今回、特集が組まれた5/31の紙面について、何とか入手したいとの声をいただいております。ありがとうございます。
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さて、乃木坂46、齋藤飛鳥さんのインタビュー2回目です。2回目ですが最終回です。前
編・後編でいいじゃないか、と言われればその通りなのです。無計画ですみません。もったいぶらずに一気に公開してしまおうということなので、お許し下さい。
今回は、読書の話、アルバムの楽曲の話、文章を書くことについてなど、少し舞台を離れて齋藤さんの内面に迫った内容になっております。お楽しみ下さい。
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――齋藤さんがこれまで経験した舞台といえば、「じょしらく」があり、その前には「16人のプリンシパル」があったわけですが、「プリンシパル」はどうでしたか?(※「16人のプリンシパル」・・・お客さんの前で歌、ダンスなどPRした後、投票による順位決定で配役を決めるミュージカル)
【飛鳥】やっぱり第一にあったのは、メンバー同士競わなきゃいけない辛さがあったりとか。一人一人の闘いになっちゃって、なんかちょっとさみしさもあったりとか。・・・っていうのもあったんですけど、あれをやることによって感じることもあっただろうし。うーん。
――悔しい思いをした時期から、焦らなくてもいいんだという考えに方向転換したきっかけは何ですか?
【飛鳥】きっかけ、うーん。性格自体、ガラッと変わったというか。高校2年生ぐらいで、本をたくさん読む・・・昔から読んではいたんですけど・・・昔はファンタジーとか色々なのを読んでたんですけど。高校生ぐらいになってから、人間の本質的な部分が書かれている本とか、ちょっとドロッとしたものとか、ミステリーとか読むようになって、それからなんかすごく色々な本に影響を受けて・・・から、性格がだんだんと変わってきて、考え方とかもゴロッと変わりました。
――そうしたマイペースが、個性として受け入れられるようになったんですね。
【飛鳥】どうなんだろう。いやいやいや、そんな、みなさんに受け入れられた感じはしては、別にしてはいないんですけど。そうですねえ。
――好きな作家である貫井徳郎さんにしても、安部公房「砂の女」にしても、人間の心の裏を描いている作品が好きなんですね。
【飛鳥】好きですね、そういうのが。
――「別冊カドカワ」で、「やさしさ」について書いた文章を見ても、色々なことを考えているなと思いましたが、斎藤さんが必要以上にアピールしなかったり感情を表に出したりしないのは、本当はすごく優しい子なのに、それを感情として出すことが本当かウソかとか考えているのかなと・・・。
【飛鳥】うふふふ。うーんそうですね。考えることは好きですね。
――自分の感情をストレートに出すのは苦手なんですか?好きではないということですか?
【飛鳥】うーん、苦手ですね。感情を素直に表現するのが、苦手で。自分はこういう人間だって思われるのも、苦手・・・ではないですけど、なんだろ見透かされるのが怖い(笑)。だからこそ、色々と考えてから発信するようにはしてます。
―― 一口にクールと評されるのは心外ですよね?
【飛鳥】アハハ、心外なんてことは全然ないんですけど。でも、色々な面があるものだと思うので、人間は。何を言っていただいても全然オッケーなんですけど。ホントはこう思ってるけどなって自分で思ったり・・・それももちろん誰かに言うわけでもなくて・・・自分の中で本当はこうだけどなとか、って思ったりすることはありますね。
――こう思われたいっていうのは?
【飛鳥】えーなんだろ、あんまりないかもしれないですね。こう思われたい・・・。すごい気分屋なので。すごく明るい部分を出して、明るいと思われたいときもあるし、といいつつも、そうじゃない部分も見てほしい時があるし。
―― 一つに決められないですよね
【飛鳥】そうですね。
――齋藤さんのそういう面が、創作意欲を刺激するんだろうなと思いますが、今度のアルバムで歌うソロ曲「硬い殻のように抱きしめたい」では「気の利いた言葉なんて思いつかないけど」と男の子の気持ちを歌ってますが、気の利いた言葉をかけてもらいたいです
か?
【飛鳥】いやあ、私はどうなんだろうな。
――気の利いた言葉は信用しないんじゃないですか?
【飛鳥】そうですね、しないですね、多分。かけてもらわない方がいいんですね、だったら。
――初めてソロ曲歌う気持ちはいかがですか?
【飛鳥】果たして需要があるのか。どんな曲がくるのかも楽しみもありつつ不安もありつつ、ファンの人が喜んでくれるのだろうかというのも思いましたけど、曲を聞いて歌詞をいただいて、すごく私の好きな感じだったので、ありがたくすごく大切な曲だなあって感じてます。
――去年、センターを経験して、自信がつきましたか?
【飛鳥】いやあ自信はつかないですね。つかないけど、ステージに立つ直前とかに、自信があるんだって思い込ませてがんばれるようにはなった。
――改めて、ソロで歌声を聴くと、ミストボイスというか水がたゆたうような魅力的な声
です。大沢伸一さんに起用される理由も分かります。MONDO GROSSOのすごいアルバムに起用されたわけですが、UAさん、birdさんと一緒ですよ。
【飛鳥】すごいですよねえ。もともとMONDO GROSSOさん聞いてて、大澤さんすごい好きなので。
――MONDO GROSSOがはやっていた世代ではないのに、センスがいいんですね。やくしまるえつこさんの歌詞も謎めいてますね。砂の女っぽいフレーズもあったり。
【飛鳥】砂、出てきますね。
――これは、齋藤さんをイメージして出来た歌詞なんですか?
【飛鳥】そうですね、ご本人からそう言って下さいました。私が本を読むことも知って下さってたし、歌詞を作る時、私の写真を色々見ながら書いて下さったみたいで、ありがたいです。
――いつもの仕事とは違ってどうでしたか?難しくはなかったですか?
【飛鳥】難しかったですね、やっぱり。歌もいつもの声の出し方ではないし、レーディングもすごく時間をかけてこまかく指導をしていただいて。もともと歌うことは好きなんですけど、別に自信があるわけではないし、人より上手なわけではないので、一つ一つ丁寧にレコーディングして、MVも作っていただいたので、その世界観に自分が行かないといけないなと思って。
――起用の理由などは聞きましたか?
【飛鳥】全然、理由は聞いていないんですけど。何を言われるのか怖くて聞けていないんですけど。
――いや、ちゃんとアルバムの1曲として違和感なく存在してます。
【飛鳥】いえいえいえ、でも、どういう形であれ、面白いなと思っていただければうれしいです。
――仲間でありライバルであるという点では、乃木坂と「あさひなぐ」は似ていますね。
【飛鳥】そこはそうですね。重ね合わせられる部分があって。
――ポジション争いは現実にありますもんね。
【飛鳥】ありますね、そうですね。乃木坂は女の子のグループで、「あさひなぐ」も薙刀部が全員女の子なので、そこも一緒で。途中で、寿慶さんが出てくるシーンで「女はずる
がしこい生き物だ」というセリフがあるんですけど、それとかもすごく共感して・・・共感してというか分かると思って、そういうのも重ね合わせることができたし。
――女の子に限らず、人間って誰しもありますよね
【飛鳥】あると思います。
――自分でも自分の嫌な部分ってありますか?
【飛鳥】あります、あります。いっぱい・・・いっぱいというか、むしろもう至らない点ばかりで、申し訳ないなあと思いながら、いつも生きてはいるんですけど。
――聖母と言われる深川麻衣さんの「黒い部分」を知りたいというのも興味深いです。
【飛鳥】いろいろ知ってますね(笑)。
――ブログを見ても、ブログのレベルを超えている文章を書いていて感心します。文章書くのは好きなんですか? 作詞などはしないのですか?
【飛鳥】文章を書くのは好きですね。作詞は、興味はあるんですけど、やったことはなくて。でも、日頃思ったこととか、あった出来事とかをメモしたりとか、ちょっと物語風にして書いてみたりとかっていうのは、割とします。
――それは何かで発表は
【飛鳥】全然、しないです、しないです。自分で勝手にやってるだけ。自分の普通のノートにとか、携帯にメモしたりとか。
――ノートに手書きということにもこだわりがあるんですね。創作ノートみたいなものがあるんですか?
【飛鳥】手書きには一応、しますね。創作ノートっていうよりは、何でも書き込んでいい自分しか見ないノートっていうのがあって。そこに何でも書きます。感銘を受けた言葉とか、面白かった出来事とか。何でも書きます。
――人には言えないドス黒い部分とかも書きますか?
【飛鳥】、書きます。フフフ(笑)。
――たまに振り返ってみたり
【飛鳥】あんまり振り返らないですね。自分の書いた文章を読むのが好きじゃない。恥ずかしくて。でも、たまにメモをして。
――最近おすすめの本はありますか?
【飛鳥】舞台のお稽古が始まってからは、実は本を読むのをセーブしちゃって。気が小さいので私。今、本を読んじゃうと、のめり込んじゃうので。台本がちょっとずつ抜けていっちゃう気がして。それが怖くて、今は読書やめてるんですけど。
――じゃあ、今まで読んだ中で一番おすすめの作品でいいです。
【飛鳥】こういう時に一番最初に浮かぶのが「砂の女」がやっぱりすごく好きで。安部公房さんがそもそも好きなんですけど、やっぱり特に「砂の女」に感銘を受けて。映画も見たし、砂の女がモチーフになっているお洋服があって、それも買ったし。「砂の女」をモチーフにしたスニーカーとかアウターとかが出てて。アウターを持ってるんですえけど、確かに「砂の女」っぽいというか、砂っぽい色で。新宿の伊勢丹にそこのブランドのスペースが出来ていて、話題になっていて。
――知りませんでした。「砂の女」はどういうところが好きですか。
【飛鳥】やっぱり主人公の男が、最初は理解ができないじゃないですか・・・昆虫採集に
行ったら砂丘に閉じこめられ、突然女と暮らして・・・。砂がまとわりつく感じとかの生々しい表現とかもすごく上手じゃないですか。なんでこういう表現ができるんだろうなっていう興味が沸くし。主人公がだんだんとこう不条理なものを受け入れてしまっているとか、結末とかも、人間ってそうなのかなって思うシーンが結構あって。そういうのが好きですね。
――人間って、こういうものなんだな、と考えさせられる本が好きなんですね
【飛鳥】そうですね。貫井徳郎さんも人間の本質的な部分を書くのが上手だと思って、好きになったので。そういうのをたぶん求めて、私は本を読んでいるのだと思います。結構、私が読む本って偏りがちで、人間の本質が悪いように描かれているものが多いですけど、
だから、それをそのまま受け取ってしまうと、ただの人間嫌いになってしまうんですけど、でも私は普段から考えるのが好きなんで、その作家さんが悪意を持った書き方をするのは何なのか、それが本当に悪なのかとか、っていうのを考えるのが本当に好きなので。それを考えることによって、自分も影響を与えられているし、周りを見る時も一をそのまま一で受け取るのではなくて、自分の中でかみ砕いてから、受け取るようにしたりとか。
――どういう場所で考えるのですか>
【飛鳥】全然、どこでも。一人でコーヒー飲んでいて、本読んだりとかぼーっとして考えたりとかもするし。全然どこでもいつでも考えますね。
――これからやりたいこと、チャレンジしたいことは何ですか?
【飛鳥】チャレンジ・・・。ええ、なんだろうなあ。でも、こう、あんまりお芝居をガッツリやることって、今まで私はなかったんですけど、「あさひなぐ」で舞台のお芝居をだんだんとちょっとずつ理解できるようになってきて、楽しさもちょっとずつ知れたので、それはまた味わいたい経験したいなと思ってますね。
――歌とお芝居はどちらをやりたいとかあります?
【飛鳥】私、あんまり、これをどうしてもやりたいっていう意志がなくて。何でも今は受け入れたいなと思っているので、何でも挑戦したいなと思っているし、歌も舞台も割と苦手意識が最初は強かったんですけど、やってみて分かったこととか、初めて知った楽しさがあるので、それをこれからも経験したいので、何でも挑戦をしていきたいなと思っています。
――ありがとうございました。すごく色々深いお話を聞かせていただきました。
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