生だった。ガンプラ買うのに並ぶでしょ、そうすると知らない人がいっぱいいるわけ。で、その面構えをみるともやしっ子もいるし、ガキ大将もいるし、全員いたわけですよ」

「とりあえずみんなが、プロ野球の巨人が好きとかと阪神が好きとかいうのと全く同じ次元でガンダムが好きっていう感覚。だから我々の世代より以降というのと全く層が違うわけなんですよ。我々のアラフォー世代で『ガンダム世代』っていうのは潜在的にもう全員なんです。ほぼ全員。何しろもう買ってないやつ、いなかったわけだから、その人たちに波及するものが作れるんだったら、今言われているガンダム市場とはスケールの違う商売ができるのではないかと思ってスタートした」

常見さん:今38歳で4月に39歳。幼稚園に入る前、79年、北海道札幌市出身で、そのことがラッキーでしたね。地方の方がね、再放送が多かったんですよ。リアルタイムでも見ていたんですけど、再放送があるたびに見ていて、ガンダムに感謝しているのは毎回みるたびに発見があることですね。毎回、変わってるなと。福井さんの話で言えば、見てない人がいないわけですよ。とにかく、難しくて分からなかったわけですよ、でもみるたびに面白いなと思って、北海道っていうこともあって、ガンプラも手に入らないわけなんですよ

福井:それはもう全国的にでしたね。

常見:僕は当然、ガンダムかシャア専用ザクが欲しいわけですよ。でもないんですよね。近所の生協のおもちゃ売り場に行ってね、毎日

富野:生協?(笑)

常見:ええ。コープさっぽろですよ。歩いて行けるのがそこなんですよ。

福井:なるほど

常見:毎日、学校の帰りとかに寄って、「きょうはガンダムあるかな」ってのぞくんだけどないんですよ。やっとお年玉で小学校2年生になってやっとガンダム買えたんですよ。はじめて買えたのが札幌のパルコのおもちゃやで。旧型ザクだったんですよ。旧型ザクで、小さい箱を受け取れたときの感動は今でも忘れられないですね。開けたときの感動と、一生懸命作って、ボンボンだとか、親戚が持っていたプラモデル大百科とか見て、色の塗り方を見て、組み立てていったのを覚えています。それがやっと手に入ったときの感動と見るたびに発見がある奥深さ、ちょうどそのボンボンを見てたらMSVというのがあると。ジョニーライデンというすごい人がいたとか

福井:我々はもう知らない感じの

富野:もうついていけないですね

というような感じで、全体的なガンダムについてはひょっとしたら常見さんが一番お詳しいのかもしれないという印象を受けました。

福井さんはガンダム人気は一時、静まったが、20周年あたりで再浮上してきたと言います。そして誕生から30年以上たった今も人気があるというのはすごいことだと思うのですが、こうしたムーブメントについて想定はあったのか富野さんにお聞きしてみました。

富野:その質問はかなり難しい。

ファーストガンダムの映画公開の半年前に、映画「スター・ウォーズ」の公開があったんですよ。それですごくヒットした。

だから、「スター・ウォーズを越えるか全滅か」っていう2つの選択しか僕の頭になくて、

このガンダム人気が30年続くって言う形での予想はしなかった。というのは基本的にエンタメっていうのは、つまり、ヒットするかしないか、何度か映画館にも行ってみたんだけど、映画館にしかけること(爆発的にヒットさせること)はできなかった。

この30年間の評価のされかた、波及効果論として、効果のあり方とか、浸透の仕方っていうのは「スター・ウォーズ」とはちょっと違うでしょ。

福井:質感は全く違いますね。

富野:こういうふうになるとは思ってなかった。そういう意味で、映画に仕掛けができなかった自分の惨敗感ていうのはあります。

ただ、結果論でいえば、こっち(波及効果があった)のほうがよかった、ていうのがあるんで。

それが悔しいといえば悔しいし、ルーカスに勝ったといえば、いえるのかもしれないし

これは実は本人が言っちゃ言えないことなんです。

他人の評価を待つ身なんだけどね。

基本的にルーカスに勝ったかもしれないとも思っているよ。

福井:すごい分かりやすい話をすると、興行成績ではもう、勝ち目ないんですよ。全然勝ててないっす。全体のマーチャンとかパブリック、出版のあれとか含めて考えたときにどちらがより大きな市場を形成したかっていうとってこと。

富野:日本国内はそうなんです。僕はほんとはね、ワールドワイドにしたかったの。そう考えると惨敗感の方が強いよ。

福井:最近、アジアでもすごい人気ありますけどね。けっこうキテますよ。

富野:それは承知してる。だからあと20年待てばワールドワイドになるかな(笑)

スター・ウォーズつぶせるかなと。今それ言っちゃだめっしょ。僕はそれを30年前に言ってたわけ。

私が印象に残った富野さんのメッセージ

「僕はインテリじゃないから、ある意味福井くんのような海上自衛隊をすごく調べて書くとかそういうことはできない。地頭が良くないから直感だけで『大人たちのやってることは間違ってる』的なことを書いた。そういうのしか書けないんだよ。だから若い人たち、小中高校くらいはちゃんと勉強せいよ、スマホとかゲームとかやってるひまなんかねえんだよと言いたい」

とのお言葉をすべての若者に送ってとりとめのないブログは終了いたしたいと思います。

そして紙面の見どころとしては、

お三方に「機動戦士ガンダム」のお好きなシーンを挙げていただいております。

なんと、主人公アムロが登場するシーンがひとつもない(笑)というのも乙な感じです☆

そして、「はまっているもの」も持ってきていただきました!

「はまっているものって安易すぎるんだよ!」と言いながらちゃんと持ってきてくれる富野さん、実は本当にお優しい方なんです。

それでは皆さま、これからもガンダムを見て明日を生き延びていきましょう♪

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常見陽平さんの著書「僕たちはガンダムのジムである」(ヴィレッジブックス)を常見さんのサイン入りで5人に贈呈します。紙面掲載のキーワードが必要となります。応募はこちらをクリックしてください。2月24日(日)が締め切りです。

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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