初のエッセー「こう見えて元タカラジェンヌです」(左右社)刊行記念!
著者の天真みちるさん インタビュー番外編は、今回が最後です。
【おじさん役者、ショーではキザる】
――現役時代、お芝居では渋いオジサマ役なのに、併演のショーとなると一転して、花男らしくキザりまくるのが好きでした。
もちろんです!「キザらなきゃクビ」みたいな覚悟でやっていましたから。お稽古場では「あぁ、みんな超カッコいい、つらい……」ってイジけてしまうんですが、一人でもそういう後ろ向きな姿勢でいたら、空気を壊してしまいます。だから、「私は世界一イケてる!」という謎の自己暗示をかけて舞台に立っていました。
――二つの路線を両立していたのは、すごいです。
入団5年目の試験を受けたときだったか、「一番偉い方」に、「君は脇役のトップスターを目指してほしい」と言われました(※詳細は、著書参照)。「あ、そこを目標にしてもいいんだ」と、一時期「おじさん道」を突き詰めすぎてしまったんですよね。で、ショーで格好つけるのは私の得意分野じゃないし、と。
――「そっちは、もういいか」という気に?
はい。あるとき、OGの方が舞台を見に来てくださいました。「あんた、もう格好良さを放棄したよね」って叱られたんです。「それでは男役でいる意味がない」と。「役としてのおじさんを突き詰めるのと同時に、花組の男役でいる限り、タカラジェンヌである限りは、格好良さを追究すべき」。目が覚めました。格好良さがにじみ出るおじさんにならなくてはならない。芝居では、役作りとしてちょっと猫背になっても、ショーになったら背中を真っすぐにする。そうでないと、黒燕尾服を着ちゃいけない。以降、「キザることをやめない」と意識するようになりました。
――OGになっても、親身になって厳しいアドバイスをしてくれるんですね。
そうなんですよ。OGの方が言ってくださったことに感謝しています。卒業しても、現役生にただならぬ思いを寄せ、面倒を見てくださる。私もやはり、後輩たちにきちんと言うべきだ、と。いったん宝塚に入ったら、その後どんな道に進もうと、一生「元タカラジェンヌ」なんです。
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読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。