偉そうなものってな、たとえば頑張った人を偉いねとかさ、真面目にやってる人を偉いねって言うけど、偉いってのはまあ、一般的な感覚としてよく言う言葉だよな。子供相手にだって言うだろ? 偉いねえってさ。そうじゃなくて、男だったらその上の「立派だね」を目指さなくちゃならないとオレは思うな。でもまあ、オレは偉いんだ、って自負するものは世の中にたくさんあるだろうからな。そんな中でコレだ、と思う偉そうなもの、探してこい!
6対4で「TOKYO★1週間」の勝利!
さあて、どんな「偉そうなもの」を探してきたか、オレが公正にジャッジしてやるかな。まず「読売新聞」だが、メガネと、でっかい消しゴムと、バカ高いキティちゃんバッグか。メガネはオレもかけるけど、あれはファッションの一部だよな。オレもファッションには気を使うし、男たるもの自分の顔には責任を持たなきゃならないからさ、メガネには気を使うんだ。海外に行っても、買い物するときに最初に入るのがメガネ屋だな。サングラス買うのよ。服の色とかにも合わせてな。 自分の顔ってもんは自分じゃ見えないだろ? 自分の顔は他人に見せるためにあるんだよ。だからメガネには食事を切り詰めてもこだわっていいんじゃないのかな。それは認めるが、一番大事なのは頭の中身だな。そこをちゃんと修理してないと意味がないってことよ。 あと何だ? でかい消しゴムにキティちゃんか。そんなでかい消しゴムじゃ、小さな字を消すの大変じゃあねえの? 面白いけど利用価値はないよなあ? キティちゃんも、そんな高いキティちゃん、いくらキラキラしてても偉そうには見えないからなあ。このふたつはちょっと「偉そう」の意味をはき違えてるな。メガネはまあまあだ。 次に「TOKYO★1週間」だが、こっちは清水の次郎長を持ってきたな。まあ次郎長は元々侠客だったわけだが、人々のためになる公共事業とかをやって、今に言い伝えられている人だよな。まあこれは偉そうに見えるんじゃないの? あとは富士山と清水漁港のマグロ丼か。日本一偉そうなものが欲しいっつって、富士山を買い取ろうとした企業がいたらしいけど、なるほど富士山は日本一偉そうだよな。世界遺産には入れてないけどな。 まあ今回の対決はアレだな。どちらもはき違え気味ではあるが、「読売新聞」がメガネがよかったのと、「TOKYO★1週間」は次郎長と富士山がよかったってことで、6対4で「TOKYO★1週間」の勝利、ってとこだ。
最後までやり通した人が勝つ!
偉いものという言葉からオレが思い出すのは、オレの原点みたいなお袋の言葉だ。オレが15歳で東京さ出てくるときにな、お袋が言ったんだよ。「右を見ても左を見ても、世の中っていうのは偉い人ばっかりだ。だから偉い人なんかなんなくてもいいから、立派な人間になれ」ってな。偉いと思う人間が自他共に認められて、初めて「立派」な人間と言えるんだ。だから、偉いなんてのはあたり前のことなんだな。世間様に認められて初めて立派な人間だと言えるわけでな。例えば歴史上の人物な。田中角栄さんとか、もっと古い時代だと吉田松陰とか、明治維新の西郷てる……西郷隆盛だ。フラメンコと時々間違えるんだ。西郷隆盛な。そういう歴史上の人物みたいにな、国を動かすとかな、自分の命を省みなかったとか、そういう風に抜きんでた人は偉いわけだ。 たとえばマラソンとかでも、1着になった人はもちろん偉いわけだが、でもビリッケツでも最後まで一生懸命やった人は立派だと思うよな。最後までやり通したってことでな。最後までやり通す人は立派だよな。勝ってる人ばかりじゃなくな、負けて勝つことも大事なんだな。失敗して反省して、積み重ねて行った人な。そうやってしっかりと基礎を作った人が、成功すると長持ちするんだな。そういった偉いものがひとつくらいあれば文句なく勝利だっただがな。消しゴムじゃあなあ。食えねえしな。鉛筆についてる消しゴムで充分だからな。でかすぎるよなあ。でもちょっと気になるな。だってよ、でかすぎるよ!(笑)
読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。