山崎樹範インタビュー ★4
【人気劇団の厳しさ】
―― その演劇研究会を、途中でやめた?
山崎 演劇研究会は1年半やった時点・・・2年生の中盤ぐらいで、もう次の部長を決めなきゃいけない話になったんです。僕、授業も出ずに頑張っていたんで、「部長、おまえやれよ」みたいなことを先輩に言われたし、同級生の間でも「当然あいつがやるべきだろう」という雰囲気だったんです。でも、「1年半しか芝居してないのに、俺が何を教えるんだろう」と思った。将来は役者で食っていきたくて、まだ勉強しなきゃいけないこといっぱいあるというのに、ここにいたらイカンなと、思っちゃったんですね。で、劇団受けようと思って、いくつか見て回った。
―― 既に役者として、実力が際立っていた?
山崎 ずっと部室にいたりして、熱心さが評価されただけです。そこを離れる気持ちになったのは、すごく憧れていた先輩が引退しちゃうこともあって、自分を保つ自信がなかったのかもしれない。昔から、自分自身、何もないと思ってるんです。空っぽの人間なんです。特別な才能も1個も持ってないし、人とか夢とかを絶えず追っかけてないと、何も動けない。たぶん、自分で切り開く力がないんですよね。
―― 「カムカムミニキーナ」には、夢や目標が見えた
山崎 芝居を見て、「この劇団はすごい。大きくなるだろうな」と思った。テレビに出て行くずっと前ですが、八嶋智人さんは圧倒的にすごかった。こんな人いるんだなって。
―― オーディションはすぐ受かった?
山崎 7人中4人合格という小規模なもので(笑)。理由を聞いたら、「声、でかかったから」というぐらい。機嫌がよかったんだなっていうだけかな(笑)。
―― 入ってみて、大学の研究会とは違った?
山崎 とにかく厳しかったですね。徹底的にダメ出しされました。最初の新人公演が終わって、その後の劇団本公演で、いきなり準主役レベルの役をもらって調子乗ってたんですけど、終わってからケチョンケチョンに言われました。「芝居どうこう抜きに、箸にも棒にも引っかかんない」「人間として興味が湧かない」と。そんなふうに言われたら、もう何していいかわかんないなと思って、3、4年ぐらいずっと引きずりました。野球でいう千本ノックみたいな特訓もあって、短いシーンを繰り返しやらされることもあった。一つのセリフをやると、「全然面白くないから変えろ。もう1回」、またやると、「変わってねえだろ、おい。もう1回」って感じで、1日中その稽古で終わったりするんです。毎回だれかがターゲットになるので、目立たないように、目をつけられないようにしていました。
山崎樹範(やまざき・しげのり) 1974年2月26日、東京都出身。特技は卓球。「劇団カムカムミニキーナ」で約 20本の作品に出演。「プロポーズ大作戦」(フジテレビ系、御法川潤蔵役)、「D r.コトー診療所2006」(フジテレビ、三上新一役)、「2ndハウス」(テレビ東 京系、片山良三役)、「電車男」(フジテレビ系、浅野真平役)、「天体観測」(フ ジテレビ系、長谷川健太役)などドラマ出演多数。「タモリ倶楽部」「うふふのぷ」などバラエ ティーでも活躍。2005年10月から、TOKYO FM「SCHOOL OF L OCK!」のメーンパーソナリティー(やましげ校長)として出演中。
★来年2月22 日(金)夜「やましげ・ひとりぼっち」定期ライブを開催。東京・半蔵門のTOKYO FMホールで。前売り券 3000円、当日券 3500円。詳細は藤賀事務所(03・3355・5467)またはひとりぼっちHP http://www.mh-fujiga.com/yamashige/event.htmへ。*公式ブログhttp://ameblo.jp/yamazaki-shigenori
読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。