まずは、一昨日夜の話から。26日午後8時ごろ、とある駅前のバス停の待合室が野宿スポットという情報を元に行ってみると、そこには先客がいました。「ご一緒してもよろしいですか?」「どうぞどうぞ。俺のもんじゃないし」とのこと。「どうも、森重と申します。お遍路はどれぐらいやってるんですか?」というと、「40周かな。もう6年間、家に帰ってないよ」という衝撃発言。お名前は伏せますが、某大物プロレスラーと同じ名字の方でした。年のころは60歳ぐらいでしょうか。「俺の名前は、お遍路業界ではちょっと知られたもんだよ」といいます。へー。
「な、なんでそんなに回ってるんですか?」「うーん、やっぱり『四国病』なんだろーなー。とりあえず50周するまでは家に帰らないつもりやよ」。1周あたりだいたい45日かかるそうですので、1年でだいたい8周できることになります。となると、あと1年半は少なくとも帰らないんでしょうか。
「1周するのにお金はどれぐらいかかりますか?」「1周目は5万円ぐらいかかったかな。今はゼロや」「ええっ!?」「これだけずっと回ってると、『近くに来たら必ず寄ってくれ』っていう家も結構できてきたから。そこでお金も少しくれるし。1食はご飯もごちそうになれる。あとは一切泊まらずに野宿している」とのことです。何ということでしょう!たとえは悪いですが、港々に女がいる船乗りみたいなものでしょうか。私と一緒に泊まっている野宿スポットも、近くに野菜をくれるお宅があるから、毎回近くに来たら必ずここで寝ているのだそうです。
さあ、遍路野宿初体験。持ってきた寝袋に潜り込むも、左脚の弁慶の泣き所がものすごく痛み、あと野宿ということもありなかなか寝付かれません。一方、プロレスラー氏は10分もたたずに高いびきをたてます。寒くてガチガチふるえも来ました。どうやら、野宿するにはまだまだ修行が足りないようでした。
翌朝、プロレスラー氏にお礼を言って午前6時に出発。痛い左脚をだましだまし、徳島県を南下します。前回の記事で書いた「宍喰温泉」で汗を流し、3時間弱、野宿の疲れを癒やして、また出 発。徳島県境を越えて海沿いの道を行き、24番最御崎寺の15キロ手前の宿を目指します。ずーっと、海を見ながら歩きます。果てしなく遠い。途中でサルの親子らしき3匹が、私の目の前の道路を横切っていきました。ちっちゃかったので、普段なら襲われても対抗できそうですが、今、疲れ切っている状態で襲われたら太刀打ちできなさそう。写真を望遠で撮って、すぐにドラクエの「にげる」コマンドのように、スタコラサッサと逃げ出しました。
宿に着いたのが午後8時。、ビールを飲んでほっと一息つきました。左脚は、少しは良くなっているといいのですが・・・。28日は、空海が悟りを開いたという室戸岬に到達する予定です。ではまた。
掲載紙購入法は→→「ここ」をクリック!
(森ゾー)への励まし、または感想、質問は popstyle@yomiuri.com