本日発売の読売夕刊popstyleの大特集は「ALL ABOUT 石本藤雄」です。もし、あ なたが「あぁ、石本さんね」と反応したとしたら、かなりの通と見ました。40年以上も前に、単身フィンランドに渡ってから、デザイナーとして大活躍してきた方ですが、正直、日本での知名度がそれほど高いとは思えないからです。「Fujiwo Ishimoto」という名前で世界的な人気を誇る彼の作品世界は、北欧の風土に材を取りながら、日本的なテイストを醸し出している点に特徴があります。今回は、石本さんの生い立ちから作品の魅力までをうかがってきました。
フィンランドに本社のある「マリメッコ」社といえば、個性的なプリントと色づかいが特徴のテキスタイル、服飾デザイン会社として日本でも非常に人気が高いわけですが、石本さんは実は長年、マリメッコの看板デザイナーとして活躍してきた方なのです。手がけたパターン数は300種類にも及ぶと聞けば、驚くしかありません。マリメッコの商品は斬新なデザインの作品が多いだけに、1種類作るだけでも大変そうなのに! アイデアが枯渇してしまわないのか、最初は疑問に思っていましたが、お話をうかがっていると、何となくですが理由が分かってきました。石本さんは、自身の生まれ育った愛媛県と、フィンランドと、その両方の風土を心底から愛し、そこから栄養分を摂取して作品を作っているのです。毎秒毎秒変化してやまない自然環境、大きなサイクルで見れば季節の変化もあります。こういった移り変わりを石本さんはじっくり見つめ、作品のヒントをつかんでいるようなのです。思考の柔軟さは、自然観照だけにはとどまりません。ある時は、はやり歌の詞から、またある時は伝統的な着物の文様から発想のヒントを得ています。また、論理や理屈ではなく、同じパターンを無心になって繰り返して描いていく中から、無限に増殖していくかのような生命力を作品中に宿したりと、様々な工夫に挑戦し続けている点も注目すべきでしょう。
すでに古希を越えておりますが、大変お元気です。一ファンとしては、日本に戻ってきて欲しい気持ちもありますが、石本さんにはまだまだフィンランドで取り組んでいる仕事があります。それが、1989年から現在まで続けている陶芸です。フィンランドを代表する陶器メーカー「アラビア」社名で、想像上の草花や自然の風景をモチーフにした極めて芸術性の高い作品を制作しているのです。ここで大ニュースです。日本国内では2回目となる大規模な個展が12月12日から29日まで、東京・表参道のスパイラルガーデンで開催されるのです。その名も「石本藤雄展 布と陶 ―冬―」(http://www.spiral.co.jp/)。布の仕事と陶芸の仕事を一堂に集める見応えたっぷりの展示になりそうなので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
さて、「イマ推しっ!」欄では、歩みが遅く、のろまと思われているあの生き物の魅力を生き生きと描いた書籍を紹介しています。タイトルは、すばり『亀のひみつ』(WAVE出版、1600円+税)です。亀にまつわる様々な“偏見”を見事に打ち砕いてくれること間違いなしの面白い本です。今まで、それほど亀に興味のなかった方でも、読み終わったら、「うーん、亀、飼ってみようかな」と思いそう。それくらい、興味深い記述の多い本なのです。また、本書に登場する亀が、同居する猫のことを好いていることもあり、文章の中に、そして写真にかわいらしい猫がけっこう登場するのも注目です。猫好きでも十分、楽しめる内容になっていますので、幅広い方にオススメしたい本です。
このほか、ディズニー音楽を堪能できるコンサート「ディズニー・オン・クラシック」の話題や、宝塚歌劇団月組の公演「春の雪」のレビューなど読み応え十分の紙面になっていますので、どうかご注目ください。
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