(福)です。
3月2日の夕刊popstyleの「注目ワード」、ご覧になっていただけましたか? いま最も盛り上がっていると言っても過言ではない、個人的にも大注目しているアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」を、放送中にどうしても紹介したくて、シリーズ構成と全話の脚本を手がけた虚淵玄さんに急遽会いに行ってお話をうかがってきました。ここで少し、紙面でお伝えできなかったお話についてもご紹介したいと思います。
現在の盛り上がりの状況は、虚淵さんをはじめ、スタッフの皆さん予想外だったそうで、時期的には日曜朝の魔法少女もの(と言っていいのかどうか微妙ですが)の改変時期とだぶるので不安かな、という感触もあったそうです。ところが、ふたを開けてみれば他の追随を許さないほど、話題をかっさらってしまいましたね。
これは虚淵さんご本人もツイッターでおっしゃってましたが、当初は虚淵さんの名前を伏せようという案もあったそうです。確かに、虚淵さんの紡ぎ出すお話にダークな側面が色濃いことは、知ってる人は知ってるわけですし。「まだそれほどアニメでは脚本もやってないし、新房昭之さんと蒼樹うめさんの名前が先に出て、ライター誰よ、ぐらいの感じかなと思っていたら、さっそく警戒されたもんで、これはまずいと(笑)。こんなに警戒されてしまっては最初の計画が狂ってしまう」と、いろいろと気取られないように苦心されたのは、ご存じの方はご存じの通りですね(笑)。
1話から3話までの持っていき方は本当に見事だなと感じたのですが、虚淵さんによると、アニメ「Phantom ~Requiem for the Phantom~」で一緒に仕事をした、黒田洋介さんの方法論を実践したんだそうです。いわく、「さすがベテランの言葉は違った。なるほどなあと」。ネット上では、「仮面ライダー龍騎」との比較もよく語られていますが、虚淵さんは「龍騎はバトルロイヤルものとして秀逸な出来だし金字塔。どうしても相似はする」と述べつつ、小説「Fate/Zero」でバトルロイヤルを描いた経験を踏まえて、利害対立と仲間割れ、誤解とすれ違いの物語を組み立てていったということでした。
あの「劇団イヌカレー」さんによる印象的な魔女や異空間のデザインも、「全く意図してなかったのでうれしかった」とのこと。「あれで、蒼樹さんの絵と自分の脚本がつながったという気がした。ブリッジ役をしてくれたので、手加減抜きの悪夢にしちゃっても大丈夫だなと。メルヘンホラーというキーワードはイヌカレーさんからもらったようなもので、台本は怖い話にしちゃってもいいや、と」
そしてどうしても気になる結末。紙面では、虚淵さんの「自分としては夢と希望の物語で終わらせるつもりだけど、見ている人がそう思ってくれるかどうかは分からない」という言葉を紹介しましたが、さらに付け加えるならば、シリーズ構成を「板野サーカス」の異名で知られる名アニメーターである板野一郎監督とともに務めたアニメ「ブラスレイター」のテーマ性が念頭にある、とのことでした。「ブラスレイター」との関係もネット上でよく言及されていますが、やはり、といったところでしょうか。
……というわけで、9話を見ながらリアルで「やめてやめてー!」とテレビの前で叫んでしまった(福)がお送りしました。もう、このアニメから目が離せません。どんなことが起きようとも、最後までついていきます!(笑)