Pop Styleブログ

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Dsc_0183(央)です。昨日25日の読売水曜夕刊popstyle、ご覧頂けましたか? 見開き「ALL ABOUT」では巨大な遠藤保仁選手にガチャピンがエールを送り、右上ではAKB48の板野友美さんがほほ笑み、右中は古屋兎丸さんの時事4コマ「popくん」で織田裕二さんご結婚ネタ! その下。イベント等紹介欄の「SCENE」が今回は2本の音楽ライブネタで「ミドリVS神聖かまってちゃん」と「非常階段」のライブルポです。実にバラエティ豊かな人々がひしめき合い混沌とした、ある意味popstyleらしい紙面じゃないですか! 今回はその中でもわたくし、特に混沌を極めたイベントといえる「非常階段@HMV渋谷店」に突撃、潜入ルポして参りました!! 「突撃」「潜入」…とは大げさな言葉のアヤじゃん、と思うなかれ…ホントに必死で踏みこたえ、人の波に潜り込まなくては写真など撮れなかったし、後述する理由でアッという間にライブは終わってしまったのですから!

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HMVといえばもちろん若者が通う大型CD店。22日に閉店し、ニュースともなりました。この閉店日だけでなく、日々多くのミュージシャンが閉店カウントダウンライブに登場していたのです。20日には最初期のALL ABOUTに登場したこともある中原昌也さんがノイズ音楽活動を行う名義「Hair Stylistics」で参加していました。そして、いよいよ閉店が翌日となった21日土曜日午後1時半過ぎ! 渋谷HMVは文字通りの異様な熱気に包まれていました。「キング・オブ・ノイズ」と称される「非常階段」がHMV閉店に向けてインストアライブを行うというので、開演30分前にはすでにステージ近くは立錐の余地がないほどの人・人・人で埋め尽くされていたのです。

非常階段といえば、30年余もの歴史を誇る過激極まるノイズバンド。その歴史の中では会場の器物が壊されたり、いろいろなモノで会場、メンバー自身や観客も汚れることがありうる特異なステージングが繰り広げられたこともあった伝説のバンドなのです(その歴史については9月3日発売の非常階段、そして日本のノイズ音楽31年の歴史を辿る書籍「非常階段 A Story of the King of Noise 」に詳しいのでぜひご覧あれ!!)

私などは数々の伝説としてそのステージングのことを雑誌等で読み、実地に自分がそのスゴイ舞台を見る機会がなかったことに歯がみしたものでした。90年代から00年代にかけ非常階段のライブ、メンバーの方々(インキャパシタンツやリーダーJOJO広重さんのソロ)のステージを見て圧倒的な轟音にうっとり心地よく酔うことは何度かあったのですが、“伝説”の、ウィーン・アクショニスム的、ハプニング的な、「観る客も気合と覚悟が必要」なステージも観てみたかったなぁ…などと思っていたのです。

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ところがその伝説のステージングが、昨年秋、新宿のライブハウス「ロフト」で30日間にわたり行われた「DRIVE TO 2010」の中で「原爆スター階段」として一夜甦ったのです。始まる前にモニター画面に出た注意書きに痺れました! 紙でも同文が配られてましたが、「衣服が汚れたり、ステージより機材その他が投げ込まれる場合がございます」…つまり「自己責任で見ましょう」という! こんな文字通り血わき肉躍るキケンなステージが21世紀に行われること自体、小躍りしたくなりました。ステージではええ、色んなものが飛び交いました。ロマンポルシェ。の掟ポルシェさんもお客としていて嬉しそうに様々なモノを浴びてました。でも、撒かれた水は入浴剤入りでいい香り…と少し大人の優しさがあったのです(笑)。このステージのことも昨秋11月、popstyleの「SCENE」で少し書きました。実はこの時の模様も9/3にDVD発売予定があるそうです!

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さておき。昨秋からのそんな経緯もあり、「HMVが閉店前日にあの非常階段を呼んだ…これはとんでもないことになるのではないか?!」ということ、またリーダーのJOJO広重さんの含蓄深いブログtwitterが昨今人気となっていることもあり、「20、30年来のノイズファン」以外にも若めの観客が詰めかけたような気がします。そしてJOJOさん、JUNKOさん、 T.Mikawa さん、 F.Kosakaiさんらが登場してボルテージは上がりまくり。上機嫌のJOJOさんは「僕も東京に来た時ちょくちょく寄ったHMVがなくなるのは残念ですが、役割を終えて何かに繋がって行く…みんながCD買わないからHMVつぶれるんですけど(笑)、でもだから非常階段、ここに出れるんです」と笑わせつつ、いきなり最高潮の爆音でギターを鳴らしJUNKOさんのシャウトと競い合う! 

音ももちろんだけどJOJOさんのギターの弾き方がホント超かっちょいいんです! 即興で響く轟音に身を揺らす観客たちもどんどん興奮が高まります…私は最前列でしゃがみながらカメラを構え、時には床に這いつくばりながらシャッターを切りましたが、JOJOさんがノリノリで客の波に割り込んでいった瞬間、「来る!」とある種本能的な身の危険を感じ、立ち上がりました、ほんのそれから1秒あったかなかったか…ドッと客の列がくずれてJOJOさんに殺到、押し合いへしあいもみ合いぶつかりあいのいわゆるモッシュ状態に! 最前にいたはずの私ですがあっというまに人の波に飲まれ足を踏まれ髪飾りがもげるほどの人圧に巻き込まれちゃった! 身長が低いので両足が宙に浮くかと思いました(笑)。

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唐突に始まった演奏は唐突に終わった…かに思えたのですが余りの人の殺到にシールド(ギターのコード)が抜けたりPA機器がぶっ飛んでしまいギターの音が出なくなってしまったのです。それでもお客さんもJOJOさんもテンションは下がりません。ギター音はないけれども、やはりお客さんにもみくちゃにされかかりながら機器のつまみをいじるコサカイさんらの奏でる「静か目なノイズ」に皆で聞き入りました。

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最後は何百人という客に向け、高い場所に立って顔をやっと見せたJOJOさんが「今日は店を壊せなくてごめん! 明日も営業あるんやもん!」「(HMVよ)Amazonに負けるな!!」と叫んで文字通り満場の観客の喝采を浴びました。個人的な話で恐縮ですが、同じ会場に10人近くは知人がいたようなのですが、誰一人として会えませんでした(笑)、それくらい凄い人密度。まさにこの日、この場所で集まった人間だけが味わえる祝祭感覚に酔い、みんな素敵な笑顔で、それぞれの思い入れを胸に20年の歴史に幕を降ろすHMV渋谷店を見送るイベントを終えたのです。一つの歴史が区切りを迎えましたが、30年余ノイズシーンを牽引、時代ごとに形態を変える音楽業界や若者文化に柔軟に対応し、若い世代にもメッセージを伝えてきた現在51歳のJOJOさんの高揚した笑顔が、また新たな歴史が始まる象徴だった気がします。

立ち止まる気配のないJOJOさん、いま一番注目されている新メディア、インターネットの生放送「Ustream(ユーストリーム)」の番組「DOMMUNE」に9月5日、非常階段で登場するそうです! 「今度は暴れる!」とのこと、さあどうなるのかこちらも楽しみですね。

ブログtwitterでも素敵な言語感覚あふれるJOJOさん、ソロアクトの時の歌詞もいいんですよね…私は「ダメ人間」という曲の歌詞が特に好きです。「父よ 母よ 私はやっぱり生まれてこなかった方がよかったのかもしれません…」とドン底に暗い歌詞が綴られているのに、ラストに「ダメ人間…ダメ女…ダメ男…ダメガキ…ダメナイン…ダメエイト…」となぜかダメカウントダウンとなってフェイドアウトする、何だか笑ってしまう。反語的に凄く元気づけられるんです。ぜひ聞いてみてほしい!

紙面、ブログへの感想、質問は popstyle@yomiuri.comへ。

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記事に無関係で恐縮ですが、怪奇、薔薇とともに私(央)が黒い自宅で溺愛する爬虫類たちの勇姿、動画公開中…くるくるやもりは非常にレア!!  

何と芸をする!「くるくるやもり」http://jp.youtube.com/watch?v=D_GRRrGHVic

「ぴょんぴょんとかげ」http://www.youtube.com/watch?v=t46QbYHwRgI

「ぺろぺろやもり」http://jp.youtube.com/watch?v=cSkYcVyGpw0

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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