皆さんは、男鹿和雄さんという方をご存じでしょうか。名前は知らなくても、きっと男鹿さんの描いた絵はどこかで見たことがあるはずです。「となりのトトロ」や「おもひでぽろぽろ」、「平成狸合戦ぽんぽこ」などの美術監督を務めたのをはじめ、数多くのスタジオジブリのアニメ映画で、あの美しい背景の数々を描いてきた方です。ジブリアニメの、武蔵野や多摩丘陵の豊かな生き生きとした自然が印象に残っている人も多いでしょう。もちろん、今夏公開の最新作「ゲド戦記」の背景にも参加しています。
その男鹿さんが、背景だけでなく、人物を含めた作画や脚色、演出までを手がけた第1回監督作品「種山ヶ原の夜」のDVDが、7月7日に発売されます。宮沢賢治の原作を基に、岩手県の北上山地で暮らす人々と自然との交流を「紙芝居映像」という手法で表現しています。25日に、秋田県仙北市のたざわこ芸術村で行われたDVDの発売記念イベントを取材してきました。
秋田県は男鹿さんと、俳優の山谷初男さんの出身地。山谷さんは、地元の子供たちとともに方言で「種山ヶ原の夜」の声を吹き込みました。イベントでは、作中の歌を歌った女声クラシックアカペラグループ「アンサンブル・プラネタ」のミニコンサートや、作品の上映会、男鹿さんと山谷さん、子供たちの座談会が行われ、集まった人たちは美しい歌声と地方色豊かな作品を楽しんでいました。会場には男鹿さんの恩師や旧友なども訪れ、和気あいあいとした雰囲気でした。
「種山ヶ原の夜」はせりふが全編方言で、なじみのない人にはやや分かりにくいかもしれませんが、男鹿さんが温かいタッチで描き上げた風景に込めたメッセージが、じんわりと伝わってくるような気がします。機会があったら、一度ご覧になって見て下さい。
読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。