読売新聞水曜夕刊に掲載している新感覚カルチャー面ポップスタイル。今週は、村上春樹さんの2作の短編小説を原作にした舞台「神の子どもたちはみな踊る」で共演している二人、古川雄輝さんと松井玲奈さんが登場します。まるで小説が立体化したような不思議な感覚の舞台で輝く二人。作品の見所と、稽古場の模様、お二人の努力の過程など、様々な角度からお届けします。
7月31日から、東京・よみうり大手町ホールで始まったこの舞台。ご覧になった方は共感されると思いますが、バラバラの形の段ボール箱のような箱を積み重ねたセットがまず印象的ですよね。一見、無機質な感じなのですが、一部だけが動いて空間を圧迫したり、急に一つの箱が空いてドアや棚になったりとと、驚く仕掛けがいっぱい。しかも、木の反響板が特徴的なホールと一体化しているようで、さらに効果的です。ここにシンプルなテーブルや机が置いてあるだけのステージ上で繰り広げられるだけあって、5人の役者さんたちの言葉、つまり村上文学の言葉がストレートに分かりやすく耳に届いてくるんですね。
古川さん演じる淳平、松井さん演じる小夜子は、短編小説「蜂蜜パイ」そのままのキャラクターで、全く違和感がありません。大きな村上さんの本がページを広げてステージ上に立っている錯覚すら覚えます。一度、稽古場を見学させてもらったのですが、出演者がみな村上さんの文章の神髄に迫ろうと、一語一語議論しながら進めていました。その辺の詳細も紙面でつづっておりますので、ぜひご覧ください。ある種、分かりやすい物語なのですが、そこに込められた意味は人それぞれ解釈が違う。古川さんは稽古でその答えをつかむために挑んだようですが、「結局答えは出なかった。答えがないのだと思う。人それぞれが感じればいいのではないか」などと語っていました。舞台上の役者たちの奮闘、響く言葉、そして最後に残る温かな希望のようなもの。芝居と朗読のミックス、せめぎ合いの妙はとても見応えがあります。当日券を求めに、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。
★毎月第1週は、田村芽実さんの「ひめごと」。どんどん文章力を上げている、めいめいさん。今回も、ここでしか明かさない「ひめごと」をつづってくれました。
★民ゾクッ学は、6月に石川県のモーゼの墓を紹介した記者が、今回は青森のキリストの墓へ。どうやらこの方面にはまってしまったようです。
★辛酸なめ子さん、霜田あゆ美さんの連載も好調です。
【プレゼント】
舞台「神の子どもたちはみな踊る」のオリジナルクリアファイルを古川雄輝さんのサイン入りで3名にプレゼントします。応募には紙面掲載のキーワードが必要です。応募はこちら 、または、https://qooker.jp/Q/ja/popstyle/taikai/ をクリックしてください。8月11日(日)午後11時締め切りです。