(央)こと尾崎未央です。
急に肌寒くなり、秋めいてきましたね。きょう13日発行の夕刊「Pop Style」の「恋ナビ対決」では、「ゲージュツは爆発だ!」と題し、中央線界隈で、美術家荒川修作さんの「作品」三鷹天命反転住宅、西荻窪のギャラリー「ニヒル牛」「ニヒル牛2」、下井草のびん博士のお宅「ボトルシアター」など「身近なもの」にあふれるアートをご紹介しております!!
「News Review」面のズームアップコラムは先日お亡くなりになった「クロコダイルハンター」の死について、タレントエッセーは三遊亭白鳥さんの「レッツ出産」。古屋兎丸さんのイラストも同テーマでとてもかわいい!
さてそして今回見開き特集「ALL ABOUT」は、禍々しくおぞましい作風がピカいち、なのに“日本一陽気な怪談コレクター”、平山夢明さんの登場です!
今回、私が担当させていただきましたが、昔っから大ファンだった平山さんを大きくご紹介できて本当に感無量…以下、個人的な長い話になり恐縮ですが、様々な経緯があったのです。
平山さんが書くものの世界に私が触れたのはどれが最初だったか…確か「デルモンテ平山」名義のものであったように思います。まさに破天荒という形容詞がふさわしい数々のビデオ評、文庫『「超」怖い話』シリーズでの、今までに見たことがないような、「活字を読んでいるのにビジュアルと五感に訴えかけてくる」なまなましい怪異譚…すぐにとりこになってしまいました。
91年の新書判から始まっていた「超怖」シリーズ。私は文庫版の初期から追いかけ続けていたのですが、97年夏、『新「超」怖い話8』でメーン編著者がデルモンテ平山さんになっているのを見て、意を決し、当時の版元の剄文社あてに長いファンレターを出し、当時発行しようとしていた同人誌でのインタビューを厚かましくもお願いしたのです。ちなみにそのころ私は既に読売新聞社に在籍していましたが文字直しや内容チェックを手がける「校閲記者」で、お仕事での取材経験は全くない状態。
すぐにお返事を頂け、川崎までお話をうかがいに行きました。そして大衝撃! グロテスクなほど恐ろしい文章の数々をものす平山さんの素顔は… とっても陽気でほがらか、アウトドア系ファッションでがっしりした体格のマイホームパパだったのです。お話し頂いた内容もおかしくっておかしくって爆笑の連続、まさに「うらみ・ます」でしか聴いたことがなかった人が初めて「中島みゆきのオールナイトニッポン」を聴いて受けるであろうと同じ衝撃でした。
今思い返すと、私がお話をおうかがいできた、その初めての日は、まさに今日の「ALL ABOUT」に掲載されているインタビュー中の“下積み”期。でも、ご自身のさまざまな不安感や迷いをみじんも感じさせぬ底抜けの明るさ、右も左も分からないのにあこがれのライターさんに初めて会って緊張しまくっている私へのお気遣いがとにかく印象的で、うれしくありがたく思えました。
その時発行しようとしていた同人誌は…残念ながら直後に私が極度に多忙な部署へ異動となり、疲弊しきって余力を残せず約10年も出せぬままに…。せっかくお時間を割いて頂いたのに申し訳なくてたまりませんでした。数年に1度、おわび混じりにごあいさつするたび、大丈夫大丈夫、とお気遣いいただいていたのです。
そして、ご縁が続いたまま今に至ります。不思議な巡り合わせで、私は様々な方にお話をうかがうお仕事をさせていただくこととなり、押しも押されもせぬ人気作家となった平山さんにお話を再び聞くことができ、世にお披露目することができました。
そんな経緯もあって今回、「ALL ABOUT」での特集をさせていただけて、本当にうれしいのです。やっと宿題を一部こなせたような。
平山さんが日本推理作家協会賞を受賞されたときはですから感無量の一言でした…! 10年前にお話をはじめて伺ったときからずっと、いい小説を書こうと心がけておられる姿勢、なかなか書けず苦しんでおられるお姿を見てきていましたので…そんなわけで、今回受賞されたから「ALL ABOUT」で取り上げたわけじゃないんですよ(笑)。
書けなかった時代がウソのように書きまくっておいでの今の平山さん。余りにお仕事量が多いので少しだけ心配…昔がっしりなさっていたのがウソのように激痩せされておいでなので…でも、昨夜、ゲラ(紙面の下刷り)を通りすがりの女性記者がうっとりながめていたくらい、ビシッきりりっと決まったイケメンな(笑)お写真が掲載されています!
ファンの方も、そうでない方も、ぜひお読み頂けますと幸いです! …怖いのが苦手な方は、ちょっとだけご注意が必要かもしれませんが…
(この写真よりは怖くないですよ、多分…)
と、いうわけで何とぞ本日のPop Style、皆様お手にとってごらんください!