Pop Styleブログ

本文です
前の記事

極東ハイスクール・ロックンロール。それは、ユニコーン、筋肉少女帯、神聖かまってちゃん、Takamiy、吉川晃司、GLAY、Dragon Ash、ゴールデンボンバー、ザ・クロマニヨンズなどなど、音楽史上前代未聞の豪華さと幅の広さを誇る氣志團の対バンGIGシリーズ。約30組のそうそうたる対バン相手の中でも、團長・綾小路翔が「どうやったって勝てっこない相手」と、popstyleのインタビューでも明言していた最強の刺客が、ももいろクローバーZなのです。その予想通り、先攻・ももクロちゃんのステージは、氣志團メンバーが戦意喪失するほどの盛り上がりを見せたのです。しかし、そこは歴戦の兵、そして「昭和の名勝負製造機」と自称する氣志團。ももクロファンも氣志團ファンも、あっと驚く秘策を用意していたのです。

氣志團の危機感、氣志團の危機感、氣志團の危機感。(早口言葉言ってみよー!)

まさに、今回のGIGは氣志團の危機感がにじみ出ていたものでした。マッチメイクが決まった時から、公式にも敗北予告をしていたぐらい。実際に圧倒的なアウェイの中で、氣志團はどうするのか!? この日だって氣志團の出番も「今回ばかりは、万事休すか」とのナレーションから始まったのです。冒頭、COMPLEXの「BE MY BABY」のイントロでスタート。これはいつもの氣志團。さあ、どの曲を持ってくる!?

なんと、「行くぜっ!怪盗少女」!!!

ももクロの1曲目と同じっ!

しかも、「♪ あなたのそのハートいただきますっっっ!」と、バンドではなく全員が前に出て歌うGig_0009 氣志團の姿は、覆面! しかも、その上にサングラスという氣志團らしさも忘れない。視界は大丈夫!? という心配は微塵も感じさせないほど、そのダンスはももクロちゃんのように激しく、何とえびぞりも披露。また、いいオッサンたちが、無理やり甲高い声で、アイドルソングを歌いこなすのです。歌もパフォーマンスも、ももクロちゃんを研究し尽くしており、これには当然のごとく、ももクロファンも応援せざるを得ない状況になったのです。というより、ももクロファン、メチャメチャ対応力がある! もう、会場のあちこちから、

あやのこぉぉぉぉぉぉぉじ↑↑↑↑

と、百田夏菜子へのコール「かーなこぉぉぉぉぉ↑↑↑↑」の團長版が、次々に叫ばれていたのです。また、氣志團のオリジナル曲でも、サイリウムがしっかり振られてました。

そして、氣志團もまだまだ終わらない。MCでもやってくれました。

「今しか会えない、いや、まもなく会えなくなるアイドル。月末貧乏、氣志團ちゃーん・Z!!」

とコールを決めた後に、何と、ももクロをオマージュした自己紹介が始まったのです。Dsc_0779

西園寺瞳が、「My smile will change the world.チワワと日本酒が大好きなタダの大巨人!」と言って、ももクロちゃんばりに深々と長いおじぎで幕を開けると、

「ユッキの頭はツルッツル!」(白鳥雪之丞)

「ランマのあいうえお作文! ランマの『ン』!んーー?? みんなのおいっこ」(星グランマニエ)

「松松体操第一~! 一家に一台、松竹梅!」(白鳥松竹梅)

「☆‘*&#?(聞き取り不能)」(早乙女光)

「みなさん人差し指を出してくださーい。その手を開いていって、もう1本の手も挙げて、両隣の人と肩組んで、『よろしくね!って言いましょう』。恥ずかしいでしょう~!」(綾小路翔)

ももクロとファンとの掛け合いの妙がある自己紹介だけに、氣志團版にもファンは完璧 に対応。氣志團は、もうこの段階でアウェイとか関係なく、一体感バッチリです。

Dsc_0457

さらには、次の曲「恋人」には、ももクロちゃんが再び登場して、ダンサーとして氣志團と絡ん だのです。「恋人」は、「来い!恋!来い!恋!」と叫びながら、腕を回すダンスが特徴的で、氣志團のライブでは毎回登場するような人気曲。このイントロ部分のダンスを、ももクロちゃんが完璧にマスターしていて、しかも、すごく似合う!自分のものにしていると言っていいくらい、この曲でのももクロちゃんはかわいかった。途中、動きが複雑になる部分まではすべて覚えていなかったようで、見よう見Gig_0272まねで踊るところもあったのですが、それも5人はその場でうまく対応して、早乙女光から「OK」サインをもらっていました。さすが! 曲後半の見せ場「昇竜拳」(ゲーム「ストリートファイター」の必殺技)のポーズもバッチリ決めていました。曲中、ありやすとあーりんがチューしたりという名場面などがあったようなのですが、スンマセン痛恨の見逃し!もう、ファンが熱狂しすぎて前がなかなか見えず・・・。見えたのは、團長・翔やんが夏菜子にチューしようと会場を驚かせて光くんとしちゃう!という場面だけでした。とにかく、ももクロの対応力、そして、氣志團の楽曲やメンバーとの絵面としての親和性は最高なのでした。

しかし、氣志團は、ゲスト・ももクロをバックダンサーとして使うなんて、ちょっと贅沢というか失Dsc_0551 礼じゃない?って思っていたら、そこは氣志團、さすが、やってくれました。義理堅いのです。礼には礼を尽くすんです! 何と(こればかりですが)続く曲は、ももクロの「キミとセカイ」!今度は、氣志團がバックバンドを務め、ももクロが歌ったのです。生バンドでの「キミとセカイ」ですよ!ファンはまたまたビックリ!!フロアではファンが前方に大移動、ロビーで休憩していたファンも慌てて中へと押し寄せる状態。しかたなく、ロビーでモニターを見ながら踊っていたファンもいたようです。この2曲では、ももクロちゃんは黒にそれぞれのカラーのラインが入った短ラン風コスチュームを着用。左サイドに刺繍めいたものもあり、まさに氣志團にピッタリの装いでした。さすがに、ここは主役をももクロちゃんに譲り、端っこで踊っていた翔やんは、曲が終わると「一緒に歌おうと思ったけど、もったいなくて、すごくジロジロ見てた」と、さすがのらしいコメントで締めたのです。

氣志團の対バンでは、こういった序盤にコラボが入ることは異例中の異例の事態。これはDsc_0632 、未成年であるももクロちゃんの活動時間を考慮してのことなのですが(本当に9時ギリギリに終了)、これは思いのほか、いい効果を生んでいました。ももクロファンは、ここまでももクロを研究して敬意を示してくれた氣志團に拍手を送るしかありませんでした。その感謝の気持ちは、ももクロちゃんがいなくなった後に続く気志團のオリジナル曲でも、全く途切れませんでした。氣志團に歓声を送り、踊りをマネし、もう氣志團のホームのような会場の盛り上がりと一体感。あっぱれ氣志團!あっぱれももクロファン!でした。

そして、極めつけは、ご存知「One Night Carnival」!イントロが少し流れただけで、会場は大歓声。團長いわく「おれたちには、この曲しかありません。収入の9割がこの曲のカラオケ印税。70万円弱を6人で分けています」という自虐的鉄板フレーズでもおなじみの名曲です!イントロから、「フッフー!」の掛け声はもちろん、サビの「恋しているーのさー♪」でファンが歌うパートも、翔やんが何も言わないうちに会場から響くのでした。これには、翔やんも感動、サングラスの奥の瞳には光るものがあったかもしれません。

「自分があさましいです」

おなじみ、翔やんの卑屈な一人語りが始まります。「もしも、ここでシーンとなってしまったら、Dsc_0751 どうしよう。そんなことばかり考えていました」。「もし、みんなが歌ってくれなかったら、しおりんの家のポストに、弱った鳩を入れようと考えていました」「それも、ひどく弱った鳩です」。この対バンGIGではおなじみの鉄板脅し文句です。息絶えてしまいそうな鳩を、対バン相手のポストに入れて、精神的ショックを与えると脅すのです。同様に完全アウェイだった対Takamiyでも、この方法で忠誠心の強いファンを従わせてきました。だけど、対ももクロでは、ここからが違った。「しおりんは、息絶えてしまった鳩を家に持っていくかもしれない。その後、カレーに入れて食べてしまうかもしれない!これでは、精神的ショックは与えられないっ!!」 最後まで、ももクロネタに絡め尽くす翔やんの語りに、会場は大爆笑、大喝采!! もちろん、この奥の手は全く必要ありませんでした。でも、しっかり用意してきたから、絶対言いたかったんだろーなー(笑)。

会場の熱気は最高潮のまま、「アンコール」の大合唱。ももクロファンが丸ごと氣志團ファンになってしまったかのような勢いです。トミーいわく「日本を代表する2大アイドル」が登場した夢の一夜は、さらに、ゴマキ(背中に「極魔綺」の刺繍を施した特攻服)が登場するサプライズ。来週発売される翔やんとのデュエットソング「Non stop love 世露死苦!!」を披露して、アイドルの祭典を締めたのでした。

素晴らしい対バンGIGでした。どんなことでもノリノリで面白がる氣志團とももクロの特性がピGig_0240 ッタリ!そして、ももクロ目当てで来たのに、氣志團の番でも盛り上がるファンの器!これに私は一番感動しました。初めて見る氣志團ダンスを、懸命に真似してる姿は感涙モノ。氣志團のダンスってパラパラっぽかったり、コミカルな要素が多いので踊るのに結構勇気いるんですよ。ももクロファンは、まったく恥ずかしがることなく踊ってました。そのあたりは、心を解放させてしまう魔力なんだろうなあと、ももクロちゃんの偉大さを改めて感じてしまいました。ももクロちゃんはファンに本当に恵まれています。

ぜひ、また対バンを、次回はもっとでかいハコでやってほしいものです。ももクロの今年の急上昇ぶりを読めなかったのか、どうしても会場が押さえられなかったのか分かりませんが、AXは小さすぎた。歴史的な一夜を目撃できなかったファンはたくさんいると思います。ただ、ギュウギュウ満杯のAXならではの充満した熱気という面もあるかもしれません。レコード会社が違うので、CDやDVDは難しいかもしれないので、ぜひアンコールライブを!やはり、ライブだからこそ映える2組だと思うのです。

2011年、氣志團とももクロという奇跡的な融合がありました。popstyleでもこの2組を同じ月に掲載できたことは、奇跡であり大きな大きな財産になると思います。氣志團!ももクロ!そしてファンの皆さん、ありがとう!!

<氣志團セットリスト>

1.行くぜっ!怪盗少女

2.ゴッド・スピード・ユー!

3.キラキラ!

4.恋人

5.キミとセカイ

6.愛羅武勇

7.高校与太郎組曲~喧嘩ボンバー~

8.オールナイトロング

9.俺たちには土曜日しかない

10.One Night Carnival

11.ゆかいな仲間たち

12.Non stop love 世露死苦!!

前の記事

 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

掲載紙購入方法
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30