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 こんにちは、非モテ王子こと、S編集長です。
このブログの売り物は、ロマンポルシェや怖い話ばかりじゃないんですよ~。
そんなわけで、きょうも格調高くバレエの話で。Kバレエカンパニーの超フレッシュな王子、宮尾俊太郎さんのことを紹介しましょう。

Miyao088 ポスト熊川氏に急浮上!

 今年のバレエ界の最大の話題は、スーパースターの熊川哲也さんの負傷降板です。それに合わせて主催するKバレエカンパニーで彼の穴を埋め、大きく飛翔する存在は誰か? ということが注目されています。
 その筆頭だったのが、以前この欄でも紹介した橋本直樹さん。豪快なジャンプ、明るい性格で「ブレーク間違いなし」と私は信じましたが、残念ながら彼もケガしてしまいました。ここでしぼんでしまわず、それに次ぐ存在がすぐ、浮上してくろところが伸び盛りのカンパニーの強さなのでしょう。6日付けの夕刊で「カルメン」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」と「3公演連続主役」と報じた宮尾俊太郎さんが期待に違わぬ大活躍をしているのです。

長身でノーブルな雰囲気

 宮尾さんに期待が集まる理由はいろいろあります。まずは184センチと長身であること。かつての日本の女性ダンサーといえば、森下洋子さんのように小柄、可憐というのが大きな特色でした。ところが、近年は上野水香さん、中村祥子さんのように170センチを超えるプリマは珍しくありません。女性が大型化しつつある中で、がっしりとパートナーを組める長身男性ダンサーの登場が熱望されていました。
それと、バレエ作品の男性主役って王子が多い。王子役を踊るダンサーに求められるものは、脚や腕の美しさとか生来、持ち合わせた品というものがあるんですが、取材で会った時、宮尾さんにはしゃべり方とか立ち振る舞いとかに、そこはかとなく品の良さが感じられたんですよね。

目標はパリっとした王子
 
その時、王子役について聞きましたが、「あんまりあこがれてなかった」とか。「これまでの王子ってなんかナヨっとしたイメージ。むしろ、『ドンキホーテ』のバジルのほうが好きでしたね」とのことです。ただし、「熊川さんのパリっとした王子役を見て、王子の見方が変わりました」

フランス仕込みのエレガンス

 彼の生い立ちは気になるところですね。取材メモを読み返すと、1984年札幌生まれ。つまり熊川さんと同郷です。3歳でバイオリンを始め、並行して剣道もやっていたとか。中学は美術部で部長まで務めたが、14歳の時、熊川さんが出演していた「ネスカフェ」のCMに心を打たれて、「自分にはバレエしかない」と思い立ったそうです。で、めきめきと腕を上げて、17歳でフランスのカンヌ・ロゼラハイタワーに留学。オペラ座の名花だったモニク・ルディエールに師事しました。
 14歳から初めてこの成長ぶり。才能の一端がわかるし、エレガントさはフランスで学んだのかなあなんて推測されます。そのころの意識を聞くと、意外な答えが返ってきました。「たるんでました。まだ、踊りを仕事にするという意識が低かった」
 一気に気持ちを引き締めるきっかけになったのが2004年のKバレエ入団だったようです。「何をどうすればうまくなる近道か? いつも考えるようになりました」

プレッシャー、音楽に助けられた
 で、猛練習した成果が今回の大抜擢なのでしょう。でも、プレッシャーは大きかったはず。まず、相手役はベルリン国立バレエ団のプリマ、中村祥子さん。 それに、「白鳥の湖」の王子役は、熊川さんの名演が多くのファンの心に残ってます。
 「祥子さんはスターですから、僕が努力しないといけない。2人で組んで練習する時間が短かいのが不安でした」
「歩き方、見せ方、役へのこだわりを哲也さんから教えてもらいました」
 「チャイコフスキーの音楽には助けられました。僕がステップに追われていると哲也さんから『曲を聴けば、どう動くか分かるだろ』って注意された。確かに聞けば、どう動くか見えてくるんですね」

スター誕生! 拍手鳴りやまず 

かくして、11日のオーチャードホールで本番。とにかく、宮尾さんは背も高く手脚も長いので舞台映えがする。登場した瞬間ぱーっと明るくなりました。相手役の中村さんを支える物腰も丁寧でやはり王子らしい。そして、熊川さんの見せ場でもあった滞空時間の長いジャンプを連発するバリエーションもダイナミックに決めていました。 そして、カーテンコールは割れんばかりの拍手が鳴りやまない。7回、8回と幕が開いた様子は、Kバレエ結成初期の異様な熱気を思い出させました。誰もが「スター誕生」を祝福したかったに違いありません。

今回の秋、冬公演では、海外のバレエ団でも主役級として活躍していた清水健太さん、遅沢佑介さんも本格参戦。札幌出身の先輩で、一足早く主役に起用された輪島拓也さんも力いっぱいの美技を披露しており、男性ソリスト陣の層の厚さを印象付けました。これで、橋本さん、熊川さんがケガから復帰すれば、まさに黄金時代の到来と言っていいのでしょう。

 ともあれ、次回の宮尾さんの登場は、12月20日、22日の「くるみ割り人形」。さらなる充実した王子ぶりを期待したいものです。あと、ケガにだけは気を付けてね! もちろん、みなさまの反響次第では、ALL ABOUTの候補にもなりますので、「宮尾くんを取り上げて」というリクエストメールもお待ちしてますよ!→popstyle@yomiuri.com

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 読売新聞の水曜夕刊に掲載されている新感覚カルチャー面。旬の人のインタビューコーナー「ALL ABOUT」を中心に、若きタカラジェンヌの素顔に迫る「タカラヅカ 新たなる100年へ」、コラムニスト・辛酸なめ子さんの「じわじわ時事ワード」といった人気連載に加え、2016年4月から、ポルノグラフィティのギタリストのエッセー「新藤晴一のMake it Rock!」、次世代韓流スターのインタビューコーナー「シムクン♥韓流」がスタート。オールカラー&大胆なレイアウトで紹介する2面にわたる企画ページです。

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