どうも、修正疑惑ダイエッター、(森ゾー)です。けさ、実家の母から「お前、きのうの夕刊に写真が載っとったね」とメールがあり、「写真だと余り太って見えないねえ。ずるいわ!」という不思議な文句が来ました。「めぐる88」の作者、岡本一広さんとの対談記事に掲載された写真のことです。
別に写真を修整しているわけではないのですが、「太っちょ人生」もけっこう年期が入っているので、「それほど太ってみえないように見せる写真の写り方」を体得しているのです。そもそも・・・・。
そもそも・・・・、紙面で私の写真をご覧になった方はわかると思うのですが、私のお腹のあたりに、お遍路で使う頭陀袋(ずだぶくろ)がありますよね。これも一つのテクニックで、頭陀袋ででかいお腹をカモフラージュしている訳です。
ほかにも「顔の角度」や「笑顔のニュアンス」「菅笠のかぶり方」など、色々と「痩せ見せ」ポイントはあるのですが、実際に紙面で確かめてみて下さい。
そもそもこのマンガ「めぐる88」(岡本一広作、デジタルコミック誌、電撃コミックジャパンで連載中)を取り上げようと思ったのは、紙面でも少し触れましたが、単行本1巻に「これはまるでオレじゃないか!」というぐらい似ている太ったお遍路さんのキャラが登場してきたからです。
このダラダラの汗だく加減や、冷たいペットボトルのお茶を一気飲みするしぐさなど、まるでお遍路中の自分の姿を見ているかのようでした。物語では、こんな傍若無人な彼が「ある出来事」をきっかけに改心するのですが、それは単行本1巻でお確かめ下さい。(画像は「めぐる88」1巻76ページより、ⓒKazuhiro Okamoto)
さて、本紙ではスペースの都合で、この太っちょキャラの画像と、対談の大部分を載せることができませんでした。せっかくですので、このブログで紹介します。本紙を読んだ後にご覧いただければ幸いです。
【以下、対談】
森 今、40歳(取材時)ということですけど、取材スタートはいつだったんですか?
岡 おととしの12月ですね。最初行った時は寒かったです。
森 自分で実際にお遍路やってみようと思ったのはなぜですか?
岡 何となく、いつかは巡るような気がしていたんです。最初に大学でこっちに来た時に、夜に散歩していたんです。この石手寺(注・取材場所が松山市の51番札所・石手寺境内だった)の裏の山のところに、でっかいお大師さんがいるのを知らずに山を昇って。すごくびっくりして、10何メートルもあるお大師さん像で、「おおーっ」っていう感動が、お遍路やってみたいと思った最初でした。
森 プロの漫画家になられて、執筆活動を続ける中で、「お遍路をテーマにしたい」とずっと心の中にあったということですか?
岡 いや、どうでしょうねえ。あったのかなあ。そんなにしょっちゅうお遍路さんを見かけるわけじゃないですよ。コースにはずれた所に住んでいたから。だからまあ、連載が決定してから本格的に調べましたね。第1話は、色々調べて本とか読んで、こんな感じだろうなとネームを切って編集者からOKをもらって、それから徳島に行ってロケハンしました。第2話からは、実際の体験を描いてる感じです。
森 単行本の1巻では特に、吉野川の景色がリアルですよね。実際に行った人じゃないとああは描けない。忘れられた島みたいになっていますよね。僕のお遍路経験が思い出されました。川と川の中州なんですよね(写真は、善入寺島から潜水橋を渡るお遍路さん。この時の取材で(森ゾー)が撮影、ちなみに、この時取材した内容は5月17日夕刊「旅」面で掲載されました)。
岡 あそこ、すごい広い無人島ですよね。とぎれとぎれに歩いて、ネタを拾っては描くという繰り返しですね。1番から始めて、今は23番の高知に入ってまして、ずーっと海ですよ。
森 ほかのエピソードも色々リアルですね。たとえば、お遍路さんが通りすがりの子供たちにあいさつされるとか。
岡 1巻では愛染院のところとか、坂道がごろごろ落ちた場面のところとか、五百羅漢とか、お接待とか、全部自分で見たものですね。創作ノートとデジカメを持っていきました。デジカメ1個、写真撮りすぎて壊れちゃいました。多分、寿命が来たんだと思います。起動しなくなっちゃって。風景写真を1万枚ぐらいは撮ったんじゃないかな。バッテリー変えても動かないんで。
森 般若心経とか礼拝の作法とかも、お遍路やりながらマスターしてきたんですか。
岡 そうですね。実際にご朱印も、もらっています。
森 ネタを自分で考えることも必要ですけど、お遍路やるだけでネタが落ちているといいますか、転がっているといいますか。
岡 はい。そうですね。
森 主人公の太一がお遍路をするきっかけになるヤクザの人にも何か背景がありそうですね。
岡 たぶん、1回2回は巡ってるんでしょうね。過去に人を殺したとか、そんな過去があるんだろうなと。
森 そんな感じで、お遍路を通じて人生の奥深さを書けるのがいいですね。
岡 歩くことは散歩じゃない、みなさん目的があって歩いているんです。その過程で、自分の中にあるものを発見できる喜びがある。そして、自分の嫌なところも見えてくる。1巻でも「お接待してくれんのか」とハルカが心境を吐露する場面は、そういうことを考えながら描きました。
森 じゃあ、1巻のカバーに「勝手にキャラがしゃべり出す」と書いていましたが、それはお遍路の経験が自分の中にあるから?
岡 はい。そうでしょうね。
森 だいたい、何割ぐらいが経験談なんですかね。
岡 うーん、でも、半分ぐらいは、経験かなあ。
森 12番札所の焼山寺(徳島県神山町)に向かう山道に出てくるトレッキングの人は、実際に見たんじゃないですか。
岡 はい、いました、いました。足、早いんですよ、あの人たち(笑)。あとは車のお接待も一回ありました。あめ玉とか小銭ををばーっとお接待してれるおばちゃんも、実際にいた人です。
森 僕が受けた最高のお接待は、家に泊めて貰いましたよね。 あと、1巻では宿坊のシーンでお坊さんの法話も出てきますが、これも実際に聴いたものですよね、おそらく。
岡 はいそうです。「いい話聞いたなー」と思って、急いで自分の部屋に戻ってメモしました。
森 これからどんどん太一とハルカの2人、色々な人に出会っていくことになりそうですね。
岡 お遍路さんはみんな、いろんなものを背負って歩いているので、色々なエピソードが描けるなと思っているんですけど。
森 連載は88か所回るまで終わらないんですよね。
岡 だといいんですけど、どうでしょう。自転車操業みたいなものですからね。もうそろそろ3巻目の話が埋まるぐらいは連載が進んでいるんですけど、ちょっと苦戦中です(笑) そろそろネタが尽きてきていますので、また取材旅行に行かないと。僕は愛媛に住んでるので、徳島と高知って、対角線ですごく遠いんです。車で行くときもあるし、高速バスも使う。ただ、山道なんかは実際に歩かないと状況が分からないので、歩きますね。
森 太一とハルカの二人が、掘っ立て小屋みたいな善根宿に泊まったり、野宿とかもあるんじゃないですかね。いつ、二人は一線を越えますか?
岡 ふふふ、どうですかね。二人きりで野宿をせざるを得ない状況というのもあるでしょうからね。
森 徐々にストーリーが進むにつれて、二人の人生も少しずつ見えてきています。これから、どんな物語を用意していますか。
岡 二人以外にも、色々なお遍路さんの話を盛り込みたいと思ってるんです。バス遍路の人たちとか。色々考えてるんですけど。
森 僕、8年ぐらい家に帰っていないで、四国を40周した人と一緒にバス停で野宿したことがあるんです。40周もしていると0円で四国を巡れるそうです。土地どちにサポーターがいて、そこを巡れば1円もかからないと。ぜひネタに使ってください!(と、過去の森ゾーのYOL連載「日日是お遍路」のデータを渡す)。
岡 は、はあ・・・・(苦笑)
※追記
この時の「無茶ぶり」が実現し、私が出会った「四国0円生活のお遍路さん」についてのエピソードが、5月25日に更新された「めぐる88」の連載最新話で実現していました!岡本さんのブログでご紹介いただいております。岡本さん、本当にありがとうございます!!うれしいです!
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