2月23日発売の読売夕刊popstyleの注目ワードとして特集した「T-Pistonz+KMC」。個人的にも大ファンである私の念願かなっての記事化となりました。紙面では載せきれなかった取材のこぼれ話を、ちょっと書きつづってみたいと思います(popきよし)。
紙面を読んでいない方のために、ちょっと記事のおさらいをすると、T-Pistonz+KMC(ティー ピストンズ プラス ケムシ)は、人気の超次元サッカーアニメ「イナズマイレブン」の主題歌を2008年から一貫して歌い続けているバンドです。一つのアニメのいわば専属バンドのような形で活動し、しかも、数か月ごとに発売される新主題歌が待ち望まれているなんて、結構珍しいケースですよね。
リード・ボーカルのトン・ニーノのパワフルな歌声と、KMCのキレがあって明快なラップ、そしてイン・チキータ率いるパフォーマーたちのダンスでも楽しませてくれるバンドなんです。彼らの自作の曲は、ひたすら元気で前向きなノリだし、友情や根性を歌うまっすぐな歌詞も魅力なんです。聴いたり歌っていて、何か強く押されている気分になるのは、巻き舌で「リーヨ!」と叫ぶ彼らの象徴的ワードに始まり、「絶対絶対絶対」「生まれて・て・て・て来たんだ」など、アタックの強い言葉が活用されているからだと思います。
さてさて、記事を書いた私は30代後半ですが、彼らのファン層は実に幅広い。我が家も幼稚園の子供から家族ぐるみで応援してますし、一昨日池袋で行われたイベントには、女子高生たちの黄色い声援が飛んでいました。アイドル的人気です。取材でもトン・ニーノさんは「大人が聴くと懐かしい。子供が聴くと新しい。どの世代でも音楽を楽しめるようにしたかった」と話していました。
ファンの方ならご存じかと思いますが、このバンドの母体は、「豚骨ピストンズ」というパンクバンド。今は元気でさわやかなトン・ニーノですが、豚骨ピストンズではカラフルな髪をツンと立てて、甲本ヒロトばりにパンクしてます。福岡出身の彼らは「豚骨ロック」を掲げて活動していたのですが、「よかろうもん」という曲でメジャーデビューした時、「イナズマイレブン」のゲーム制作会社「レベルファイブ」(ここも福岡の会社!)の社長の目に留まったそうです。トン・ニーノは、「超次元サッカーという突き抜けているテーマだから、豚骨ロックでなく世界に発信する英字の表記にしよう。そして、パンクというジャンルではなく、音楽自体が好きという若い頃の原点に立ち返ろう」と考えたそうです。
2009年のシングル「マジで感謝!」から加入したKMCは、福岡のテレビ番組でトン・ニーノと知り合って、最初は1曲だけの予定で参加したそうです。トン・ニーノは「歌詞がはっきり聞こえるラップで魅力的だった。自分の歌詞は素直過ぎるので、ラップの部分で情景描写やストーリー性を加えてもらいたかった」と誘った理由を語っています。KMCは「アニメやゲームが好きだったので、アニメの主題歌をやるのに拒否反応はなかった。『ラップやっていてアニメ主題歌かよ』って言われがちだけど、小さい子などラップに遠い人に魅力を伝えることができる」と前向きに応えたそうです。
長くなったので、こぼれ話part1は、ここまで。part2では、T-Pistonz+KMCの原点とも言ってもいい、トン・ニーノの小学校時代の思い出話を披露します。