スウィーニー・トッド/追悼ヴァンパイラ

 (央)です。皆様ティム・バートン監督「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」はご覧になりましたか? ジョニー・デップが信頼するティム監督のため、見事な美声まで聞かせてくれます。ミュージカル仕立てに驚く方がおいでかも知れませんが、もともとブロードウェイで上演されていたミュージカル(日本でも宮本亜門演出/市村正親主演で舞台化)なので、歌で展開していくのは王道の見せ方なのです。また、実は約10年前にも同じ題材で映画化されており(日本公開は99年。こちらはミュージカルでなく普通の展開でした)、18世紀ロンドンの伝説的な猟奇殺人者”スウィーニー・トッド”は何度も闇から甦ってくる著名なダークヒーローといえます。今回はティム監督のダークヒーローとダークヒロインについて書かせて頂きます。


 今回の映画は相当ショッキング! まさに”子供に見せられない”内容、大人限定で覗き見るヤバい仕上がりです。個人的にはさまざまな「髪の毛」の描写が場面場面によって美しく、またおぞましく、とにかく細かく気が遣われていたのもうれしかったですね(笑)。理髪師が主人公だからというだけでもなく、本来ブルネット(濃い髪色)のウィノナ・ライダーをわざわざ金髪にして「シザーハンズ」に登場させていたように、ティム監督には何やら黒・金・赤などの色やストレート/縮れ毛などの髪の毛描写と、そのことに対する社会の偏見にこだわりがあるように感じられます。ご本人が黒髪で縮れ髪であることに、何かしらコンプレックスがあったのかもしれませんね…(かく言う私自身、実は縮れっ毛。社会人になって縮毛矯正をかけることにより、やっと憧れだった黒髪ストレート超ロングヘアを享受できるようになったので、勝手に共感を覚えてしまうのです)。
 
 今回の「スウィーニー・トッド」、ぜひ劇場に足を運んでみてください! 闇黒ティム・バートンの面目躍如です!

 さて、そんなティムにとっても恐らく生涯忘れられぬ影響を与えたであろういわばダークヒロイン、まさにホラーの女王ともいうべき女優「ヴァンパイラ」さんが先日、逝去しました。「エド・ウッド」でティム監督の当時のパートナー、リサ・マリーが怪演している暗黒の衣装に黒髪が印象的な女優です。公式ページを見ると、リサがいかにそっくりに演じていたかよくわかりますね。


参照リンク:
http://www.myspace.com/officialmailanurmi
http://www.fangoria.com/news_article.php?id=5748
http://www.fangoria.com/news_article.php?id=5771

 ホラークイーンと聞いてエルヴァイラじゃないのか? と思う方々もいそうですが、ヴァンパイラさんの方がずっと先に活躍していたのです。今日本で彼女の演技を見られる映画としては、ティム監督の映画でも描かれている「プラン9・フロム・アウタースペース」(エド・ウッド)があります。

繰り返し繰り返し、ホラーにばかり出演、暗黒のイメージを崩さなかった稀有な女優さん。衷心より追悼したいと思います。合掌。

※余談ですがこの映画が、あの友近さんのカレ氏・なだぎ武さん属する「プラン9」の名の由来だと思うのだけど…全然ホラーにもSFにも関係なさそうなお笑いグループなのに不思議だなぁ…