ムチャぶり大作戦 指令その32 「肝から冷やせ!」(ガッツ石松)

暑い夏だからこそ、昔からいろんなことで涼を取るための工夫をしてきたよな。怪談や肝試しでヒンヤリするのもそうだしな。オレも昔から怪談とか聞くのは好きだね。今度名古屋でオープンする幽霊屋敷の応援団長をやるくらいだからな。ま、怪談だけに限らず、今回はオレが肝から冷えるようなネタ、工夫して持ってこい!

どっちもどっちだ。引き分け!_s

 肝から冷えるものならなんでもいい、というムチャぶりだったんだが、今回は両方とも心霊や怪談のネタになったな。それじゃあ見ていくぞ。
 「読売新聞」の三つは、実話怪談本、お台場のお化け屋敷、そして稲川淳二さんだな。稲川さんはオレも昔からよく知ってるな。もう20数年の付きあいだけど、あの人の怪談話は聞いたことがないんだよな。それより、奥さんと仲良くやってるのか?(笑) よく奥さんに蹴っ飛ばされてるらしいけどな。「ガッツさん、蹴っ飛ばされましたよ」なんてオレに言ってたもんだ。まあ、あの人の場合は冗談言っててもあの調子だけどな。
 音響とかライティングとかもこの人のしゃべりに合わせて作ってあるよな。演劇に近いものがあるかもしれないな。これはもう、ひとつの芸だな。お化け屋敷はオレも若いころに豊島園に行ったりしたな。あれはバカバカしいとは思いながら、怖いもの見たさの興味はあるよな。なんつーか、夏のテンションの高さでね、湿度の高さが人間の感覚を高揚させるのかもしれないな。寒いともう全部テンションが下がるから。「きゃー!」って言うのも凍っちゃうもん、寒いと。その一瞬の快楽だよね。一瞬の強烈な快楽に浸ってみたくなるんだな、夏は。頭の中で作り出す怖さだ。
 さて、問題の「TOKYO★1週間」を見てやるか……。相変わらず、何を言わんとしているの? 千葉県のホテルの廃虚に、鈴ケ森刑場に、青梅のトンネル? 何か含みのある話をしてくんないと、暖簾に壁? 暖簾に腕押し、か。それこそつまんないよなあ。天下の「読売新聞」と対決してるんだから、せめて対決の姿勢くらいは見せてくれないとなあ。ホントになあ……。
 オレが子供の頃に、学校で遠足の感想文を書かされた時にな、なるほどなあと思ったことがあるんだが、たとえばオレはあれもよくて、あれがこうだった……って全部について書いたんだけどな、そしたら先生が、あまりあれこれ広げすぎるよりは、ひとつのことをもっと掘り下げてやったほうが説明しやすいよ、って言ったんだ。コレも同じことなんじゃないの? 3つ行って、ひとつがひとコマじゃ、コレ行ってないだろ、ってことになっちゃうよな。女がいないとつまんねーって、関係ねえ。オバケなんて女が多いからな。お岩さんにしろ、阿部定にしろな。阿部定はオバケじゃないの? でもまあ、オバケと一緒だ。とにかく、「TOKYO★1週間」はもっと深く掘り下げたものを持ってこいってことだ。
 まあ今回はジャッジも困っちゃうんだけどな。どっちもいまいちだな。これと言って訴えるものはないね。引き分け、引き分け。

やっぱり夏の風物詩

_s_2  まあ、オレも怖いもんは嫌いじゃないし、怪談を聞いたりするのは好きな方だが、こういうものはいるかいないか五分五分だからな。イチローの打率よりは高いわけだから、かなり確率は高いよね。見た人にとってはカカシを見てもゴジラに見えるだろうし、チョウチョが夜飛んでいてもUFOに見えることもある。それを聞いたひとは「そんなバカな」って思うけど、人が見たって言えばホントかなって思うしな。話半分だからな。暑いから思考力がちょっと薄れるのかもしれないし、こういうモンは人類共通だからな。人種を問わず、国を問わず、みんな興味がある。世界共通の夏の風物詩だ。冬にはないもんね。ロシアなんかにもこういうのあんのかね? ロシア怪談なんてな。まあ向こうは夏が短いから、怪談で遊んでるヒマなんてないかもしれないな。四季がちゃんとある国の贅沢な文化かもしんないな。
 でもな、もし亡くなってる人が夜一緒にいたら、おっかねえだろうな。暗いところで、頭に三角巾してさ。そんな人が3、4人寝ててさ、「ほにゃむにゃなんとかー」なんて読経が聞こえてさ。ライトが点滅してたら、オレも「うわっ」てなるな。しかし思ったんだが、今回みたいに「肝を冷やしてみろ」なんて高飛車に構えてたら、やっぱり怖くはないよな。やっぱりそういうときは雰囲気だけでも合わせないと、周りが白けちゃうからね。怖い楽しみにも協調性が大事、ってことだな。オレも少し反省するよ。