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「ALL ABOUT → Pia-no-jaC ←」ブログ延長戦の第3弾は、忘れちゃいけません。ピアノジャックの原点といえるストリートの話です。実は、この部分が二人のハチャメチャな(懐かしい表現だなぁ)エピソード満載なのですが、紙面ではほとんど触れられずにいました。私自身にとっても、もっとも興味ひかれる話でしたので、楽しんでいただけると思います。

ピアノジャックの2人って、ずっとストリートというイメージがありますが、出会いの場所がレコーディングスタジオで、その後ライブハウスで何度も再会したりと、本来は2人ともライブハウスでの活動が中心だったそうです。その流れで、ユニット結成当初は、なじみのライブハウスを回っていた。そこも「1か月に23本ぐらいライブをやっていた」(HAYATO)というのが、彼ららしいんですがね。でも、もっと知名度を上げたい、客層を広げたい、ライブハウスにも来られない人にも聴いてほしいと考えて、ストリートを始めたそうです。そして、ストリートでいかにして聴いてもらえるか、足を止めてもらえるか、と様々な工夫をしたことが、彼らの巻き込み型ライブの原型を形作っていったのです。

「最初は演奏するだけだったんで足を止めてもらえず、通りすがられるたびに『あれ、聴いてくれへん、聴いてくれへん』って。そっからどうしたら聴いてくれるかなっていうことから、初めての人も楽しめるような巻き込み型のライブにしていったんです。演奏してるだけじゃなくて、どんどんパフォーマンス磨いたり、もうちょっと遊びの要素を入れてもいいかなって考えたりした。手拍子をあおってみたり、『向こうの人全然やってないぞ~!』とか言ったり、パントマイム的に気になっている人を引っ張ってみたり」(HAYATO)

さらに、パフォーマンスを磨くきっかけになったのが、自主制作のCDを売るテクニック。最大時は1か所の路上で、1枚500円のCDをダンボール2箱空にして、3、4万円の売り上げがあったとか!

「時間にしたら4時間ぐらい。2曲で10分ぐらい演奏して、10分CD売って・・・というのを繰り返して。ステージ数にするとかなりの数になるんですよ」(HAYATO)。「キラーチューンばかりで。そのころはクラシックやってなかったんで、ジャックとか」(HIRO)。「その4時間、ジャックとか同じ曲を何回もやるので、正直言うとこっちも面白くなくなってくるんですよ。どう面白くしたらいいかってことでどんどん変化して、勝手に暴走し出したりとか、ピアノ離れてお客さんとこ混じって手拍子あおってみたりとか。ずっとカホンほったからしにして、『カホン!HIROー!!』とか言ったり」(HAYATO)

なんか、今のスタイルに通じてきてきましたね。この1日で3、4万売ったという伝説の一夜は、彼らが大阪で活動していた時代、四国ツアーで生まれたものらしいのですが、そのツアーについて詳しく聴いてみると、本当ハチャメチャで・・・・(笑)

「車で機材とCDダンボール箱3箱ぐらい積んでだけで、お金も全然持っていかずに四国に行ったんですよ。だから、おなかへってもストリートしてCD売らないと、その日食べられない。なので、本当に必死ですよね。ストリートを止められてしまった終わり。するとどうするかっていうと、近くのバーとかスナックとかライブハウスに電話して、『今からライブしに行っていいですか』って飛び入りで行って、そこでCD売って。そんときってホントに1日食パン1、2枚ですよ」(HAYATO)。「次の日に神戸でライブがあるっていうときに、まだ四国の香川におったんで、このままだと残金も底をついていて、『明石大橋渡れへんぞ』って」(HIRO)。「まず、ガソリン入れられへんなっていう話で」(HAYATO)。

すごい話でしょ。こんなギリギリのストリートツアーをやったたから、必死でパフォーマンスしてCDを売って、ということがせざるを得なかったんですね。でも、このハングリー精神も、彼らの重要なアイデンティティーのような気がします。ライブハウス出ていた時期にしても、23本ライブ入れる合間に夜中から朝までバイトしていたというんですから。これは、第1弾のハードスケジュールにも書いてもよかった話ですね。

ところで、2人でツアーに出るときは、HAYATOさんがずっと運転手。「こいつ免許もってないんですよ」ってHAYATOさんは、インタビュー中に2度もHIROさんを指していましたが、さすがにHIROさんも2回目には「何回言うねん!」ってマジツッコミしてました(笑)。この辺のやりとりは漫才コンビばりの応酬で爆笑ものでした。

「こいつ免許もっていないんですけど、ずっと僕運転して、セッティングしてライブして、運転して、横で寝てるんで、1回殴って、また運転して。運転してるときずっと寝てるんですよ。そりゃ殴りたくもなるよ」(HAYATO)。「でも、ツアーに行く時、金持ってきてないんです(とHAYATOを指さす)。オレ、それまでに必死こいてメッチャバイトして、寝る間削って金もってきてんのに、『いくら持ってきた?』『1000円』『は?』って」(HIRO)。「だって、だってね。ツアーって、CD売って稼いだお金で次行くもんでしょ」(HAYATO)。「って言ったから、『お前ガソリン代まずどうすんねん。駐車場代どうすんねん』って言ったら、『ああ、そうか』って。まず四国行けへんやろうって。ま、それでまあバイト代が生きましたけど。なもんで、持ちつ持たれつでお願いしますよ」(HIRO)。

2人の性格の違いが出てますね(笑)。お互いに、ない部分を補いあっているところがほほ笑ましい。

ところで、四国ツアーでストリート止められた時にバーなどに電話かけて飛び込みで行くという話は、CDデビュー当時の話にも通じますね。CDショップやショッピングモールに2人が自ら電話したり手書きFAXを送ったりして、インストアライブをさせてほしいと売り込んだそうなんです。それこそ、2人で地域を分担しながら全国片っ端から当たりながら。最初は、知名度がない彼らは全然受け入れられなくて苦労したとのこと。

でも、その中でもヴィレッジヴァンガードでのインストアライブや、イオンショッピングセンターのフリーライブは、彼らが幅広いファン層をつかむのに大いに貢献したんですよね。樫原プロデューサーは「イオンは、ライブハウスにも来られない、おじいちゃんおばあちゃん、子どもなどにも見てもらえる機会になった」と、振り返っています。喜んでもらえるなら、どこへでも出て行くというピアノジャックの姿勢は、ストリート発だからこそだと思いますし、その姿勢をいまだに貫いているから、ライブハウスにも来られないファンも、音楽に詳しくない人でも、ドンドン引き込み続けていられるのでしょう。

最後に、ストリートにこだわりを持つ彼ららしいコメントで第3弾を終わりにしたいと思います。

「1回やりたいのは、たとえ武道館でライブをしたとしても、次の日、下北の駅前でストリートしようみたいな。面白くないですか。『遠いのか近いのか全然分かんないな、この人たち』って」(HAYATO)

「俺たちにとっても、どっちも得られるところってたくさんあるんですよね。ツアーずっとやってきた中で、久しぶりにストリートやってみると、アレ?っていうぐらい人が集まらなかった時とかあって、違うと思って修正したら、集まった。その感覚二つ持ってないとピアノジャックじゃない」(HIRO)

「ライブハウスと、フェスと、ホールって違うんです。動き方も、見え方も。その切り替えがすごく難しくて、またストリートに出ると別物なんです。その感覚は忘れたくないな」(HAYATO)

第3弾、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。そろそろネタが尽きてきたかって?いやいや、まだまだ絞り出しますよ。連休も関係なく、第4弾も明日更新します!

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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