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M-1王者、NON STYLE・石田明主演の舞台「スピリチュアルな1日」を、新宿・紀伊国屋サザンシアターで観てきました。セリフ、動作、小道具の一つ一つに細かい笑いがちりばめられて絶えず笑っていられるのに、ちょっぴり切ない場面も。お笑いファンも、演劇ファンも楽しめるオススメのコメディです。

主演の石田は、テレビディレクター。須藤理彩は、石田の先輩役で、勝気な役どころがピッタリ。吉本菜穂子、菅原永二(猫のホテル)、諏訪雅(ヨーロッパ企画)など演劇界の芸達者たちが暴れまくり、青柳塁斗、今井隆文、風間由次郎と個性豊かな若手たちが脇を固めています。

この舞台うまいなあと思ったのは、石田目当てに来たお笑いファンを取り込む要素と、演劇ファンも納得させる質の高さを併せ持った構成になってるところです。石田扮するディレクターが住むマンションで起こる心霊現象を巡り、様々なヘンな人たちがドタバタを繰り広げるわけですが、序盤はこれでもかというぐらい石田のリアクション芸が爆発。心霊現象に恐れおののくあまりの、細長い身体を生かした妙な動きや、カン高い奇声が次々に飛び出すのです。ノンスタイルの漫才でもおなじみの石田の真骨頂です。コントのようなやり取り一つ一つに、笑いがこめられていて、腹を抱えっぱなし。この辺は、お笑いファンに向けた、つかみといえるでしょう。

そうやって客席を温めた後、吉本、菅原、諏訪という役者たちが、奇妙な存在感で畳み掛ける。この3人、ホント変です(笑)。この人たちの濃いキャラは、それまでの石田のしつこいリアクションが爽やかに思えるほど。知らぬ間に、舞台ならではの濃厚な空間に引き込まれてしまうのです。

小峯裕之の脚本もよく練られています。幽霊を巡る物語はよくありますが、この物語の面白さは、幽霊を巡る認識の異なる人たちが、複雑に絡み合うところです。幽霊が見えない普通の人、幽霊が見える人、幽霊が見えるフリをしている人、幽霊と認識している幽霊、自分は幽霊とは思っていない幽霊・・・。その認識の違いが、勘違いとなり、笑いにつながるわけですけど、役者たちはそれを見事に演じ分けている。脚本と演出と役者たちの演技が見事に噛みあっていて、プラス小道具を使った細かい笑いを入れてくるあたりも、僕はかなり好きでした。

それにしても、石田は舞台映えするなあと思いました。特徴的な細見のシルエットは、いつもの白スーツがなくても存在感バッチリ。カクカクした動きは、舞台上でどうしても面白く目立つ。声も、奇声を上げる時だけでなく、しっとりした場面での穏やかな口調は、すごく優しく響くんですよね。途中、関西弁のイントネーションが出ちゃうときもありましたが、まあ、それは目をつぶって。

製作は、アミューズ。サザンや福山、上野樹里、Perfumeなどを擁する超メジャー事務所ですが、実は舞台にすごく力を入れている事務所でもあるんです。以前、「ALL ABOUT」でも紹介した福岡の劇団「ギンギラ太陽’S」もそうですし、大泉洋らTEAM NACSも。地方の劇団の応援に力を注いでいるんですね。三宅裕司率いるS.E.Tも忘れちゃいけません。もう大御所といってもいいでしょう。

4月1日から3日までの舞台ですが、実は予定されていた3月30、31日の3公演は、震災の影響で中止になってしまったんですね。かなりの稽古を積んだと思われるこの舞台、3日間ではもったいないなと思います。

震災のショックで、心にダメージを受け、仕事が手につかない。気分転換にテレビでバラエティを見ても心から笑えない、という人は多いのではないでしょうか。僕もその1人です。でも、自分で足を運び、その世界にのめり込める舞台なら、ちょっと元気をもらえるかもしれません。果たして笑えるだろうか、なんて思って行ってみたものですが、絶えず腹を抱えている自分がいました。8人の役者たち、それぞれに心奪われていました。そして、幕が閉じた後、役者たちも公演が中止になり、震災ショックで演技どころではない心境の中、全くそんなことを感じさせない100%の演技を見せてくれていたところに、改めてプロ意識への敬意を持ちました。

今日2日と明日3日、14:00と18:00の4回公演が残っています。チケットは6500円(税込み)。若干、当日券も出るようです。(popきよし)

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