(央)です。
6月に2週連続われらが「ALL ABOUT」にもご登場いただきました作家の中原昌也さんが、9日、短編集「名もなき孤児たちの墓」(新潮社)で野間文芸新人賞を受賞されました!
2週にわたる見開き特集の中でも蓮實重彦さん、ロマン優光さん、わたしたち記者に資金繰りの苦しさをこぼし続けていた彼らしく、帝国ホテルで行われた受賞記者会見の時も「…これで滞納していた家賃が払えます」「ちょうど前日に大家さんから督促の電話を受けたんですが、『あす受賞できたらすーっと払えます!』と答えたら逆に謝ってねぎらってくれた。いい人だ」など、集まった人々を彼流のユーモアで沸かせていました。
かといっておちゃらけた話だけかといえばさにあらず。
「送り手は『泣ける』とか、わかりやすい感動ばかりを“強要”するかのように与え、また受け手もこぞって一つのものに対して同じように感じようとする風潮が本当にイヤだ。感動ばかりが幅を利かせる世の中はうっとうしい。状況について懐疑的になってみてほしい」「同じものを読み、観、同じように泣く…そんな風潮に少しでも抵抗したいと思い、安易に感動できないものを書いている」など、深くうなずかされることも数々おっしゃっておいででした。さすがです。
同日、「一日 夢の柵」で野間文芸賞を受賞した黒井千次さん、野間児童文芸賞を受賞した八束(やつか)澄子さんとともにカメラの放列の前で写真に収まる中原さんは照れくさそうで、でもとてもうれしそうでした。
これからも頑張ってくださいね!