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非モテ王子(a.k.a.編集長二代目)です。

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そんな訳で、きょうも(央)記者に引っ張ってもらいたいところですが、さすがに「疲れた」そうなので、まあ、今日は名バレリーナのアレッサンドラ・フェリさんの引退会見のレポでも書くことにしましょう。30日の午後4時半から、東京都内のホテルで開かれたものです。

引退、時期尚早では?

「フェリ、Who?」と思われた方も多いでしょう。そこで、ひとことで説明すると彼女は「女優バレリーナ」の最高峰。バレリーナって、大きく分類すると、華やかな技で見せる人と、演技で感動させる人のいずれかになるのですが、フェリさんは後者のタイプの典型なのです。

1963年生まれですから、この欄で何度か紹介したアナニアシヴィリさんと同い年。吉田都さん、シルヴィ・ギエムさんなど40代のバレリーナの最近の活躍ぶりを見る限り、「時期尚早では?」と思えてなりません。そこで、会見の冒頭で「引退の理由」を直撃してみました。

おそらく、何度も聞かれた質問でしょうが、フェリさんは懇切丁寧に答えてくれました。まずは決断するまでの葛藤を明かしました。「引退は一夜で決めたのではない。いろんな要素をパズルのように組みあわせて考えた結果、今がその時だと思った」とのことです。

カルメン、ジュリエット、マノンと向き合えなくなる前に

要素の一つとは、ダンサーとしての決断。最高の状態で辞めたいという思いです。これまで当たり役にしてきたカルメン、ジュリエット、マノンは「私の人生を捧げてきた女たち」だといいます。そして「何年かして踊れなくなって、彼女たちと正面から向き合えなくなったら失礼に当たるのでは」と思ったとのことです。

娘たちの側にいたい

もう一つは、母親としての決断。娘さんたちの成長につれて、世界中を旅して回るバレリーナの暮らしが重荷になるのでしょう。「娘たちが母親を必要とする時期に側にいてやりたい」と、優しい口調で語っていました。

こうした要素が結びつき、「今が引退の時と思った」と言うのです。

Feri0745 そんな訳で、8月2、3日、6日に東京文化会館で、彼女の業績をたたえるためのガラ公演が開かれます。この日の会見にも、ロベルト・ボッレ、ホセ・カレーニョ、ジュリー・ケント、マルセロ・ゴメスらそうそうたるゲストダンサーがずらり。「彼女の踊りからすごいインスピレーションを与えられた」などと、口々に賛辞を語っていました。

会見中、印象に残った言葉をいくつか書きましょう。まず「ダウエル、バリシニコフ、ヌレエフら、たくさんのパートナーから学んだことを惜しみなく伝えたい」というのを聞いて「おお!」と思いました。まさに20世紀のバレエ史を歩まれているんですね。また、「舞台上では自分の真の姿をさらすこと、真の感情を出すことを怖がらなかった」というのも至言ですね。だからこそ、一挙手一投足が心に残るのです。

山手線でオーラを放つ「あの人」が

 後は私の「フェリ体験」を紹介しましょう。私が初めてフェリさんを見たのは、7,8年前かなあ。夕方の山手線の中でした。混雑気味の車内で燦々とオーラを放っている小柄な美女がいる!ので「誰だっけー」と思い返すうちに、その人は上野駅で颯爽と下車。そうなんです、東京文化会館に颯爽と向かうフェリさんでした。

吉田都さんも「涙」

  また、6年前に、吉田都さんに「印象に残った舞台」をテーマにインタビューをした時、返ってきた答えが「ジュリエットを踊るフェリさん」でした。当時の吉田さんはバレエ学校の学生で、「フェリさんの迫力のある演技を見て、涙が出た」と語られていたのも忘れられません。確かに、フェリさんが新国立劇場バレエ団に客演した「マノン」や「ロミオとジュリエット」では、マジに目頭が熱くなったなあ。

そのお姿が見納めだと思うと、感慨深いものがあります。チケ代は高めですが、皆様も見ておいて損はないのでは。あと見られない人のために、火曜日夕刊の「クラシック・舞踊」のページで来月中旬ぐらいにレポする予定なのでお楽しみに。

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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