こんにちは。非モテ編集長です。
きょうは久々にバレエの話を書きましょう。というのも、昨日は大変注目しているダンサー、三木雄馬さんの谷桃子バレエ団のデビュー公演を見てしまったからです。
三木さんを初めて見たのは6年前。イスラエルのインバル・ピントと平山素子さんが共同振り付けした「草原の風」でした。モンゴルの草原を舞台にしたダンスドラマでしたから、ダンサーたちが草原の動物たちを演じたんですよね。中でも記憶に残ったのが、森山開次さんの狼、三木さんの馬。森山さんのゾットそるような怖さの狼と、三木さんの跳躍の高さ、美しさに「ヤラれた」と思ったものです。
★個性派集団KAyMで大技連発
2006年に旗揚げしたダンスユニット・KAyMでの活躍も忘れられません。メンバーは三木さ ん(写真の前列中央)に、桑原文生さん、三枝宏次さん、佐藤洋介さん、辻本知彦さん、山田茂樹さんと、バレエ、ジャズ、コンテンポラリー、ヒップホップと各ジャンルを代表するダンサーたち。6人にインタビューもしましたが、それぞれが発するエネルギーに圧倒された記憶があります。
渋谷のOーWESTで行われた「青いフルーツ」という公演では、空いてる空間があれば、誰かが勝手に踊り出すという雰囲気でとにかく自由で熱い!強烈な個性がぶつかり合う中、三木さんは埋没しないどころか、誰とも違う空気を作ってましたね。「こんなに速く回れるんだ」って感心するぐらいの回転技など、端正で切れのいいバレエの大技をき連発していました。
★いつかクラシックで見たい
これらの公演で感じたのは、彼はスゴいバレエの技を持っていること。ロシアのバレエ団に10代で入団するや、すぐ主役をつかんだというキャリアは伊達じゃあないのです。コンテやエンタメ系の舞台でバリバリ暴れて欲しいと思う反面、「いつかはクラシックを踊る姿を見たいなあ」と思いました。
そんな矢先、見かけたのが谷桃子バレエ団の新春公演のチラシ。何と、三木さんの顔写真が入っているじゃあないですか。そう、昨年末に名門・谷バレエ団に入団していたのです。
★入団の理由「主軸を固めたい」
そんな訳で、2月5日付けの夕刊に登場していただきました。
三木君といえば、金髪、鋭い目で色気のあるヤツ、というイメージを持っていましたが、取材した日は髪の毛は黒く、柔和な表情。自分のキャラを目出させずに、団の一員として活躍しようとする決意表明なのでしょう。雰囲気を変えていましたね。
入団した理由は記事に書いた通りです。
「活動の幅を広げ過ぎると本末転倒になる。僕はロシアスタイルのクラシックを学んできた。主軸を固めて活動したい」
「谷バレエ団は歴史が古く、層が厚い。(日本バレエ界草分けの)谷先生がご健在で数多い指導者たちのカラーをまとめられているのが大きい。鍛え直してもらおうと思いました」
★黄金の仏像に化身!
そんなわけで、デビューは8日の「ラ・バヤデール」の黄金の仏像役。バレエ団きっての業師が任せられる役です。舞台に登場した三木さんは、仏像そのものに化身していました。肘の角度、指の折り方、首の傾け方にこだわってポーズを付け、神々しさを漂わせていました。そして、その雰囲気を保ちながら、足を蹴り上げ、回転し、跳躍する。2~3分強の短いソロでしたが、観客の空気をさらってしまいました。
バレエ団全体も健闘してました。佐々木和葉さんの可憐なヒロイン・ニキヤ、恋敵のガムサッティを演じた朝枝めぐみさんの美しさ、そして、コール・ドも「黄泉の国」でのスロープ上のアラベスクの連続を危なげなく決めていましたし、ラストシーンもとにかく美しかったです。
今後の三木さんの抱負は「ロシア時代にやってきた役を、一つ一つ見つめ直したい」とのことです。今回の公演を見て、名門・谷バレエ団で若手が育ってきていることを実感しました。三木さんのようなスターが加わったことで、さらに勢いがつくことを期待したいものです。
ご感想、質問はpopstyle@yomiuri.com リクエストが多ければ、三木さんも「ALL ABOUT]の候補になりますよー