細田守監督最新作「おおかみこどもの雨と雪」製作発表会詳報

(福)です。

さて、「時をかける少女」「サマーウォーズ」などで知られる細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」が2012年7月に公開されることが、本日の製作発表会で明らかにされました。すでに各所でニュース記事が出ていますが、こちらでは趣向を変えて、発表会での発言や質疑応答をできるだけ詳しくお伝えしてみることにします。聞き間違えや要約ミスなどもあるかと思いますが、その点はご留意のうえ、お読みいただければ幸いです。

奥田誠治エグゼクティブプロデューサー

細田守監督と僕らが一緒に制作している作品は「時をかける少女」「サマーウォーズ」、この作品で3作目。ホップステップジャンプという形で大きくしていきたい。前作では皆さまの応援をいただいて素晴らしい結果を得ることができました。特に日本国内はもちろんですけども、全世界で細田監督の作品が広まっていったということが、すごく僕たちにとってもうれしい出来事でありました。

そして今回の作品に関しては、国内の方々にもちろん見ていただいて、広めていくのも大事なんですが、この作品を全世界の方々にも喜んでもらうということで、それを考えております。現在、大変厳しい状況にいる人たちも含めて、そういう人たちに大きな夢と希望を、本作を通じて感じていただけるようなことになれば、僕ら製作陣としては、それが願うところであります。スタッフに関しては、前回のメインのスタッフの方々がそのまま本作にかかわっております。2012年の夏の公開ということで、約7か月ありますけども、皆さまと一緒にこの作品を育てていただければと思っております。どうか一つよろしくお願いいたします。

細田守監督

皆さま今日は本当にたくさん集まっていただいてありがとうございます。監督の細田でございます。前作「サマーウォーズ」で、皆さんのお力でとてもたくさんの人に見ていただけました。すごく感謝いたしております。映画というのは、皆さんに見ていただけて、気に入っていただけて、初めて次が作れるものだと思うんですね。このようにまた新しい作品を作るチャンス、機会を得られたというのも、本当に皆さんのおかげであり、観客の皆さんがすごい楽しんでいただけたからかなあ、と思っております。

新しく作品を企画し制作することになりました。タイトルが「おおかみこどもの雨と雪」という作品であります。簡単に内容を言いますと、おおかみおとこと恋に落ちた若い女性が、彼と結婚して子供を産んでその子供を育てる。ただ、その子供のお父さんはおおかみおとこですから、半分おおかみ、半分人間の子供が生まれてくる。さて、そのお母さんはどうやってその子供を育てるのか。というようなストーリーになるかと思います。ということは、お母さんが主人公なんですね。若い女性、お母さん、花という名前なんですけれども、彼女の目線から見て子供と一緒に過ごす幸せな時間や苦労する時間や様々、そういった充実した時間を過ごしていくと。そういったような映画を考えております。今制作中でありまして、まだまだこれからやることがたくさんあるんですけども、恐らくまた皆さんに楽しんでいただけるようなものになるといいな、というふうに思っています。

特に、チラシにもあるんですけれども、二人子供がお姉ちゃんと弟がいまして、この二人の子供がまたとてもかわいいといいますか、すごく愛らしくて生き生きとして、すごくバイタリティーにあふれている。ずっと映画の中でバイタリティー、生き生きしたものを描きたいと思ってやっているんですけれども、「時をかける少女」「サマーウォーズ」と続きまして、この作品でも、生命力といいますか、すごく生き生きと元気な作品を作っていきたいなと思いますので、皆さんよろしくお願いいたします。

(司会から質問。配布資料にもあるが、2006年の「時をかける少女」では女子高生の青春を、2009年の「サマーウォーズ」では監督ご自身が結婚されて、その時体験した親戚付き合いから物語が膨らんでいった。青春、結婚と来て、「おおかみこども」で親子の物語を作ろうと思ったのはなぜか)

細田

考えてみたら、時かけは青春もので、サマーウォーズは親戚。親戚をテーマにした映画もなかったかと思うんですけども。そういう自分の実体験から来ている所がある。今回、親子の話を作ろうと思ったのは、ちょうど僕の友人たちが、同じぐらいに結婚をして、子供をもうけるカップルも何組もいて、そういった友人夫婦たちを見ていると、僕の家は子供いないですけども、友人たちの子供をかわいがってる顔を見ると、たまらなくすてきだなあ、素晴らしいなあ、とすごく思ってしまいまして。これが、以前だとあんまりそういうふうには。結婚したら子供産むって普通のことのように思ってたんですけども。結婚してから、よりなんか、お父さんお母さんが子供を作って自分の子供を見るのってものすごい優しい目になるんだなと、すてきなことだなと思って。そういった憧れを強く持っている。その憧れをそのまま映画にできたらいいなと思って発想いたしました。

(「おおかみこども」というワードはどこから生まれてきたのか)

細田

じゃあその子供の生き生きしたものを、憧れを持って描きたいなと考えた時に、本当に子供ってバイタリティーがあって、何をするか分からないみたいな、そういった所を一番うまく描ける、そのままじゃなくて、何か別のいい伝わる表現の形があるんじゃないかと考えまして。それが普通の人間の子供じゃなくて、おおかみの子供だったら、動物の子供だったらすごく楽しいんじゃないか。それが人間の子供と一緒の形になると、よりかわいさ楽しさすごさみたいなものが伝わるんじゃないかと思いまして。もともと3歳くらいの子供のことを恐竜にたとえて、かわいい動物みたいにいうこともあるかもしれませんけども、そういう、ストレートに描くんじゃなくて、ちょっと何かに比喩して描くという中で、おおかみという、日本でもう絶滅していないわけですけども。動物園とかにしかいなくて野生のおおかみはいない。もしもおおかみがまだ日本にひょっとしたら僕らが知らない所でいて、それで違う形で生きていたら。子供のバイタリティーみたいなものを描く時の映画的な比喩というかな、そういった面白みにつながっていけばなと思って。

それでおおかみにしたんですけども、タイトルにする時、おおかみ男もいればおおかみ女もいる、おおかみ少年、おおかみ少女も。どれもいまいち、こういう子供たちを描きたいという時に何かしっくり来ない。それでうーんって考えて、おおかみこども、だなと思った。そんな言葉はないですよね。恐らくネットで検索しても出てこないんじゃないかと思うんですけど。ちょっと一つ、造語といいますか、おおかみおとこ、おおかみ少年とかと違う意味で。動物のように生き生きと生きてる子供たちのことをおおかみこどもと呼ぼうかなと。しかもひらがなで書くとかわいらしいぞ。そういったような所からつけてみました。雨と雪というのは、子供たちの名前なんですけども、子供たちの名前を最後にあしらってタイトルにするとすてきかな、と思いましてつけさせていただきました。

(会場からの質問。子供は何歳ぐらいの時が多く描かれるのか。)

細田

年齢ですね。このポスターに描かれているピンク色の服を着てるのがお姉ちゃんの雪といいまして、青色の服を着てるのが弟の雨というんですけども、この時で5歳と4歳ですね。小学校に上がる前の感じの年齢であります。物語としては、最初生まれるところから始まるわけですけども、そこから本当に小さい生まれたてのところから始まりまして、だんだん大きくなっていくといった感じでしょうか。

(「サマーウォーズ」では長野県上田市が舞台だった。今回、東京、富山にロケハンと書いてあるが、どこか特定の場所をイメージしたとか、舞台は)

細田

作品の舞台というのは、いつも決めるのに大変考えるというか、それによって作品の雰囲気が決まりますのでいつも頭を悩ますんですけども、今回は東京から物語が始まりまして、途中で子供二人を育てるのに東京だと無理だという話になって、都市じゃない所に引っ越す。それが富山県。どうして富山県か。きっと主人公の花っていうのは便利な所では育てないんじゃないかって。どちらかというともっと隠れて生きなきゃいけないので、人がいない所。それ以上に、主人公を見ると、ある種厳しい所というのかな、美しくも凜々しい、生活するのにそんなに楽ではない所に行きそうな気がしたんです。それがあって、実はスタッフの中でいろんな出身地の人がいるんですけども、次々と回ってロケハンしていった。その中で、富山県にたどり着いた時に、きっとこういう所だろうな、きっとここに花はくるんじゃないかと思って富山県にした。

実は、富山県というのは、僕が生まれ育った、高校の時まで富山県におりまして。出身ということもあって、ちょっと土地鑑みたいなものもあったんですけども。それ以上に、厳しい自然の中、そういうものを乗り越えると美しい風景や人々が見えてくる。そういう所として富山県を舞台にさせていただこうと思っています。

(「時をかける少女」でタイムリープ、「サマーウォーズ」でパソコンの空間。独特の表現。今作もそういうビジュアルは登場するのか)

細田

「サマーウォーズ」が、現代のデジタルの世界と現実の世界の対比の中で物語を描くということだったんですけども、今回は、そういったファンタジックな部分としては、子供たちが常に、人間の姿だったり、おおかみの姿だったり、ころころ変わる。言わば変身する。変身してよりかわいくなったりとか。戻ってみてまたかわいかったりとか。そういったものを特に小さい時は頻繁に繰り返す。そういった所が、一つこの作品のファンタジックな所というのかな。そういう存在というか、そういう子と一緒に暮らすってどんな気分なんだろう。すごくひやひやするかもしれないけども、すごくかわいいんじゃないか、楽しいんじゃないか。僕は子供はいないんですけど犬を飼ってるんですが、この中の皆さんも犬を飼ってる方たくさんいらっしゃるかもしれませんけども、本当に犬ってかわいいですよね。物言わずしてすごく会話してるような、気持ちで通じてるような、そんなすてきな動物だと思うんですけども、彼らの中に言葉を聞けたらこんなことを思ってるんじゃないかとか、彼らが人間としてふっと出てきたらどんな声でしゃべるんだろうとか、そういうことを考えるとわくわくしますね。そういったファンタジーみたいなことがたくさんこの映画の中に詰まってると思います。

(ポスターのビジュアルは、人間の子供からおおかみになる途中の段階?)

細田

そうですね。半獣という、半分人間半分けもの、おおかみ。そういった形だったりする。本当に四つ足でおおかみのように雪原を駆け回ったりする所もありますし。本当に人間の子供の形になったりとか。様々。中間形態もたくさんあってという。表情や気持ちが変わるようにころころ変わる。

(貞本義行さんのキャラクターデザイン、今回で3回目。今回お願いするうえで細田さんからリクエストされたこととか)

細田

貞本さんと組ませていただいて3度目。日本を代表するキャラクターデザイナーであると思うんですけども。今回貞本さんと打ち合わせをしてて思ったのは、おおかみの子供二人もそうなんですけども、やっぱり主人公のお母さん、花。お母さんがすごく理想的に、凜とした背筋の伸びたすてきな女性に描きたいなというようなことをずっと二人で話し合ってました。というのは、わりと今までの作品って、現実的に今を生きてる女子高生とか、現代の日本の親戚の姿、リアルな所どうなんだろうみたいな。そういった現実的な所から入っていった。今回は、それとはちょっと趣向を変えてというか、違って、すごく理想的なお母さんというものを形にできたらいいなあ、ということを二人で話し合ったんですね。僕らから見てやっぱり子供を育てるお母さんたちっていうのが、もちろんお母さんたちに言わせれば現実的な諸問題を抱えながら子供の健康を心配しながらやってるという所もあると思うが、そういう姿が僕らから見るととても聖母的に見えるというか、すごく神々しくすてきに見える。ということがあって、そういうお母さん像を、理想的に形にするにはどうすればいいかというのを、貞本さんと二人で頭を悩ませながら何度も描き直してキャラクター作りをしていったというようなことがあると思います。

(二つ質問。一つはポスターの下に「スタジオ地図」と書かれているが、これはどういうものか。もう一つは、作品を重ねるごとに規模も大きくなって、期待している人の数もどんどん増えていると思うが、そのことにプレッシャーを感じたりは)

細田

お手元のチラシ、一番下の所に「スタジオ地図作品」とありますが、これは何かと言うと、ここをクリックするとPDFがダウンロードされて地図が出てくる気がするが、これはスタジオのマップが出るのではなくて、スタジオの名前なんですね。新しく今回この作品を作るに当たって、アニメーションの制作スタジオを作りました。とても小さなスタジオなんですけども、この作品を一番いい形で作るために、最適の場所を求めた結果、何かスタジオを新しく小さくても立ち上げた方がいいんじゃないかという結論に達しまして、それで作ったわけであります。二つ目の質問なんですけども、先ほども言いましたけど、皆さんに映画を作らせてもらえるというのは映画監督としては本当に幸運なことで、だからこそ頑張ってみんなが楽しんでもらえるものを作らなきゃいけないなと思うんですけども、規模といいますか、少しずつ広がっていくことに対して、自分としては、制作の態度としては、心構えとしてはあんまり変わらなくて、またみんなを楽しませたいなというところはあるんですけども、規模が多くなってくると、とてもどきどきしますね。興行責任というのがあると思うんで、監督としてもそこから無縁では全然ない。作品を作っていけるかどうかということにかかっておりますので。どきどきするんですけども。こういうのは奥田さんどういうふうに。

奥田

監督自身は、変わらないで、逆に今までスタッフ、プロデューサー陣も基本的に同じでやってますので、監督を、いいものを作る体制はしっかりそのまま変わらずに来ている。僕も見てて全然変わらないです。こういう丁寧な、真摯な態度。何も変わらない。少しずつ世界のいろんな人たちにも監督の作品知られてきてるので、監督は逆にいろんな仕事がで広くきるということで、全然変わらないというのが周りの務めではないかあと思っています。

(先ほどお母さんの話。凜とした女性。具体的なモデルは)

細田

確かに、主人公が若いお母さん。お母さんを描く時に、あんまり映画全体の中で、お母さんが主人公の映画って、そんなに多くないんじゃないかという気がするんですね。たいがい、半分おおかみの子供が生まれたら、普通おおかみの子供の方を主人公にするじゃないですか。そうじゃなくてそれを育てるお母さんの物語にしたいなあというふうに思ったのは、やっぱりさっきの憧れがあったからというはあるんですけども、親っていうかな、親をしている人たちに対して素晴らしいと感じたからだと思うんですけども、モデルっていうのは、身近な友人たちもあると思うんですけども、僕自身、うちの家庭、まだ子供がおりませんので、これを作るに当たっては、どちらかというと実は、親になったことは僕はまだないんですけども、ただ子供でいたことはあるんですね。という意味で言うとやっぱり、どこか自分の母親がイメージの中にあるのかなという気はしますね。モデルというのもちょっとおこがましいんですけども。その中で、お母さんと楽しく過ごしたということだけじゃなくて、どっちかというと息子側からすれば、迷惑をかけたなとか、すごいひどいことしたなとか、期待に応えられなかったとか、そんなことばっかり思ったりもするんですけども、でもそういうことも含めて、その時って、うちの母さんどう思ってたんだろうなんてことを、思ったりして。そういうことの一つ一つが、主人公を描いていくに当たって、随分昔のことを思い出したりとか、今まさに自分の周囲、友達たちが子供を育てる中で、常に新しい体験を次々積み重ねてる人たちの苦労や楽しさというものを、自分の母親と重ね合わせて描くところがあって、そういった所がモデルと言えばモデルなんでしょうかね。

奥田

絵コンテを見ると、子育ての所は本当にリアリティーがあって、しかも感動する。自分の子供たちも時々けものになったりしますから。そういう所が本当によく描かれているので、非常に普遍的なテーマであるなと。みんなが感じてくれるところではないかなと思いました。

(奥田さんに。世界的に。まだ制作段階だがどういう方策で。スタジオ地図。もう一つ御社が絡む大きなスタジオがあるが、どういう所まで持っていきたいのか)

奥田

「サマーウォーズ」も、ベルリン映画祭でかけさせていただいて、ヨーロッパの人たちに喜んでもらえて。その後米国も含めていろいろ広がっていった。次回作、細田監督何を作るのか。皆さん興味を持っておられる。子供、親子のこと。いろんなことが起きて、それにどう立ち向かっていくか。夢とか勇気。この作品を見ることで与えられるような作品になると思うので、そういうことでいうと、世界中の人たちに、基本的には日本の人たち、そして世界を考えている。あんまり国境を考えないでやっていければなと思うので。大きく考えていったらいいんじゃないかと。前作に関しては、いろんな国の人から感動の声があったので。次回作はそういう人たちにも見ていただけるような海外での展開も考えていきたい。それから、もう一つは、ジブリ?ジブリは長い時間かけてみんなで、宮崎監督や高畑監督、宮崎悟朗監督とか、いろんな人たちを中心に成功しているスタジオ。細田監督は細田監督のスタイルで、いい作品、1本1本作っていければ、今度は細田アニメということで、いろんな人に受け入れられると思う。まずは次の作品をどう頑張っていくかがすごく大事。ジブリとかスタジオ地図もそうですし、非常にいい関係で、プロデューサー同士も交流もありますし、そういうことでいうと、いい関係できてますので。細田監督は細田監督のアニメ制作を確立するということが大事なことで。お互いにいい関係でやっていければいいなと思っています。

齋藤優一郎プロデューサー

「時をかける少女」「サマーウォーズ」に続いて今回プロデューサーをしております齋藤と申します。今回は、もう一つの役割として、細田監督の作品を一番いい形で作って世界に届ける苗床としてのささやかなスタジオを細田監督と一緒に作らせていただきました。本当に面白い映画になると私も思っているんですけれども、映画は本当に1本1本です。背筋をただしてこれから皆さんに楽しんでいただける細田監督の作品を1本1本丁寧に作っていけるように頑張っていきたいと思っておりますので、皆さまどうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

(細田監督に。東日本大震災がこの作品に与えた影響は。絵コンテを切られてる時だと思うが、作品で悩まれた所などあれば。震災について、作品に込めたメッセージがあれば)

細田

おっしゃる通り、制作途中というか、設計図の絵コンテを描いてる時に震災が起こりまして。具体的にはこのスタジオで初めて打ち合わせをした時に。スタジオで震災を迎えまして。その瞬間から、日本というのが今までと違って、世界が本当に変わってしまったと思うぐらいに、人の気持ちというのかな、変わるくらい大きな出来事だったと思います。あのぐらい大きなことが、作品制作中に影響しないわけはないわけでして。やはりしばらくは本当に全く、スケジュールはあったわけですけども、全く手につかなかったりとか。様々、震災を機に、僕らがこれからどうやって生きていくか、しかも自分だけじゃなくて、みんなと自分たちが日本人としてどうやって生きていくかということを、その瞬間考えざるを得ませんでしたし、それはその瞬間だけではなくて、今も考えてる、皆さんがそれぞれのお立場で考えてることだと思うんですけども、僕もその一人。その中で、作品を作っていく時に、ストーリーはお母さんが子供二人をどうやって育てていくかという話なんですけども、一つ震災を通して大きく考えたことは、思うのは、ポスターにはこうやってお母さんと子供だけが映ってるんですけども、具体的には一人では子供を育てられないという。親だけでは子供を育てられないとか、一人では生きていけないとか、そういったことを強く感じました。そういうことが、作品に大きく反映していると思います。ポスターには出てきませんが、この映画にはたくさんの登場人物がおりまして、そういう人たちが主人公たちとかかわりながら生きていく。そうやって、決して楽ではない状況の中で、どうやってそれでもこのポスターのようにすくっと大地に立って、生きていけばよいのか。そして子供たち、言わば未来ですね、未来というものをどうやって僕らが支えて次の世界に結びつけるように大きく育てればいいのか。そういったことを、すごく震災を通してというか、すごく大きく変わった日本の中で、あの3月の出来事から思い知ったというか、大事なことに改めて気づかされたというようなことが、そのまま映画の中に隅々まで入り込んでるんじゃないかなという気がします。だから、今設計図を描き終えて、すごく大きな作品上では示唆をもらったなという気がしますし、今これからの中で、日本、世界中の中でいろんな問題がある中で、本当に大事なものはなんだろうということを、この作品を通して、みんなと一緒に考えていけたらいいなと、そういう大きなことまで考えさせれました。

(奥田さんに。海外。前回は映画祭で注目されて。先ほどの話だと、今回は海外での公開、配給を考えているのではないかと。過去2作はメインキャストがタレント。今回はどう考えているか)

奥田

海外に関しては、いろいろ考えてやってます。作品の進行と同時に、いろんな映画祭も公開までにありますので、そういう所でこの作品を少しずつ紹介していく予定でいますので。前回のサマーウォーズがベースにありますから。おおかみこどもが情報として出て行くので。まだ具体的にどうこうとは言えませんが、大きい展開も含めて考えてます。それは楽しみにしていただけば。

細田

今まさにキャストをどうするかということについて、考えておりまして。今ちょうどオーディションの真っ最中で。実はこれ終わってからもオーディションがあるんですけども。前2作ともオーディションをいたしまして、その中で、役に合う人を探していったという部分があります。今回も方向としては同じ方法をとりながら、役にぴったり合う人を見つけられたらなと思ってます。特に、子供たちがいますので、子供たちも今までたくさん、実はこの間の土曜日も50人くらいオーディションさせていただいて、びっくりするくらい才能のある子たちがたくさんいるなと思って。これは本当に選ぶのが難しいなと思うぐらいの形で進めております。まだオーディションの途中なので、決まった配役はまだ見えないところがあるんですけども、今後順次決まっていくと思いますので、その時にまた皆さんにお知らせできたらなと思っております。(有名無名関係なくということでいいんですか?)はい、そうですね。そういうことでいうと、両方とも関係ないんじゃないかというようなところが。オーディションの中にも、すごくわっというような方もいらっしゃるし、全然僕が名前知らないけどものすごい才能の人だなという方もいますし。本当に様々です。俳優さん、声優さん、子役の方も、舞台の方も、あらゆる分野の中からオーディションに皆さん来てくださって、本当にありがたいなと思ってるんですけども。楽しみにしてくださいね。結果を。またいずれはっきりすると思いますので、それはまだ別の所で。

(写真撮影。終了)