きょうは大晦日。おかげさまで、編集部もなんとか年を越せそうです。
私は(S)と申しまして、実はPop Style4ページ全体の編集長をしているのですが、このブログには初登場です。いざ書き出すと、紙面について余計な注釈をつけたり、(福)への文句(もっと早く出社しろとか、机キレイにしろとか・・・)なんか書いたりしてしまいそうなので、自粛しておりました。まあでも、新聞社恒例の年末回顧という感じで、今回は書かせてもらおうかと。というのは、29日に渋谷・O―nestで行われたライブを見るうち、いろんな思いが沸き起こってきたからです。
このライブ、Hair Stylistics=中原昌也さんと豊田道倫さんが出演。中原さんは完成度の高いノイズミュージックを展開。モーターのうねりのような音響の上に、さまざまなノイズが自在にコラージュされていく・・・という感じ。明確なメロディーや軽快なリズムがあるわけではないのですが、頭の中にさまざまな光景が喚起され、かなり長いステージだったのに、全く退屈しませんでした。今年、中原さんのステージを見るのは何度目だろうか。春先にはナディッフやロフトプラスワンでも見た。そもそもPop Styleを始めたとき、頭にあったのはほかの面でできないことをこの面でやろうということでした。三島賞作家としての中原さんは文芸欄で取り上げられるでしょうが、ノイズの中原さんはどこの面にも大きくは載ってない。ならばそういう部分をウチでやっていけば面白いモンができるんじゃないだろうか・・などと考えていたことを思い出しました。
豊田さんの歌はどこまでも赤裸々なラブソングが多く、ある意味では中原さんの音楽の対極にある世界です。表現はあからさまで、格好をつけた美辞麗句ばかりのポップスにはない、切迫感や生々しさに満ちています。歌詞をじっくり聴いていると、こういう表現こそ「洗練」なのだと感心させられます。自分が普段、どこまで真に迫った文章が書けているのかと、考えてしまいました。 Pop Styleは「新感覚のカルチャーページ」などと銘打っていますが、まだまだ発展途上の段階です。あまり新聞に登場しない人(大メジャーでもそういう人は存在します)を取り上げたり、大きなスペースを使って対談をしてもらったり、ネット世界の出来事にフォーカスしたりと、さまざまな試行錯誤を続けています。新聞という枠組みの中で、どれだけ新しいことができるのか、挑戦する姿勢だけは変えないでいきたいと思います。
年明けのPop Styleは1月10日から。来年もよろしくお願いします。