村崎百郎と黒田一郎

51qov8mphpl__sl500_ (央)こと尾崎未央です。
ちょっと改まりまして失礼します。昨年夏、7月23日、村崎百郎さんという文筆家が亡くなりました。この方についてのの刊行に個人的に協力しました。この本には、popstyleにもゆかりの深い方々に協力をして頂いております。また、この件で、今度2/2夜のイベントに私が出演いたしますので、お知らせをさせてください。

以下、言葉から関連リンクに色々飛べるように書きます(ご紹介する本に掲載されたのとは別の、インターネット上での追悼文にも飛ぶようにいたします)ので、ご参照ください。

自宅で、読者を名乗る男性に刺されるという衝撃的なかたちでの死でしたので、ニュース等で覚えのある方もおいでかと思います。非常に残念な事件です。

村崎百郎さんは紫色の覆面姿で1990年代半ばのカルチャーシーンに突如登場、ひとが捨てたゴミから生活状況をプロファイリングしたり、「ゲス」「電波」「鬼畜」といった刺激的なキーワードをちりばめ、あえて下品な物言いで発言・執筆するけれども文章は非常に詩情にあふれている…という極めて特異なスタイルで文筆活動を行い、「GON!」などのサブカルチャー系雑誌から「ユリイカ」などの思想誌まで硬軟さまざまな媒体で活躍された方です。

覆面の中身は黒田一郎さんといい、幻想文学や先鋭的な海外文学の翻訳出版、不定期刊行物「夜想」などの刊行で知られた出版社「ペヨトル工房」の編集者でした。このことは亡くなるまで、一部の関係者以外に明かされていなかった事実です。

私事で恐縮ですが、私はこの村崎百郎(黒田一郎)さんの文章に惚れ込み、取材記者になるずっと前の1997年、パートナーの多田遠志(後にライターとなります)と共に、雑誌気付で手紙を出し、全くアマチュア、未経験ながら突撃インタビューを敢行して同人誌を発行、6万字のインタビューを載せた経験があります。それを機に師と仰ぎ何年か交流させていただきました。訃報を受け、長らくお会いしたりお話ししたりしていなかったことが悔やまれてなりませんでした。

村崎さんの近年の刊行物に唐沢俊一さんとの時事放談「社会派くんがゆく!」シリーズがあります。10年にわたる長期シリーズです。このシリーズの表紙は、popstyleで「popくん」を描いてくださっている古屋兎丸さんが手がけています。

事件直後、古屋兎丸さんと長電話で村崎さんの思い出を語り合いました。その後、兎丸さんを介したご縁がご縁を呼び、昨年11月末、「村崎百郎の本」(アスペクト)が刊行されました。私と多田とで全面協力、執筆、関係者インタビューなどを行いました。この表紙、紫頭巾の少年の絵も兎丸さんが描いています。
ほか、この本にはpopstyle面で07年にコラム「奇妙行為展覧会」を連載してくださった柳下毅一郎さんも寄稿しています(バロウズやバラードなどの翻訳をペヨトル工房で手がけた際の担当編集者が黒田さんだったのです)。

ちなみに、物凄く偶然なのですが、popstyle初代編集長S記者(今、紙面popstyleの「シーン」欄で、よく“チャラ中年”としてライブ評などを書いています)は、かつてペヨトル工房に「ボランティア」として勤めたことがあるのです。短い間のボランティアですが、黒田さんの働く姿も見かけたことはあるとのことでした。何という因果、縁でしょう…。すべての道筋が村崎さんによって導かれている気がしてなりません。

私たちは、「村崎百郎クロニクル」と題した評伝を冒頭に執筆したり、高校時代に同窓生だった京極夏彦さん、ペヨトル工房の主催者で黒田一郎さんの上司に当たる今野裕一さん、「村崎百郎」を世に送り出した立役者にして特殊漫画家の根本敬さんさんのお話を聞き、まとめるなどしております。

もしご興味持たれましたらぜひご一読いただけますと幸いです。

そして今度、2月2日(水)夜に、村崎さんが若き日勤めた「ペヨトル工房」関係者の方と、村崎百郎/黒田一郎さんを語るイベントに出演いたします。観覧は先着順要予約ですが、インターネット放送のUstream配信も行う予定ですので、こちらもよろしければご覧ください。

「夜想語りの夜3 黒田一郎と村崎百郎」

■2011年2月2日[水]
■open19:00/start 19:30(23:00終了予定)
詳細 
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2011/01/yasogateri_3_4.html

※UST配信あり→ http://www.ustream.tv/channel/yaso-peyotl

「夜想語りの夜3&4」■料金:1回券1500円/2回券2000円

■会場:parabolica-bis[パラボリカ・ビス]
■東京都台東区柳橋2・18・11 ■TEL: 03-5835-1180(水曜休館) 
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メールでの予約や問い合わせ先はこちら(名前、電話番号、希望イベント名と日付、枚数をお記入、予約完了のメール返信をもって予約完了。返信が2営業日を過ぎても届かない場合はメールが届いていない可能性あり、電話問い合わせを)。

村崎百郎が黒田一郎としてペヨトル工房時代に編集した、本の数々、雑誌のいろいろ。当時の編集者・小川功と編集長・今野裕一が今だからこそ話せる、黒田一郎を語る。
そして現在、『村崎百郎の本』が巻き起こしている波紋。
そのどこに村崎百郎があるのかを語り尽くす。村崎百郎とは一体!!

出演
■小川 功(編集者/元ペヨトル工房・夜想の右腕)
■尾崎未央(ライター/新聞記者/「村崎百郎の本」アスペクト刊 編集)
■多田遠志(ライター/ロフトプラスワンスタッフ/「村崎百郎の本」アスペクト刊 編集)
■吉田アミ(夜想語りの夜モデレーター/ヴォイスパフォーマー/文筆家)
■今野裕一(ペヨトル工房主宰/夜想編集長)
■UST配信: SphinkS | スフィンクス