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宇宙飛行士 若田光一との対話ブログ 坂本勇人さんとの対話

高校野球の体験 宇宙で活きる

2009年4月24日

巨人軍 坂本遊撃手へ、

Wakata3  私は昔からのジャイアンツファンなので、宇宙からご活躍をお祈りしております。

 チームワークの大切さは高校野球を通して身に染みている私ですが、国際宇宙ステーション(ISS)でもそれが活かされています。

 「宇宙飛行士」は、一般の人が抱いているイメージより以上に「チームワーク」を要求される場面が多いのです。

 例えば、宇宙でのロボットアームの操作があります。今回のミッションでは太陽電池パネルをシャトルから取り出しISSに取り付ける際に、ISSの中でフィリップス宇宙飛行士と交代しながら作業を行いました。私がロボットアームを操作するときには彼がアームの位置をカメラで確認し、手順を読み上げてくれ、彼がアームを操作するときには私が同じサポートをします。

 これに加えて船外活動で太陽電池取り付けを行うクルー、シャトル内にいるクルー、地上から支援情報を伝えてくれたり、作業進行管理をしてくれたりする管制官など、効率的に作業を成功させるにはたくさんの関係者との協力が必須なのです。

 地上での何十回にも及ぶ訓練がベースとなっていることは当然ながら、関係する人々の間の情報伝達のタイミング、簡潔さ、正確さ、これらがすべて上手くいってミッション成功となります。軌道上でのチームワークは最も大切です。

 今回は、軌道上でトータル22人のクルーが一緒に活動します。米国15人、ロシア3人、カナダ2人、ヨーロッパ1人、そして日本人が私1人です。それでも、「日本人として」連携に苦労することはまったくありません。

 アメリカ人だから、ロシア人だからといった違いも、むしろ日常生活ではお互いの文化に関する話題を提供してくれるくらいです。そして、年長者や経験者に対する敬意はもちろんありますが、日本のスポーツ界でよく見受けられる「先輩/後輩」という形での区別はありません。いま一緒に滞在しているパダルカ船長、バラット飛行士は私より四つほど年上ですが、「Gen」「Mike」そして「Koichi」とファーストネームで気楽に呼び合っています。

 私もアポロ宇宙飛行士に憧れを抱いて宇宙を目指しました。いまの子供たちにも私たちの活動を通じて宇宙への「夢」を与えられればと思っています。坂本選手も、将来の巨人軍選手そして多くの野球ファンの皆さんに「夢」を与えてくださるよう、シーズンでの大活躍を期待しています。お互いに頑張りましょう。

                   軌道上滞在31日目、 カナダ上空にて

                              若田 光一

 Uchu_3
宇宙の若田さんの写真


Chijou
地上の若田さんの写真   


Eth きぼう アラカルト
(ニュースでたどる若田さん@SPACE! )

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