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岸田さんが、指揮者の音の作り方について質問したくだりです。佐渡さんほどの指揮者になっても、偉大な先人の名演は、どうしても意識せざるをえないのではないか!? という発想からの質問といったところでしょうか。指揮者の考え方が具体的に分かる貴重なお話です。

岸田 指揮者の方って、例えば「この曲を演奏する」という時に、例えば、カラヤンのレコードを聞いているとか、バーンスタインが振ったもの見てたりとか、アバドやったらどうすんのかとか、テンポや各楽器の大きさのバランスについて他の指揮者を見てから、自分なりの絶対的なこだわりを作っていくんですか。

佐渡 そっちから物事を作っていくと、特徴出すために、創作を、音を作る活動をやってるようになってくるでしょ。

岸田 こういう演奏が好きだから、そうしてしまうって方がいいですよね。

佐渡 そういう方がいいでしょうね。僕自身は、自分の特徴は何か、あまり良く分かっていないかもしれない。お客さんやファンの方々が、「あそこの佐渡さんのテンポは、ほかの人にはないよね」って言われても、自分としてはそのテンポしかないと思ってやってるわけだから。子供の時に聞いたカラヤンやバーンスタインのレコードは、かなり記憶に残ってるんですよね。そのときと同じ曲をやると、そこからなかなか抜け出せない。それが自分の音になってしまってる感覚はあります。具体的にどうやっているかというと、今や、事務所のスタッフが僕のipodやipadに、音資料を全部入れてくれるんです。一つのシンフォニーで、4種類から5種類、もっと多い時もあるかもしれない。例えば、カラヤンのベルリン・フィル、アバドのウイーン・フィル、ニューヨーク・フィルとか色々入っているんです。でも、例えばシンフォニーが45分ぐらいあると、すべてを6種類とかを飛行機の中で聞く時間は全然ないんですよ。そこで何を聞くかというと、楽譜に書いてもない、何にも支持もあるわけではない、でもオーケストラの心理として、ここでどうしても時間テンポがゆるんでしまう、ゆるんだ方が次のところで何かの盛り上がりがある、っていうところを、それぞれの大指揮者たちがどういう処理の仕方をしているということに関して参考にしますね。絶対遅くしない人もいる。それは、書いてないんだから。でも、やっぱり不自然やなあと思うし。また、極端に遅くする人もいる。自分はそれのどこが一番自然に感じるかってことを、45分の曲の中で、所々8か所ぐらいあるんですね。例えば、それが3分25分の場所だったら、じゃあ次の人の3分25秒は? みたいな聴き方になってますね。

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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